旅先のCDショップを訪れる理由
──映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2」の前編とスカパー!で放送されているテレビ版をひと足先に観させていただきました。“ものすごく引きの強い人がナビゲートする音楽要素の多いドキュメンタリー紀行モノ”という感じで見どころは山ほどあったんですが、その中からいくつか気になった点を聞かせてください。テレビ版の第1話で「どの国に行っても必ずCDショップと楽器屋に行く」とおっしゃっていましたが、それはなぜですか?
基本的に音楽の旅なので、面白そうな音楽がある旅先を選んでいるんですね。その土地土地で伝統音楽と最新の音楽の両方を知りたいんですよ。で、トラディショナルな要素が最新のトップチャートにどれくらい反映されているのかとか、逆にまったく関係ないものが流行っているのかとかを知りたい。旅先で流行っている音楽を知るためにCDを買ったり、ラジオを聴いたり、テレビを観たり、ライブに行ったりします。あと楽器屋に行ってトラディショナルな楽器を触ってみたりも。
──アフリカのCDショップってあまり想像が付かないので、それだけでも新鮮で。
そうなんですよね。アフリカでどんな音楽がチャートを席巻しているのかなんて見当もつかないから、足を運んでお店の人に聞いてみるしかないんですよ。
現地の音楽を吸収するには一緒に演奏するのが一番
──ナオトさんは行く先々で現地の人にフランクに話しかけますよね。特に子供には積極的に触れ合って、一緒に「PPAP」をやったりもしていました。現地の子供たちから見れば、ナオトさんは周りの人とはまったく違う異質な人のはずなのに、子供たちの様子からは警戒心がまったく感じられなくてすごいなと。
向こうの子供たちがオープンなだけだと思いますよ。彼らのおかげで僕も心を開ける部分があるし。編集で短くなってますけど、実際は子供たちと「PPAP」や「変なおじさん」を1時間近くやっています(笑)。もうみんな欲しがるんですよね。
──聞きなれない言葉をマネして楽しんでいる様子は、ある意味音楽と近いところがあるかもしれないですね。音として聞こえる言葉をそのまま楽しんでるみたいな。それをプリミティブに理解して楽しむ感覚がアフリカの人たちにはありそうだなって。
あー、確かにそうですね。
──モザンビークではナオトさんがいきなりフェスのステージに立つことになって。そのときはナオトさんが現地の歌を耳で覚えて歌っていて、そこに挨拶の「こんにちは」や“日本で一番大事な言葉”として「ありがとう」という言葉を盛り込んで、すぐにオーディエンスの心をつかんでました。
旅先の音楽を吸収するには、現地の人たちの輪の中に入って一緒に歌って演奏することがベストな方法なんですよ。それを初日に実行できたのは本当にラッキーでした。でも旅の初日っていつもこういうことが起こるんです。それを僕は“初日マジック”と呼んでいます(笑)。
旅をしている限り永遠にアレンジのアイデアは枯れない
──ジンバブエでは伝統楽器のムビラを作ってもらっていましたね。
伝統楽器はどの旅先でもチェックするようにしています。そして現地の人たちみたいには弾けないけど、自分の音楽にどうやって取り入れようかっていうのは考えますね。テクニックはそんな短期間じゃ身に付かないけど、できるだけ深く知りたいし、まずはその楽器のことを理解したいと思っています。
──僕はポップスを聴いて育っているので、ナオトさんの旅の先々で流れている音楽はビートの仕組みが独特だなと感じました。ポップスの8ビートや16ビートでは考えられない場所でバスドラムが鳴ったり、不思議なリズムだなあと。
アフリカのビートを解析していくと、タカタカタカタカ……っていう16ビートの中に、タカタタカタタカタっていう3連のリズムがあって、それを行き来することで立体に見えてくる感じなんですよ。3拍子、4拍子、5拍子、6拍子の間を平気で行き来するし、かなりトランシーだと思います。
──ナオトさんの音楽はそういった世界各国のリズムを吸収しつつ、それをJ-POPに落とし込んでいるのが面白いなと思うんですよ。
J-POPってそんなにリズムや音色で遊ぶことがなくて、ある程度のフォーマットから離れずに作られている音楽なんですよね。でも世界の音楽はいろんなリズムや楽器の音色であふれていて、いろんな遊び方をしているんです。僕は世界の音楽をJ-POPにプロデュースしていく術もわかってきているから、旅をしている限り永遠にアレンジのアイデアが枯れることはないと思います。むしろこのアイデアを僕の音楽として全部形にするには、一生をかけても間に合わないと思うんです。完全に“アイデア渋滞”が起こっているので、これからもっと楽曲提供やほかのアーティストのプロデュースを積極的にしていきたいなと思っています。
