ナタリー PowerPush - ナノ
2ndアルバム&初ライブで 究極の「N」を目指す
「実はこれだけじゃない」と証明できる曲順
──ニューアルバム「N」は冒頭2曲(「neophobia」「All Eyes On Me」)が非常にアグレッシブで、楽曲のサウンドやアレンジは海外のロックやハードロックに近い。特に「neophobia」は全編英詞で歌われているから、そのイメージはより強まります。
そうですね。まさしく。
──ところが3曲目「KALEIDOSCOPE」、4曲目「Nevereverland」でJ-POP的、J-ROCK的なアレンジの、キャッチーな楽曲にいきなり切り替わる。この「次から次にどんな曲がくるのか」と思わせてくれるのが、このアルバムの醍醐味というか。
曲順に関しては今回かなりこだわりました。これだけいろんな曲調があれば内容が散漫になってしまうリスクもあるけど、逆にリスナーのみんなを常に驚かせたいっていう気持ちもあるので。それからアルバムの流れにはストーリーというものがあって、そこは曲順にも反映されると思うんです。
──5曲目「Silence」、6曲目「A Genesis」ではストリングスも取り入れられていて、どことなくシンフォニックメタルを彷彿とさせる。この2曲からはナノさんの新しい魅力が感じられます。
ここはアルバムの中でも一番グワーッとアガるポイントですよね。ストリングスは今まで取り入れたことがなかったので、今回使ったことでサウンドがさらに豊かになったと思います。
──そしてアルバムのヘソというか折り返し地点となる7曲目「Remember, My Friend」ではアコースティックサウンドにも挑戦しています。ここまでの流れは従来のナノさんの色も残しつつ、どんどん新しい色を加えていってる気がしました。
最初に洋楽っぽい曲を持ってきたのは、やっぱり皆さんがナノに持っているイメージを具現化したというか。自分がアメリカ生まれということは公表してるし、英語で歌ってきたからそっちのイメージが強いと思うんです。だからみんなが期待してるような洋楽っぽさを最初に提示して、そこから曲が進むにつれて「でも実はこれだけじゃないんだよ」ということを証明できる曲順にしたかったんです。
「Palette」で余韻を残す終わり方をしたかった
──そこからアルバム後半に進むと、既発のシングル曲「Now or Never」「No pain, No game」や、ナノさんの原点とも言うべきボカロ曲の英詞カバーがあります。今回は「Black Board」と「Palette」という2曲を取り上げてますが、これを選んだ理由は?
「Black Board」はニコニコ動画で「歌ってみた」動画として過去に投稿したことがあって、反響が大きかったんです。「アルバムを作ったらぜひ入れてください」という声があったので、今回改めてカバーしました。そして「Palette」に関しては、最初にピアノのイントロを聴いた瞬間からグッと心をつかまれて大好きになった曲で。実は「nanoir」の頃からずっと歌いたいなと思っていたんですけど、いろいろ悩んだ結果前作には入れず、今回ようやく入れることができたんです。
──ゆよゆっぺさんの原曲を聴いて歌うのがすごく難しそうな曲だと思ったんですが、いかがでしたか?
