ナノ|デビュー5周年を締めくくる星のシンフォニー

2017年3月にデビュー5周年を迎えたナノ。それから1年間、ナノはシングル2枚のリリースと4thアルバム「The Crossing」の発表、国内とアジアを回るライブツアー「5th Anniversary Tour『The Crossing』」、さらには初のサイン会や海外イベント出演など精力的な活動を行い、ファンに感謝の言葉を伝えてきた。

そしてアニバーサリーイヤーの締めくくりとして、5月6日に東京・東京芸術劇場コンサートホールでフルオーケストラとのコラボレーションコンサート「ナノ 5th Anniversary Concert ~Symphony of Stars~」を開催する。ハードなロックサウンドをベースに持つナノの音楽が、オーケストラとどのような融合を果たすのか。オーケストラとの共演は目標の1つだったと言うナノに、コンサートに向けての意気込みを聞いた。

取材・文 / 北野創

5周年の精力的活動による心境変化

──2017年はデビュー5周年企画で4thアルバム「The Crossing」のリリースやツアーを行われて、充実した1年でしたね。

ナノ 5th Anniversary Tour「The Crossing」最終公演の様子。(写真提供:FlyingDog)

5周年は自分の中でも大きな1ページだったので、今になってようやく気持ちが収まってきました。でも今は完全に気持ちが前に向いていて、次の10周年に向けてという思いが一番大きいですね。5月のオーケストラコンサートも形としては5周年のフィナーレみたいなものですけど、自分の中では次につながる一歩と見ていて。結局全部つながるものなんだろうなと思ってます。

──昨年のツアーは香港と台湾での海外公演を含む過去最多の7公演でしたが(参照:ナノが国内外回る5周年ツアー、思い出の地・台北で幕)、手応えはいかがでしたか?

自分からもたくさんアウトプットしましたけど、逆に吸収したことのほうが多かったですね。ツアーが終わったら別人になってるぐらい成長するのが目標だったんですよ。ツアーを終えたことで次に何をしたいのかが見えてきましたし、初めてナノとして自信を持ってお客さんとつながることができたと思います。

──そこは何か自信を得たり、つながりを感じる瞬間みたいなものがあったのでしょうか?

今までは自分の中でまだはっきりと何がしたいのかつかめてなかったり、自分と葛藤しながらここまできた気持ちが大きかったので、自信を持てない部分があったんですよ。でも今回はなんだかわからないけど自信があって(笑)。それはここまでやって来れたという気持ちが自信につながったんだと思いますし、この5年間を作ってくれたのは曲を聴いてくれるみんななので、とにかくその人たちに悔いのないライブを届けなきゃと思ったんです。だから逆に5周年だからこそお客さんに自信を持っていいんだよって言われた気がしてます。

──きっと昨年に初のサイン会を開催して、お客さんと直接触れ合う場を設けたことも影響してるんでしょうね。

今までそんなことやったことなかったので喜んでくれるのかわからないし、コンサート以外の場所でファンに会うことが正解かどうかもわからなかったんですけど、生身のファンの方と接することで「実際にCDを買ってくれる人がこんなにいるんだ」とか「涙を流してくれる人がいるんだ」という感動がありました。それによってツアーを成功させたいという思いも強くなって。11月にファンイベントをやったときも感動がありましたし、自分はそれまで音楽のみを通してファンと接してきたので、そういう場面はどちらかと言うと苦手なんですけど、たまにはいいなと思いました。毎日は無理ですけど(笑)。

──そういった心境の変化がライブでの新たな手応えにつながったと。

ファンと直接会うことでライブの見せ方も変わったと思いますし。こちらから一方的にではなくて、そこに立体感のあるやり取りがあることを実感したので、ひたすらカッコよく見せるためにがんばる必要はないし、お客さんと寄り添っていいんだなと思って。

こだわらないことがこだわり?

──ナノさんは2016年まで素顔を伏せて活動されていたので、そこから自分自身の実像を見せるようになったことも、お客さんとの距離感が変わるきっかけになったのでしょうか。

変な話、より人間らしくなったと言うか(笑)。ネットで音楽をやるのは画面だけのやり取りだから、やっぱりライブやイベントをやらないと人間の温もりを感じられなくて。そこはこういうふうに進化してよかったなと思います。

──ご自身の活動の中でライブの位置付けも変わってきたのでは?

そうですね。もともとライブをやること自体は好きだったんですけど、今は本当に心から楽しめるようになったと思います。

──2013年の1stライブからこれまでたくさんのライブを重ねてこられたわけですが、パフォーマンス面で具体的に変化したことはありますか?

最初の頃は本当に歌うことで精いっぱいで、動いたりカッコよく決めたりなんてとてもじゃないけどできなくて。でも最近は余裕ができてきた実感がすごくあるんですよ。ライブではいつも流れに身を任せて自然に体を動かしてるんですけど、自然体だからこそ自分では変わったことがすごくわかるし、まだまだこうなりたいと思うことはたくさんありつつも、今は余裕を持って楽しめています。

──ライブを行うにあたって心がけてることはありますか?

