音楽ナタリー PowerPush -ななみ

13曲で届けるななみの愛

ななみが1stアルバム「ななみ」をリリースした。昨年10月にメジャーデビューを果たした彼女は、これまで今作のほかに2枚のシングルを発表。また各地のイベントやライブに数多く出演するなど、精力的な活動でその認知度を高めている。今作には、彼女がこれまでの人生の中で経験してきたさまざまな“愛の形”を表現した楽曲が収められている。音楽ナタリー3度目の登場となる今回のインタビューでは、デビューから7カ月経った彼女の現状や、自らが“人間臭い”と語るアルバムに込めた思いなどを聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 笹森健一

人間臭いアルバム

ななみ

──昨年10月にメジャーデビューしてから2枚のシングルと今回のアルバムをリリースしたわけですが、相当濃い7カ月をお過ごしになったんじゃないですか?

半年とは思えないんですよね。もう2年くらい経ったような気がしています(笑)。すごく忙しかったんですけど、これまでにないくらい生きている感じがして。なんだか気持ちよかったんですよね。

──初めてのアルバムが形になってみて、どう感じていますか?

なんか“人間臭い”アルバムになったなって思ってます。

──人間臭いというのは?

情緒不安定だなって(笑)。「愛」のことを歌ってると思ったら、すぐ次の曲で「恋」を歌ってるし。しかも「恋は嘘だった」とか「裏切って恨んでやる」とかを曲の中で言ってるんですよ。でも、そういうものを全部ひっくるめて、根本にあるのは愛なんだろうなって思っています。

──アルバムのタイトルを「ななみ」と自分の名前にしていますが、これにはどういう理由があるんですか?

いろいろ考えているうちに、アルバムにタイトルを付けたくないなって思ったんです。曲にタイトルがあるのに、さらに枠を作る必要があるのかって。だったら初めてのアルバムっていうことと、包み隠さずいろんな曲が入ってるから「ななみらしいかな」と思ってこの名前にしました。それと、“愛=ななみ”っていうふうに認識されるようになればいいなっていう思いも込めています。

たかが13曲じゃ人の心は変えられない

ななみ

──前回のインタビュー(参照:ななみ「I'll wake up」インタビュー)では、いろんな曲を歌って「ストーリーを感じさせるアーティストになりたい」とおっしゃっていました。戦略的に1stシングルと2ndシングルで雰囲気の違う曲を提示してきたななみさんにとって、このアルバムはどういう位置付けになるのでしょうか?

今回アルバムを初めて作ってみて、やっと自分が全部出せたと感じました。これまでシングルを2枚作ってみて、自分なりに納得した曲を届けられたとは思ってるんですけど、新曲もどんどん作っていて、やりたいことが多すぎてシングルの曲数じゃ足りないって思ってたんですよ。アルバムには本当にいろんな曲が入っていて、定まってないとも言えるんですけど、いい意味で偏ったイメージを持たれないようなバラエティに富んだ作品になりました。私にはシングルよりアルバムのほうが向いてるなって。

──先ほど「新曲をどんどん作っている」とおっしゃっていましたが、アルバムの収録曲は最近作った曲が多いのですか?

そうですね。昔からある曲は「ポケットの恋花火」と「去れ負け犬よ」、あとはシングルの曲くらいで、あとはほとんどデビュー後に作った曲です。アルバムに入れる曲は候補が多すぎてオーディションみたいでした。「はい、この曲のいいところはどこですか」って、1つずつ考えていくような(笑)。ディレクターさんともいろいろ話し合って、ライブのときの流れもイメージしながら選んでます。

──アルバムに入らなかった曲も多いんですね。

シングルよりアルバムが向いてるって言いましたけど、それでも足りないとは思ってるんです。たかが13曲じゃ人の心は変えられないのかなって。

ななみ

──人の心を変えるためにはもっと曲を世の中に発信していく必要があると?

それも1つの方法だと思うんですけど、もっと人の心に直接届けるためにライブがあるのかなってことに気付きましたね。音源とライブは私の中でまったく別なものなんですよ。一番はステージを観に来てほしいから、アルバムの選曲はかなりライブを意識してるんです。

1stアルバム「ななみ」/ 2015年5月13日発売 / 3000円 / e-stretch RECORDS / CRCP-40407
1stアルバム「ななみ」
収録曲
  1. I'll wake up
  2. 去れ負け犬よ
  3. 約束を果たすその日まで
  4. I live for love
  5. 愛してる
  6. 出逢えたのはあの店で
  7. 許されざる愛
  8. ポケットの恋花火
  9. 君という宝物
  10. 悲しみにありがとう
  11. Dahlia
  12. 涙レンズ
  13. 愛が叫んでる
“~73 Street Mission 2015~”
1st Album「ななみ」リリース全国ストリートライブツアー
  • 2015年5月13日(水)~17日(日)九州各地
    ※開催地、開催時間などの詳細はオフィシャルサイトや、ななみスタッフTwitterFacebookで随時発表。
  • 2015年5月23日(土)東京都 新宿駅、渋谷駅周辺予定
  • 2015年5月27日(水)愛知県 名古屋駅周辺予定
  • 2015年5月28日(木)愛知県 名古屋市内予定
  • 2015年5月30日(土)埼玉県 大宮駅、川口駅周辺予定
  • and more
  • ※6、7月も「73 street mission 2015」は全国で展開予定。
ななみ

1993年、大分県生まれ。学生時代から地元大分でライブの経験を積み、2013年1月に行われたヤマハグループ主催のコンテスト「The 6th Music Revolution JAPAN FINAL」でグランプリを受賞。NHK大分放送局のノンフィクション番組「ドキュメント 桃」の主題歌として書き下ろし曲「桜」がオンエアされるなど、地元大分での注目を集めた。グランプリ受賞後は、全国22カ所を1人で回る弾き語りツアーを行い、着実にその知名度を上げていく。2014年10月、自身が“暗黒時代”と呼ぶ学生の頃の経験をモチーフにした楽曲「愛が叫んでる」をシングルリリースし、日本クラウンとヤマハが合同で設立したe-stretch RECORDSよりメジャーデビュー。2015年2月に2ndシングル「I'll wake up」を、同年5月に1stアルバム「ななみ」を発表した。