涙腺ヤバそうな理想の会場
──ライブの舞台となる東京芸術劇場は、オーケストラの演奏に適した本格的な会場ですが、ナノさんはこちらでコンサートをご覧になったことはありますか?
まだ行ったことはないんですけど、中の映像は観せていただきました。すごいパイプオルガンがあったりして、行く前からテンションが上がってお腹一杯です(笑)。理想的なオーケストラコンサートができる場所だと思いますし、音の響きも今までに感じたことのないものがあるんだろうなと思います。ステージに立ったら涙腺がヤバそうですね(笑)。
──自分は以前にこの会場でオペラを観劇したことがあるんですけど、やっぱりライブハウスとは音響が違いますからね。
オペラは生声ですが、音の反響がすごいからマイクもいらないんですよね。音のよさを第一優先で作られてる会場なので、オーケストラが生き生きすると思うんですよ。今回はオーケストラに合わせてもらうんじゃなくて、オーケストラが生きてる場所にロックを持っていくコンサートだから、オーケストラコンサートの楽しさが雰囲気も含めて肌で感じられると思うし、これほどのぜいたくはないと思いますね。小さい頃にクラシックコンサートに行っているので音の響きはある程度想像が付いていて、すごく立体感のある音になると思うんです。そのハイクオリティな音に追いつけるように、パフォーマンスや見せ方もがんばりたいですね。
──そういう意味ではナノさんにとってもお客さんにとってもご褒美になると言うか。
食べ物で言えばキャビアに例えられるぐらいぜいたくなコンサートになると思います(笑)。
いつものライブとは違う楽しみ
──ちなみにオーケストラ演奏に東京ニューシティ管弦楽団を選ばれた理由は?
自分はそこの決定に関わってないんですけど、東京ニューシティ管弦楽団はこれまで水樹奈々さんやMay'nさんともやっていて、コラボレーションの経験が多いオーケストラなんです。まったく経験がない状態でゼロから作るのは難しいと思いますけど、今回はある程度の経験があるオーケストラなので、安心感がありますね。
──アレンジはどなたが手がけていらっしゃるんですか?
オケのピアノで構成も含めてやられてる大嵜慶子(Vanilla Mood)さんという方にアレンジも全部やっていただいてます。
──実際にどんな曲を歌うかは、当日までのお楽しみといったところでしょうか。
自分の家族にすら言ってないですからね。家族と一緒に暮らしてるから、音が漏れないように聴いたりして大変なんですよ。家ではiPhoneからBluetoothでスピーカーにつなげて音楽を聴くんですけど、一度何かのきっかけで勝手にBluetoothがつながって音がだだ洩れになっちゃって(笑)。今回は5周年を締めくくる集大成でもあるので、家族にもいちお客さんとして観てほしいし、お客さんにもあまり情報を出したくないんです。ファンの方はいつもお花を贈ってくれたり、親のように気にかけてくださるんですけど、今回はただただ気持ちよくなって帰ってほしいですね。
──ホールコンサートということで、音楽面以外でもいつもと違う楽しみ方ができそうですし。
別に「一張羅で来てください」というわけではないですけど、こういう機会なのでいつもと違う格好で楽しんでもらえたらとは思いますね。オーケストラコンサートって、参加する側もいつもよりワンランク上げるような気持ちで楽しめるものだと思うので。ライブハウスみたいにモッシュが起こるわけでもないし(笑)、椅子もあるのでゆったり楽しんでほしいです。
──パンフレットやグッズも気になるところです。
パンフレットも写真を充実させたり、今まで以上に力を入れようという話はしています。オーケストラコンサートらしいものにしたいですね。グッズも何か記念になるようなものがあればいいなって。
奇跡を起こしたい
──最初にこのコンサートは「次につながる一歩」ともおっしゃってましたけど、今回の経験が今後の音作りにも影響してくるかもしれないですね。
やってみないとわからないですけど、オーケストラコンサートをやることによって感覚は変わると思います。なんの進化もないとは思っていなくて、もしこれを成功させられたら引き出しが1つ増えると思うし、今は想像していないものにつながるきっかけにもなるかもしれない。そこは自分の中でも一番の課題としてありますね。
──すでに次の動きとして、舞台「大正浪漫探偵譚-六つのマリア像-」の主題歌を担当することも決まっていますし。
舞台中に流れるテーマ曲で、自分も舞台と舞台の間のアフターショーで生で歌う予定になってるんですけど、実はこの曲もフルオーケストラで録っていて、タイミング的にも今回のコンサートにピッタリな曲なんですよ。曲のタイトルは「Gloria」で、舞台にはマリア像が出てきたりしてキリスト教のイメージがあるので、今までにない神秘的な感じが新鮮な曲になっていると思います。
──ちなみに「Gloria」はどなたが書かれたのですか?
