やっぱり音楽は必要
──今回のライブの開催日は3月11日です。お二組とも、2011年以降、東北への復興支援活動を積極的にしているイメージもありますが、その中で生まれた東北への思いを聞かせていただけますか?
RYO 東北で出会った方が「被災者だと思ってほしくない」と言ってくれたことがあって。「人と人としてつながっている」「友達くらいに思っていてほしい」と。その言葉が僕にはすごく大きかったですね。きっかけは確かに震災ですが、今も東北での活動を継続できているのは、東北の方たちとそういう関係性を築けたからだと思っています。
綾小路 僕は両親が岩手出身なんですよ。だからもともと東北には思い入れが強くて。さらに2019年に千葉に台風が来たときは、東北で知り合った人が支援をしてくれた。出会いの入り口はいい出来事じゃなかったですけど、できることがあればいくらでもやろうと思っています。「呼ばれたらすぐ行くよ」というスタンスで。だから、今回のツーマンライブでも、何か東北の方の力になれたらいいなと思っています。
──さらに現在はコロナ禍。2組ともツアーも再開されましたが、こういう時代の中で音楽やライブが担う役割はどのようなものだと思いますか?
RYO 初めは「音楽って必要なのかな」と思うくらい落ち込んだんですよ。でも「やっぱり音楽をやらなくちゃ」と思うようになって。いろんな情報に振り回されそうになるけど、自分の「音楽をやりたい」という気持ちだけはブレないようにしたいと思うようになりました。その姿が、見ている人に勇気を与えることになるのかなって。あと、去年10月に回ったツアー(「20th Anniversary ORANGE RANGE LIVE TOUR 021 ~奇想天外摩訶不思議~」)で、お客さんが僕らのライブを観て泣いていて。それを見たときに、やっぱり音楽は必要だなと思いましたね。
綾小路 僕はRYOと逆で。コロナ前はリリースがあって、メディアに出て、ツアーがあって、フェスを企画して……っていうルーティンの中で、「本当にこれでいいのか?」「自分のやりたいことやっているのか?」「そもそも俺って必要? このバンドっている?」みたいなことを、頭の片隅で思っているけど深く考えずに続けていたところがあって。だからコロナで全部ストップしたときに、正直ホッとしたんです。「曲作らなくていいんだ」「ステージに立たなくていいんだ」と。で、家でやることがないから、筋トレを始めたんです。そしたらポジティブになってきちゃって、「曲なんて二度と作りたくねえ」って思ったのに、曲も生まれてきて。ここ数年で一番多く曲作りました。
RYO おお。
綾小路 今は、いつかファンのみんなとハグしたいし、なんならベロチューでもしたいくらい(笑)。それほどみんなと触れ合いたいなと思っている。もちろん大変なことも多いけど、それよりも大切なものを知ることができた期間だったなと思う。それこそ今はコンサートができるっていうことだけでもめちゃくちゃうれしいし。人数制限があったり、声を出しちゃいけなかったり、いろいろ制限はあるけど、やっぱり直接会って音楽を通してコミュニケーションを取れるっていうのは、尊い……“尊み秀吉”だなって……いらないですね、これ(笑)。とにかくマジで尊いと思っています。
SENDAI GIGSでやれるのがうれしい
──では最後に、ライブナタリーの来場者へメッセージをお願いします。
RYO 本当に、ライブに来るのが大変なことはわかっています。だからこそ、来てよかったと心から思ってもらえるライブをする。その覚悟とモチベーションを持っていますので、期待していてください。ちゃんと返します。
綾小路 こんな大変な中、来るということを選んでくれたみんなにはものすごく感謝しています。ORANGE RANGEと僕たちだったら、今まで誰も見たことがないようなケミストリーが起きると思うので、「マジで幸せにしかしねーから」と約束します。同時に、会場に行かないという選択をしてくれたみんなにも感謝していて。世の中が安心安全になったときに、ORANGE RANGEとまた対バンできるように、最高の爪痕を残してきます!
RYO 楽しみです。
綾小路 あとね、SENDAI GIGSでやれるのがうれしいんですよ。SENDAI GIGSって今、日本で一番アツいんじゃないかと思うくらいのライブハウスで。というのも、SENDAI GIGSのスタッフがみんなで2階の楽屋を改装して、学校の教室とか、昭和の家とかクラブとか、謎のコンセプトの楽屋をいくつも作っちゃったんですよ。
RYO へえ!
綾小路 さらに食堂のメニューも豊富だし、めちゃくちゃおいしいの。もうね、あそこでフェスができちゃうんじゃないかっていうくらい。前回はワンマンで行ったんだけど「対バンで来たい」と思っていて。そしたら今回、僕たちとORANGE RANGEっていう、バンド界では人数多めの2組で行けることになった。もうね、超ベスト。そういう意味でもORANGE RANGEと一緒にGIGSに行けることがうれしいです。
RYO それはいいですね。楽しみです。
綾小路 最高だよね。
──ステージの裏も楽しそうですね。当日、楽しみにしています。
綾小路 あ、1つ言い残したことがあるのでいいですか? 「キン肉マン」のくだり、わかりにくかったですよね。次回は「呪術廻戦」で説明できるようにしておきます!(笑)
プロフィール
ORANGE RANGE(オレンジレンジ)
沖縄出身・在住の5人組バンド。2001年に結成し、地元・沖縄にある米軍のライブハウスを中心に活動を始める。2002年にミニアルバム「オレンジボール」をインディーズから発表。以後、沖縄以外でのライブも頻繁に行うようになり、2003年にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。続く2ndシングル「上海ハニー」がオリコン週間ランキング5位を記録。その後も「ロコローション」「花」「ラヴ・パレード」「キズナ」など、数々のヒットを飛ばす。2021年には結成20周年のアニバーサリーイヤーに突入し、10月から20周年記念全国ツアー「20th Anniversary ORANGE RANGE LIVE TOUR 021 ~奇想天外摩訶不思議~」を開催した。2022年2月に新作音源「OKNW.ep」とライブBlu-ray / DVD「20th Anniversary ORANGE RANGE LIVE TOUR 021 ~奇想天外摩訶不思議~ at Zepp Tokyo」を同時リリースした。
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氣志團(キシダン)
1997年に千葉県木更津で結成。メンバーは綾小路 翔(Vo)、早乙女 光(Dance & Scream)、西園寺 瞳(G)、星グランマニエ(G)、白鳥松竹梅(B)、白鳥雪之丞(Dr / 2014年3月より活動休止中)の6名。“ヤンクロック”をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでのパフォーマンスが話題を集め、2001年12月にVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発し、2004年には東京・東京ドームでのワンマンライブも開催。2012年からは地元千葉県にて大規模な野外イベント「氣志團万博」を主催し、ほかのフェスとは一線を画するラインナップで多くの音楽ファンの支持を集めている。2022年3月30日に、「One Night Carnival」のカバーのみで構成された氣志團のトリビュートアルバム「All Night Carnival」がリリースされる。
氣志團オフィシャルサイト/MIDNIGHT SPECIAL THE KNIGHTS KISHIDAN FROM ROUTE 127 OF FAIRIES.