「Palette」はボーカルがどうこうではなく、曲全体の雰囲気が幻想的なので、歌ってみるまではどうしたらいいかがイメージできなくて。ただ原曲のよさを壊さずに、自分らしく歌うことをすごく大事にしました。
──原曲の雰囲気を残しつつ、ちゃんとナノさんの色も発揮されているし、アルバム全体を通してもこの曲で終わる流れはすごくきれいですよね。
聴いたあと余韻を残すような謎めいた終わり方をしたくて、この曲を最後に持ってきたんです。アルバムを聴き終わったあとに、まだ耳の奥のほうで鳴ってるような気がするのが「Palette」という曲の魅力だと思いますし。
──聴き終わってすぐにもう1回聴くんじゃなくて、ちょっと余韻に浸ってアルバムを反芻するような、そんな構成になったと思います。ところでこの曲のタイトルって、前作「nanoir」のテーマ「Remember your color.」にも通ずるものがありますが。
そうですね。今回の「N」は「nanoir」みたいに虹色っていうテーマではないんですけど、でもいろんな色が詰まった作品にしたいってことは今回も意識しました。そんなアルバムの最後を締めくくる曲のタイトルが「Palette」というのも完璧ですし。アルバムにはタイプが違う曲が並んでるけど、自分が歌うことでそれを1本つながったものにすることができたっていう満足度が、今回は本当に高いんです。
予想外だけどアルバムに欠かせない曲
──実は今回のアルバムで個人的に気に入っているのが、9曲目の「BE FREE(WITH MUSIC)」でして。バンドサウンドを主体としたサウンドが詰まったアルバム「N」の中では、デジタル色の強いこの曲が一番異色だと思うんです。
たぶんみんな最初に聴いたとき、頭の中にハテナが浮かんでくると思うんですよ(笑)。絶対に予想外の曲だと思うんですけど、個人的にはこのアルバムに欠かせない曲だと思っていて。個人的にも、このアルバムではトップクラスで好きな曲ですね。
──作曲はkzさんですが、エレクトロサウンド主体にもかかわらずちゃんとロック色も感じることができる曲に仕上がってます。
そうですね。kzさんも今までロック系の曲を手がけたことがなかったらしくて、kzさんやスタッフ含めて「本当にこれ、大丈夫かな?」って最後の最後まで思ってたと思うんです。だけどちゃんと真面目に作ったかいがあって、本当に新鮮な感じの、ロックとエレクトロが融合したサウンドに仕上がったと思います。
──これまでロック畑にいたナノさんがエレクトロ調の楽曲に挑戦しているという面白さもありますし、異色の楽曲ではあるもののアルバムを通して聴くとちょうどいいパンチとなっていると思います。
今までこういうタイプの曲を歌ったことが本当になくて。最初にいただいた仮ボーカルが入ったデモテープは今とはぜんぜん違うバージョンでもっとエレクトロっぽいボーカルだったので、正直「歌えるかな?」って思ってたんです。そこから自分なりの歌い方で歌った結果、完成に至って。出来には納得いってます。
- ニューアルバム「N」 / 2013年2月27日発売 / FlyingDog
- 初回限定盤 NA ver. [CD+DVD+写真集] 3000円 / VTZL-57
- 初回限定盤 NO ver. [CD+グッズ] 2600円 /VTZL-58
- 通常盤 [CD] 2400円 / VTCL-60332
CD収録曲
- neophobia
- All Eyes On Me
- KALEIDOSCOPE
- Nevereverland
- Silence
- A Genesis
- Remember, My Friend
- Now or Never
- BE FREE(WITH MUSIC)
- No pain, No game
- Black Board
- Horizon
- Palette
初回限定盤 NA ver. DVD収録内容
- Now or Never(PV)
- No pain, No game(PV)
- Nevereverland(PV)
- neophobia(PV)
- neophobia メイキング映像
ナノ ファーストソロライブ
「Remember your color.」
2013年3月16日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
※ソールドアウト
ナノ
アメリカ・ニューヨーク州出身、7月12日生まれ、血液型B型というプロフィール以外は明かされていない、新進気鋭のバイリンガルシンガー。2010年12月29日に動画投稿サイト「ニコニコ動画」に、人気VOCALOID楽曲「モザイクロール」を自作の英語詞でアレンジし投稿。この動画がわずか3日で、サイト内ジャンルランキング1位を記録した。その後も数多くのVOCALOID楽曲の英語詞アレンジや洋楽カバー曲を投稿し、卓越した歌唱力と堪能な英語力でリスナーを魅了。2011年6月に発売されたbuzzGのアルバム「祭囃子」にゲストボーカルとして参加し、大きな注目を集めた。2012年3月に初のアルバム「nanoir」で待望のメジャーデビューを果たす。また1stシングル「Now or Never」がテレビアニメ「ファイ・ブレイン~神のパズル」第2シリーズのオープニングテーマに起用されたことでも注目を集めた。同年10月にはテレビアニメ「BTOOOM!」のオープニングテーマ「No pain, No game」をシングル化。2013年2月には2ndアルバム「N」を発表し、翌3月に1stライブ「Remember your color.」を敢行する。