NARLOWインタビュー|激動の1年を駆け抜け“追い求めていた形”へ

BiSやLADYBABY、NMB48の元メンバーなどアイドル経験者を中心に構成されるNARLOW。2023年6月にステージデビューした彼女たちは多くの注目を浴びながら精力的に活動を展開するも、昨年12月にプロデューサーの解任という急展開に直面し、今年1月にそれまでに制作された過去曲と決別するとともに、メンバーを中心に歌詞や振付を作り上げる“新体制”へと移行した。そして神田ジョン(PENGUIN RESEARCH)やカンザキイオリ、蝶々P、松隈ケンタから楽曲の提供を受けつつ、前へ進み続けた6人は、デビュー1周年記念日の今年6月3日、東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)で「1st Oneman Live『Reverse』」を成功させた(参照:NARLOWデビュー1周年の日に見せた渾身のステージ、転生者のことが「すっげえ好き」)。

音楽ナタリーではメンバー6人にインタビューし、1周年ワンマンを含むこの半年の歩みを振り返ってもらいつつ、新体制で制作された楽曲群、グループや転生者(NARLOWファンの呼称)に対する思いを掘り下げた。

取材・文 / 阿刀“DA”大志撮影 / 安田まどか

Zepp Shinjukuは人生イチを更新したぐらい楽しかった

──まずは6月3日に開催されたZepp Shinjuku(TOKYO)公演の感想から聞かせてください。

パン・ルナリーフィ めっちゃシンプルなんだけど、人生イチを更新したぐらい楽しかったです。NARLOWだけじゃなくて、転生者もNARLOWの未来に対するワクワクした気持ちでいっぱいになったんじゃないかなって。ステージから見えたフロアの景色に圧倒されたし、みんなでもっと大きなところに行きたいなと思いました。

ムロ葉菜子 私も何も思い残すことなく、ただただ楽しかったです。そう思えたライブは初めてなんじゃないかってくらいホントに楽しかった。

──前回のインタビューでは、1月の新体制初ライブのときの記憶がなかったと話していましたけど、今回は記憶あります?

ムロ なんと、あるんですよ。今までは必死すぎて、ライブ中のことを何も覚えてないことが多かったんですけど、今回はそんなことはなかったです。

ムロ葉菜子

ムロ葉菜子

パン・ルナリーフィ

パン・ルナリーフィ

イケダナナ 6月3日は結成から1年の節目で、初めての大きなワンマンライブだったんですけど、この日を迎えるちょっと前、転生者の方から6月3日が終わるのが怖いって言われたんです。「何か(よくないお知らせ)があるんじゃないか」って。それまでは手探りで必死に前に進んできたんですけど、その言葉を聞いた瞬間から、この先の未来に期待してもらえるようなライブをしたいと思うようになりました。結果、ちゃんとその思いが伝わるライブができたのでよかったです。

河野奈々帆 1周年ライブのことは半年前の新宿BLAZE公演のときから大々的にお知らせしてたんですけど、どういうものになるのか、どれぐらいの人が来てくれるのかっていう不安がずっとあったんです。でも、いざステージに立ったらそんな心配はいらなかったなって。これまでも転生者の人たちがライブを楽しんでいる姿はステージ上から見えていたんですけど、6月3日は今までのライブの中でも一番、会場全体で楽しんでいることが伝わってきました。

乃井りこ やりきったという思いが強いです。転生者のうれしそうな……いや、楽しそうな顔がいっぱい見れてよかったです。

乃井りこ

乃井りこ

河野奈々帆

河野奈々帆

山下うみ これまでのライブでは、別々の過去を持った6人がそれぞれの思いを胸にパフォーマンスしている……そんなイメージがけっこう強くて、転生者もそんな姿を見て涙する人が多かったんです。だけど、6月3日は笑顔の人が多くて、私たちも転生者も一緒になってひとつの壁を乗り越えられたと思ったし、私がこれまで追い求めていたグループの形にちょっとは近付けたのかなと感じられました。この調子でNARLOWと転生者の一体感を高めていけたらいいなと思いました。

──追い求めていた形というのは?

山下 涙があったとしても、最終的には「すっごく楽しかった!」という気持ちで転生者のみんなには帰ってほしくて。今までは、「過去はこうだったけど、ここまで来れてよかった……」とエモくなって泣いてる人が多かったんです。でもそうじゃなくて、「NARLOWの思い出がまた1つ増えてうれしい!」ってシンプルに幸せを感じてもらうのが理想なんです。

山下うみ

山下うみ

イケダナナ

イケダナナ

白い衣装で強調する女の子の強さ

──Zepp Shinjukuワンマンの尺は90分ほどでしたが、パフォーマンスの合間にMCをほぼ挟むことなく、映像演出を交えつつ一気に駆け抜ける構成でしたね。

河野 基本的にNARLOWのライブはMCがほとんどないんです。

乃井 MCを少なくして、その分曲を続けてやるのがNARLOWのよさっていうのが、転生者との共通認識で。パフォーマンスそのものや、ライブの熱量に満足してくれる人が多いし、そのうえで最後のMCでメンバーみんなの思いをしっかり伝えるのがNARLOWらしいのかなと考えています。

──歌詞や歌で表現できているからMCでそんなに話すことがないという理由もあります?

パン 確かにそれもあるかもしれないです。転生者のみんなに向けた気持ちを歌詞に書いていて、伝えたいことを曲を通じて伝えている部分があります。

──衣装が黒から真逆の白に変わりましたが、これにはどんな思いが込められているんですか?

パン これはもう、うちのイケダナナが(笑)。

イケダ はい、デザインしました。

NARLOW

NARLOW

──そうなんですね!

イケダ Zepp Shinjukuワンマン前の東名阪ツアーからこの衣装になったんですけど、新体制になって以降、衣装が変わるのは初めてで。ずっと黒の衣装が続いてたこともあって、漠然と白がいいなと思いました。NARLOWのイケダナナとしてステージに立ってる中でなんとなく、自分たちには白い雰囲気も合うと思ったんですよ。これまではけっこうかっちりしたクールめの衣装で、メンバーカラーも入れたりしてたんですけど、白で統一した衣装でもパフォーマンスに説得力を出せるかなって。さらに、フリルを付けることで女の子の強さを強調しました。白って女の子にとって大事な色だと思うし。

──かなり大胆な変化ですよね。

イケダ そうですね。驚かれた転生者の方もけっこういると思います。私のファンの方は私の作るものが好きって言ってくれるけど、ほかのメンバーのファンの方がどう思ってるかすごく不安だったんですよ。でも、「パンちゃんのパンツのデザインがすごくいい」とか「ちゃんと個人個人のいいところを引き出してるよ」とか、特典会を通してけっこう細かく感想を言ってくれました。自分が胸を張って着られる衣装でステージに立ちたいし、だからこそメンバー個々の要望をしっかり取り入れてデザインしたので、転生者のみんなからもメンバーからも喜んでもらえてうれしかったです。

──歌詞、振付、衣装と、NARLOWはなんでも自分たちで作れるグループですよね。

イケダ あとは曲と映像を制作できるメンバーがいたら完璧ですね(笑)。