次のページ »
常に「I'm ready」でいることの大切さ
- ナオト・インティライミ コンセプトアルバム「旅歌ダイアリー2」
- 2017年11月22日発売 / UNIVERSAL SIGMA
-
完全限定生産盤
[CD+PHOTO BOOK]
3980円 / UMCK-9927
- 収録曲
-
- Mukone hikwenu ke?(ミコーナ・ケー from モザンビーク)
- Sunday
- African dream -2017 Edition-
- Sunday -African ver-
- You are
- Maputo(マプト from モザンビーク)
- Farafina
- まだ夢のまま
- Sunday -LaLaLa ver-
- Elisa Gomara Saia(エリサ・ゴマラ・サイア @ モザンビーク)
- Beautiful
- 口笛 ~行き~
- Hoch auf dem gelben Wagen(ホーフ・アウフ・デム・ゲルベン・ヴァーゲン from ドイツ)
- ハイライフ
- ME DÁ UM DINHEIRO AÍ(ミ・ダ・ウン・ジニェイロ・アイ from カーボヴェルデ)
- Gypsy Rhapsody(from ルーマニア)
- Sunday -strings ver-
- Thrill me
- Var det du eller var det jag?(ヴォル・デ・ドゥ・エレル・ヴォル・デ・ジョ from スウェーデン)
- Michikusa conversation
- Sunday -piano major ver-
- Fighting pose(from ガーナ)
- Carter’s room
- How many times?! -2017 Edition-
- 崖の上のメロウソング(@ エチオピア)
- Sunday -piano minor ver-
- 口笛 ~帰り~
Bonus Track
- Sodade(ソダ @ カーボヴェルデ)
こんなの初めて!!ナオト・インティライミ 独りっきりで全国47都道府県 弾き語りツアー2018
- 2018年3月27日(火)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
- 2018年3月30日(金)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2018年4月1日(日)大分県 iichikoグランシアタ
- 2018年4月13日(金)長野県 まつもと市民芸術館
- 2018年4月15日(日)石川県 本多の森ホール
- 2018年4月19日(木)香川県 サンポートホール高松 大ホール
- 2018年4月20日(金)愛媛県 松山市民会館 大ホール
- 2018年4月27日(金)長崎県 長崎ブリックホール
- 2018年4月28日(土)佐賀県 鳥栖市民文化会館
- 2018年4月30日(月・祝)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
- 2018年5月2日(水)宮崎県 宮崎市民文化ホール
- 2018年5月11日(金)山形県 やまぎんホール(山形県県民会館)
- 2018年5月13日(日)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
- 2018年5月18日(金)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
- 2018年5月19日(土)千葉県 千葉県文化会館 大ホール
- 2018年5月23日(水)滋賀県 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
- 2018年5月25日(金)京都府 ロームシアター京都 メインホール
- 2018年5月27日(日)和歌山県 和歌山県民文化会館 大ホール
- 2018年6月1日(金)岐阜県 長良川国際会議場 メインホール
- 2018年6月3日(日)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
- 2018年6月8日(金)徳島県 鳴門市文化会館
- 2018年6月10日(日)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
- 2018年6月15日(金)岩手県 盛岡市民文化ホール
- 2018年6月17日(日)青森県 八戸市公会堂