具体的なことは特にないんですけど、自分の場合は海外のイベントに出演することも多くて、いろんなステージに立たせていただくので、どのステージでもベストを尽くせるように精神管理は大事にしてますね。少し堅いかもしれないですけど、普段の生活から自分をキープしてこの5年間をやってきました。たぶん普通の人が聞いたら「つまんないだろうな」と思うぐらい規則正しい生活なんですよ(笑)。今は一時期ほど早寝早起きでもないですけど、ツアーのときはそうしてますね。

──ストイックな性格なんでしょうか。

基本はすごくルーズなんですけど、変なところですごく潔癖症なので(笑)。わかりづらいこだわりがいっぱいあるんです。

──ライブ前に必ず行う自分だけの決まり事みたいなものはありますか?

なんだろう? ライブ当日は逆に何もしないですね。イベントとかに出るとみんな準備の仕方が違ってて面白いんですよ。トイレにこもってひたすら大声でウオームアップしてる方とか、走り回ってる方とか、水は決めたものしか飲まない方とかもいたりして。自分はあまり動かないし、声も出さないですし。ただ、こだわりがないように見えて、それが意外とこだわりだったりするのかもしれないですね。全部頭の中でやっていると言うか、あまりモノや行動に頼りたくない性格なんです。薬も嫌いで、風邪をひいても飲まないぐらいですから。

ナノ 5th Anniversary Concert
~Symphony of Stars~
2018年5月6日(日)東京都 東京芸術劇場コンサートホール
<出演者>ナノ / 東京ニューシティ管弦楽団
ナノ「The Crossing」
2017年5月31日発売 / FlyingDog
ナノ「The Crossing」NA ver.

NA ver. [CD+DVD]
3240円 / VTZL-125

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ナノ「The Crossing」NO ver.

NO ver. [CD2枚組]
3024円 / VTZL-126

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ナノ「The Crossing」通常盤

通常盤 [CD]
2592円 / VTCL-60449

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CD収録曲
  1. MY LEBERATION [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  2. Eye of the Beholder [作詞:ナノ / 作・編曲:中西航介]
  3. Nameless Nemesis [作詞:ナノ / 作・編曲:中西航介]
  4. Hybrid Heart [作詞:ナノ / 作・編曲:buzzG]
  5. Bull's Eye [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  6. PARAISO [作詞:ナノ / 作曲:ゆよゆっぺ / 編曲:ゆよゆっぺ、WEST GROUND]
  7. Beautiful Disaster [作詞:ナノ / 作・編曲:Powerless]
  8. DREAMCATHCER [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  9. Because of You [作詞:ナノ / 作・編曲:重永亮介]
  10. Milestone [作詞・作曲:ナノ / 編曲:龍田洪]
  11. Pentagram [作詞:ナノ / 作・編曲:ゆよゆっぺ]
  12. The Crossing [作詞:ナノ / 作・編曲:SHO from MY FIRST STORY]
「NA ver.」DVD収録内容
  • MY LEBERATION
  • Bull's Eye
  • DREAMCATHCER
  • The Crossing
「NO ver.」CD DISC 2収録内容
  1. Mirror, Mirror [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  2. Last Refrain [作詞:ナノ / 作曲:WEST GROUND / 編曲:亀岡夏海]
  3. HolloWorld [作詞:ナノ / 作・編曲:SHO from MY FIRST STORY]
  4. bittersweet [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  5. DARE DEVIL [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  6. HAVEN [作詞:ナノ / 作・編曲:WEST GROUND]
  7. GALLOWS BELL 5th Anniversary ver. [作詞・作曲:buzzG / 編曲:伊賀拓郎]
ナノ
ナノ
アメリカ・ニューヨーク州出身、7月12日生まれ。卓越した歌唱力と、日本語と英語を使い分けるバイリンガルシンガー。2010年よりYouTubeやニコニコ動画などの動画サイトに、洋楽やVOCALOIDのカバー楽曲の投稿を始め、国内外問わず多くの音楽、アニメユーザーの支持を集める。2012年3月にアルバム「nanoir」でデビューを果たし、1年後の2013年3月には東京・新木場STUDIO COUSTで初のワンマンライブ「Remember your color.」を大成功のうちに収めた。同年5月にはドイツ・デュッセルドルフで行われたジャパニーズカルチャーコンベンション「DoKomi」に招待され、初の海外公演を体験。以降は海外でのライブも積極的に行っている。デビュー5周年を迎えた2017年は2枚のシングルと1枚のオリジナルアルバムのリリース、全国ツアー、初のサイン会など精力的に活動した。2018年5月にはアニバーサリーイヤーの締めくくりとなるオーケストラとのコラボレーションコンサート「ナノ 5th Anniversary Concert ~Symphony of Stars~」を東京・東京芸術劇場コンサートホールで開催。また4月に東京・シアター1010で上演される舞台「大正浪漫探偵譚-六つのマリア像-」では主題歌を担当する。