音楽ナタリー Power Push - Nao Yoshioka

「日本と世界に私のソウルを」夢の途中で見せる笑顔

今、歌っていて一番楽しいです

──「Rising」のリリースツアーも残すところ11月21日のファイナル、東京・イイノホール公演のみですね。ここまで全国を回ってきて得たものはありますか?

今回のツアーで4日連続という日程があったんですよ。毎日毎日ステージに立ってみたとき、今までいろんなことを気負って歌っていた自分に気が付いたんですよね。なんか、「私が伝えたいのはこれだ」とか「この歌詞はこういう意味なんです」っていう思いがすごくあって、押し付けてたわけじゃないんですけど、気負ってた部分があったなあって。でも初めてこれだけの本数のライブを連続でやってみて思ったのが、自分が何も考えずに曲の中に入ってる瞬間がたぶん、お客さんにも一番自然に伝わってるんだなということ。そういう意味で、今回のツアーでものすごく肩の荷が下りたというか。

──なるほど。

だって私が伝えたいことは、もう曲に全部入ってるから。それをただ歌うことが一番伝わるんだなと学びました。だからライブ中にすごく笑顔が増えたんですよ。前までは眉間にシワが寄ってたり、険しい顔をしてたりというときが多かったんですけど、「Rising」は全体的にポジティブな内容を歌ってるので、自分の心もすごい癒されて解放されて。それがお客さんに伝わってるんだなって実感できました。やっと重いものが外れた感じで、今一番楽しいです、歌っていて。

──ご自身では、なぜこのタイミングで重いものが取り払われたんだと思いますか?

10月31日、「Nao Yoshioka Rising Japan Tour 2015 -Living Our Dreams」大阪・Music Club JANUS公演の様子。 ©SWEET SOUL RECORDS

毎日ステージの上に立って、自分の大好きなミュージシャンと大好きなスタッフに囲まれて、たくさんの人が私を待っていてくれて。それって最高じゃないですか。どこを見ても愛しかない、みたいな状態で。そしたら、ここはもう自分のホームなんだなって毎回のステージで思えるようになってきたんですよね。「この人たちに伝えないと自分を信じてもらえない」みたいな、それまでの戦うような感覚がなくなったんだと思います。

──ちなみに、ライブのときに必ずやることや自分なりのジンクスってありますか?

10月31日、「Nao Yoshioka Rising Japan Tour 2015 -Living Our Dreams」大阪・Music Club JANUS公演の様子。 ©SWEET SOUL RECORDS

集中タイムですね。

──集中タイムとは?

最低1時間は必要なんですけど、誰にも話しかけられない、自分だけの時間をライブ前は作らせてもらってます。1人で楽屋に入って、もう出てこないです。

──その中では何が行われるんですか?

1から10まで、ライブのシミュレーションをしてみるんです。イメージトレーニングですね。ステージに上がって、みんながいて、1曲歌って……ライブが終わるところまで。

──へえー。でも本番は生のお客さん相手ですし、シミュレーション通りにいかないこともありますよね?

いかないですね。いかないんですけど、心が落ち着くんですよね。自分がこれからやることが全部整理されるというか。イメージトレーニングが全部終わったら「絶対私は大丈夫」と思えて、もし大変なことが起きてもステージの上ですごい冷静でいられるんです。9月のアメリカツアーのときも、バンドメンバーが事情により遅れてしまって、サウンドチェックできなくて本番一発勝負になったんですよ。しかもそのうちドラマーさんは今日初めて一緒に演奏するという状態だったんですけど、自分の精神状態が整理されていれば、そんな状態でも「私についてきてもらえば大丈夫ですよ」みたいになれる。逆にその集中タイムがなかったらいろんな場面で慌てちゃうかもしれないです。

──クラシカルなホール会場のイイノホールには、これまでずっと応援してきた人も、初めてNaoさんの生歌を聴くという人も集まるかと思います。どんなライブにしたいなと思いますか。

ファイナルのことを頭の片隅でずっと思いながらいろんな場所を回っていました。「Rising」というアルバムは、自分自身が光り輝いていく姿がテーマになっているんですけど、そんな希望いっぱいのライブにしたいなと思っています。そのテーマに合うような、愛あふれるミュージシャンが奇跡的に集まってきていて、きっと素敵なステージになるんだろうなって今すごくワクワクしてます。

──あ、じゃあこの公演だけバンド編成が変わるということですね。

Nao Yoshioka

はい、変わります。バンドメンバーも多くなるし、尺も普通のライブの1.5~2倍くらいになります。セットリストもかなり違うので、ほかの公演を観てくださった方も新しいものを観ていただけるような構成になっていると思います。Nao YoshiokaとSWEET SOUL RECORDSでしかできない、私たちが今やりたいことをすべて詰め込んでいますし、「Rising」を作っていた去年と届けてきた今年の集大成を見せられたらいいなって思ってるので、自分にとってもこの日は大きな節目になるんじゃないかな。

「Nao Yoshioka Rising Japan Tour 2015 -Living Our Dreams」ファイナル公演
  • 2015年11月21日(土)東京都 イイノホール
    OPEN 17:00 / START 18:00

チケット一般発売中

Nao Yoshioka(ナオヨシオカ)

Nao Yoshioka

ニューヨーク仕込みのパワフルなボーカルと表現力を武器とするソウルシンガー。2009年からアメリカ・ニューヨークに2年半滞在し、Apollo Theaterで行われた「アマチュアナイト」で準優勝、アメリカ最大規模のゴスペルフェスティバルで4万人の中からファイナリストに選出されるなど輝かしい成績を残して帰国する。2012年、初のオリジナル曲「Make the Change」をSWEET SOUL RECORDSから発表。和製アリシア・キーズと呼ばれ、渡米時にはゴードン・チェンバースから称賛を受ける。2013年11月に1stアルバム「The Light」をリリース。2015年4月にはヤマハミュージックコミュニケーションズから2ndアルバム「Rising」でメジャーデビューを果たし、「SUMMER SONIC」「JOIN ALIVE」といったフェス出演やブルーノート東京での単独公演、アメリカツアー、全国13カ所を回る国内ツアーを行った。