ナタリー PowerPush - ナノ

初シングルの魅力語る&岸尾だいすけと濃厚対談

3月14日にアルバム「nanoir」(ナノワール)でメジャーデビューを果たしたバイリンガルシンガー・ナノが、早くもメジャー1stシングル「Now or Never」をリリースする。表題曲は4月からNHK Eテレでスタートしたテレビアニメ「ファイ・ブレイン ~神のパズル」第2シリーズのオープニングテーマとしてオンエア中。「nanoir」で聴くことができたエモーショナルなサウンドに、ストリングスを使ったドラマチックなアレンジが加えられており、アーティストとして一歩前進したことが伺える充実の仕上がりとなっている。

今回でナタリーPower Pushに2度目の登場となるナノ。自身によるシングル収録曲解説のほか、同じレコード会社、同じデビュータイミングということで、プライベートでも親交が深い声優・岸尾だいすけとの対談に臨んでもらった。

取材・文 / 西廣智一

ナノ「Now or Never」インタビュー

「Now or Never」ではアニメの世界観を1曲で表現

──「Now or Never」は4月からアニメ「ファイ・ブレイン ~神のパズル」第2シリーズのオープニングテーマとしてオンエアされています。番組のオープニング映像も観ましたが、曲と映像のスピード感が見事にマッチしてますね。

曲に合わせて作ってもらったアニメーションですけど、相性120%じゃないかと思います。Twitterでも「あの暴走感がヤバい!」って反響をよく目にしますし。

──「Now or Never」はアニメのタイアップが決まって、そこから制作したんですか?

そうです。アニメのオープニングのお話をいただいて、そこから曲作りを進めていって。

──アニメのストーリーがあって、そこに合わせて曲作りを進めるのはこれが初めてかと思いますが、実際にやってみてどうでしたか?

事前に決まったストーリーを踏まえて曲を作っていくのは確かに初めてのことで、本当に今までとは進め方が違うなと。1stアルバム「nanoir」に入ってる「magenta」も「こういう曲を作ろう」っていうテーマに沿って作っていったんですけど、「Now or Never」でのテーマはアニメの世界観を1曲の中で表現することだったんです。だから、自分の右脳を「ファイ・ブレイン」の世界にどっぷりと浸からせて書いたので、今までとは違う世界観の楽曲にすることができたと思います。

──「Now or Never」は「nanoir」の延長線上にありながらも、曲の中盤では前作にはなかった複雑な展開が入ってきます。アニメのオープニングでは1コーラス目しか使われてないから、アニメを観てこのCDを買った人は2コーラス目以降の流れにビックリすると思いますよ。このアレンジはアニメのストーリーをイメージしたものなんですか?

はい、後半では特にアニメから感じられる壮大さを表現したかったんです。だから、実際にオープニングで使われている曲の部分ではスピード感を強調して、後半からはよりディープな世界を聴かせられたらと思って。

──歌詞もアニメで使われる部分は日本語詞が中心ですが、後半の展開パートは完全に英語詞で。

歌詞の内容もアニメのテーマに合わせたものなんですけど、英語詞のパートは日本語詞のパートよりさらに自分と向き合うことを強調した内容で。日本語だとストレートすぎてしまうから、英語だからこそうまく表現できたんじゃないかなって気がします。

──特に英語詞パートの後半に出てくる「This is my life」というフレーズが、とても印象的というか。

これは曲のタイトルにも通ずる部分で、自分の人生だからこそ「Now or Never」……今を逃したらチャンスは二度とないよ、ってことを伝えたかったんです。

「Destiny ~12回目の奇跡~」は自分にとって大きなハードル

──カップリングの「Destiny ~12回目の奇跡~」は「Now or Never」同様にエモーショナルな楽曲ですが、タイプは異なりますよね。

本当にそうですね。「Now or Never」はギターのカッティングから始まって、「Destiny ~12回目の奇跡~」はピアノから優雅に始まる。それだけでも世界観が違うと感じてもらえると思います。

──この曲の作詞作曲にナノさんは携わってませんが、提供していただいた楽曲をナノさんの方向性により近づけていった感じなんでしょうか?

PSP用ソフト「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」キービジュアル(c)Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.

曲をいただいた時点で今のアレンジにかなり近かったんですけど、歌詞に関しては「ちょっとここが歌いづらい」とか「ここの英語の表現は、もしかしたらこっちのほうがいいんじゃないか」とかそういった提案はしてます。

──じゃあこの曲に関しては、シンガーとして歌うことに徹したと。そういう意味ではニコ動での活動に近いものを感じたりしましたか? それとも全く異なることでしたか?

その中間かもしれません。ニコ動だと自分の色を100%出し切って、好き勝手に歌えるんですけど、今回はゲーム(PSP用ソフト「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」)のテーマソングということで、その世界観を守りつつも自分らしく歌わなければならない。そういう意味では、この曲は自分にとって大きなハードルだったと思います。プレッシャーは感じましたけど、でもすごくいい経験でした。

ここまで音楽をやってきた中で、今が一番楽しい

──メジャーデビューから早くも2カ月が立ちましたが、プロのアーティストになって心境の変化はありましたか?

「nanoir」が出て自分がどう変わったのかは正直実感がないんです。今は歌うことに対してどんどん本気になっていて、楽しむ気持ちもありつつ、いろんなことに挑戦したり、いろんな音楽を勉強したりしてるところです。

──バラエティに富んだアルバム「nanoir」といい、今回のタイプの異なる2曲といい、毎回いい感じでハードルを越えてる感じがありますが。

これだけのペースでハードルをどんどん越えていくのもなかなか大変なものですけど(笑)、今のところはがんばれてますね。ときどきハードルに足が引っかかったりもしてますが(笑)。

──でも、楽しんでやってる感じはすごく伝わってきます。

すごく楽しいです。ここまで音楽をやってきた中で、今が一番楽しいですね。

──これから半年後、1年後にどう成長してるのか、本当に楽しみにしてます。

やっぱり「Now or Never」じゃないですけど、思い立ったときにやれることをどんどん積極的に攻めていきたいなっていう気持ちが強くて。これからいろんなチャンスがあると思うんですけど、そこに対しては物怖じせずに、どんどん自分を試していきたいです。

1stシングル「Now or Never」 / 2012年5月23日発売 / 1100円(税込) / flyingDOG / VTCL-35131

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CD収録曲
  1. Now or Never
  2. Destiny ~12回目の奇跡~
  3. Now or Never (Instrumental)
  4. Destiny ~12回目の奇跡~ (Instrumental)
ナノ

ナノ

アメリカ・ニューヨーク州出身、7月12日生まれ、血液型B型というプロフィール以外は明かされていない、新進気鋭のバイリンガルシンガー。2010年12月29日に動画投稿サイト「ニコニコ動画」に、人気VOCALOID楽曲「モザイクロール」を自作の英語詞でアレンジし投稿。この動画がわずか3日で、サイト内ジャンルランキング1位を記録した。その後も数多くのVOCALOID楽曲の英語詞アレンジや洋楽カバー曲を投稿し、卓越した歌唱力と堪能な英語力でリスナーを魅了。2011年6月に発売されたbuzzGのアルバム「祭囃子」にゲストボーカルとして参加し、大きな注目を集めた。2012年3月に初のアルバム「nanoir」で待望のメジャーデビューを果たす。また、テレビアニメ「ファイ・ブレイン~神のパズル」第2シリーズのオープニングテーマに、新曲「Now or Never」が決定したことでも注目を集めている。同年5月、初のシングル「Now or Never」をリリース。