これもWEST GROUNDですね。歌詞は自分で書いたんですけど、合唱をやっていた頃に教会で歌った経験もあるので、自分はキリスト教ではないですけど、そういうルーツを引っ張り出せたのがすごくうれしくて。リアルな部分もあって面白いと思うし、新しい自分が出せたと思います。
──次の5年に向けての新しい一歩を踏み出すのに最適な楽曲になりそうですね。では最後にオーケストラコンサートに向けての意気込みをいただけますか?
どこかで「これで5周年が終わるんだ」という名残惜しい気持ちもあるんですけど、5周年を祝うことができること自体が奇跡だと思っているので、まずはみんなへの感謝の気持ちを伝えられたらと思ってます。それとさっきも言ったように、お客さんがもう一度音楽に惚れるきっかけになればと思うし、今回はツアーと違って1回限りなので、たぶんそこには何かの奇跡が起こると思うんですよ。奇跡を起こしたいし、そういうコンサートにしたいですね。
- ナノ 5th Anniversary Concert
~Symphony of Stars~ -
2018年5月6日(日)東京都 東京芸術劇場コンサートホール
<出演者>ナノ / 東京ニューシティ管弦楽団
- ナノ「The Crossing」
- 2017年5月31日発売 / FlyingDog
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NA ver. [CD+DVD]
3240円 / VTZL-125 -
NO ver. [CD2枚組]
3024円 / VTZL-126 -
通常盤 [CD]
2592円 / VTCL-60449
- CD収録曲
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- MY LEBERATION [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- Eye of the Beholder [作詞:ナノ / 作・編曲:中西航介]
- Nameless Nemesis [作詞:ナノ / 作・編曲:中西航介]
- Hybrid Heart [作詞:ナノ / 作・編曲:buzzG]
- Bull's Eye [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- PARAISO [作詞:ナノ / 作曲:ゆよゆっぺ / 編曲:ゆよゆっぺ、WEST GROUND]
- Beautiful Disaster [作詞:ナノ / 作・編曲:Powerless]
- DREAMCATHCER [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- Because of You [作詞:ナノ / 作・編曲:重永亮介]
- Milestone [作詞・作曲:ナノ / 編曲:龍田洪]
- Pentagram [作詞:ナノ / 作・編曲:ゆよゆっぺ]
- The Crossing [作詞:ナノ / 作・編曲:SHO from MY FIRST STORY]
- 「NA ver.」DVD収録内容
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- MY LEBERATION
- Bull's Eye
- DREAMCATHCER
- The Crossing
- 「NO ver.」CD DISC 2収録内容
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- Mirror, Mirror [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- Last Refrain [作詞:ナノ / 作曲:WEST GROUND / 編曲:亀岡夏海]
- HolloWorld [作詞:ナノ / 作・編曲:SHO from MY FIRST STORY]
- bittersweet [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- DARE DEVIL [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- HAVEN [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
- GALLOWS BELL 5th Anniversary ver. [作詞・作曲:buzzG / 編曲:伊賀拓郎]
- ナノ
- アメリカ・ニューヨーク州出身、7月12日生まれ。卓越した歌唱力と、日本語と英語を使い分けるバイリンガルシンガー。2010年よりYouTubeやニコニコ動画などの動画サイトに、洋楽やVOCALOIDのカバー楽曲の投稿を始め、国内外問わず多くの音楽、アニメユーザーの支持を集める。2012年3月にアルバム「nanoir」でデビューを果たし、1年後の2013年3月には東京・新木場STUDIO COUSTで初のワンマンライブ「Remember your color.」を大成功のうちに収めた。同年5月にはドイツ・デュッセルドルフで行われたジャパニーズカルチャーコンベンション「DoKomi」に招待され、初の海外公演を体験。以降は海外でのライブも積極的に行っている。デビュー5周年を迎えた2017年は2枚のシングルと1枚のオリジナルアルバムのリリース、全国ツアー、初のサイン会など精力的に活動した。2018年5月にはアニバーサリーイヤーの締めくくりとなるオーケストラとのコラボレーションコンサート「ナノ 5th Anniversary Concert ~Symphony of Stars~」を東京・東京芸術劇場コンサートホールで開催。また4月に東京・シアター1010で上演される舞台「大正浪漫探偵譚-六つのマリア像-」では主題歌を担当する。