- 2018年6月21日(木)群馬県 ベイシア文化ホール
- 2018年6月22日(金)茨城県 茨城県立県民文化センター
- 2018年6月28日(木)新潟県 新潟県民会館
- 2018年6月30日(土)北海道 ニトリ文化ホール
- 2018年8月30日(木)山口県 周南市文化会館 大ホール
- 2018年9月1日(土)島根県 島根県民会館 大ホール
- 2018年9月6日(木)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2018年9月8日(土)秋田県 秋田市文化会館
- 2018年9月12日(水)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年9月14日(金)福井県 福井市文化会館
- 2018年9月16日(日)富山県 高周波文化ホール 大ホール
- 2018年9月21日(金)栃木県 栃木県総合文化センター
- 2018年9月22日(土)神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール
- 2018年9月29日(土)鳥取県 とりぎん文化会館 梨花ホール
- 2018年9月30日(日)岡山県 倉敷市民会館
- 2018年10月5日(金)東京都 日本武道館
- 2018年10月8日(月・祝)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年10月11日(木)福岡県 福岡サンパレス
- 2018年10月12日(金)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2018年10月17日(水)三重県 三重県文化会館 大ホール
- 2018年10月19日(金)奈良県 なら100年会館 大ホール
- 2018年10月21日(日)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- ※沖縄公演はスケジュール調整中。
- ナオト・インティライミ
- 三重県生まれ、千葉県育ち。世界28カ国を515日間かけて1人で渡り歩き、各地でライブを行うなど、世界の音楽と文化を体感。帰国後となる2009年には自らのソロ活動のほか、サポートメンバーとしてMr. Childrenのツアーにも同行する。そして2010年4月、ナオト・インティライミ名義でのメジャーデビューシングル「カーニバる?」をリリース。同7月には1stアルバム「Shall we travel??」を発表し、メジャーデビューからわずか8ヶ月となる12月には東京・日本武道館公演も開催する。その後も2011年リリースの2ndアルバム「ADVENTURE」がオリコン週間アルバムランキング3位、2012年の3rdアルバム「風歌キャラバン」が同1位を獲得、同年末には紅白歌合戦に初出場するなど快進撃を続け、2013年5月に4thアルバム「Nice catch the moment!」をリリースした。2014年「2014 FIFA ワールドカップ ブラジル」開催に伴う「コカ・コーラ」のキャンペーン「みんなのトロフィー」キャンペーンの日本版アンセムとして「The World is ours!」を歌唱。同楽曲やシングル「LIFE」を収録した5thアルバム「Viva The World!」をリリースした。2015年は15thシングル「いつかきっと」がヒット、6月に初のベストアルバム「THE BEST!」をリリースし、12月には自身初となる大阪・京セラドームでのライブを4万人の観客と共に大成功に収める。2016年6月からは全国ホールツアー37公演を実施。9月には約2年ぶり6枚目となるオリジナルアルバム「Sixth Sense」をリリースし、11月から行った全国アリーナツアー11公演で計10万人を動員した。2017年1月31日に自分の原点に立ち返るために世界19カ国を回る旅に出ることを宣言。約半年の旅を経て、7月10日開催の「ナオトの日」でシーンに復帰した。11月より、この旅に密着したドキュメンタリー映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2」が前後編に分けて劇場公開されることが決定。さらにこの映画の主題歌「Sunday」を含むコンセプトアルバム「旅歌ダイアリー2」や旅の中で綴られたフォトエッセイ「旅歌ダイアリー2」の発売も決定している。2018年3月からは2度目の日本武道館公演を含む弾き語りワンマンツアー「こんなの初めて!!ナオト・インティライミ 独りっきりで全国47都道府県 弾き語りツアー2018」を開催する。