- Page 1
- Page 2
今年は自分をもうちょっと成長させる時期かも
思えば彼女はデビューのときからずっと、巨大なプロジェクトのど真ん中で自分自身を表現し続けてきた。新曲を出せば多くのタイアップがつき、ツアーをやれば豪華なセットと大きなホールが用意される。常に一流のスタッフがその才能を提供し、膨大な数のファンが彼女の一挙手一投足を見守っている。ヒットを常に期待され続けることに対するプレッシャーは並々ならぬものがあると思うのだが。
「それがね、ウソだろって言われるかもしれないですけど。まったく気にならないんです。ほんと、ソニーの人がいる前で申し訳ないんですけど(笑)。いいものにしなくちゃ、というプレッシャーは常にありますけど、でもどのくらい売れたかとかいままで聞こうと思ったこともないし、ぜんぜん知らないんですよ。みんな説明してくれるんですけど、ぜんぶ聞き流してるんですよね(笑)。そういう数字とかっていうのは私に必要なものではないので。だから気にしてないです。タイアップみたいなものも、それも決まったならやるけど、別にあの、スタッフのみんながわざわざ辛い思いまでしてとってこなくていいよって思っちゃう。『別になくてもいいんじゃない?』とか言ってしまって。いつもみんながんばってくれるから、もちろんそれはありがたいなあとは思うんですけどね」
楽曲を提供するアーティストはいい曲を作り、プロモーションスタッフはセールスを上げるために駆け回る。そして中島美嘉は、ただひたすらにいい歌を歌う。それぞれが高いプロ意識の中で自分の仕事をまっとうし、その結果としてハイレベルな音楽が世の中に広まっていく。すべてを自分自身でやりたがるアーティストが多い中で、それとは真逆の分担作業。中島美嘉のクリエイティブの秘密がここにあることは間違いないだろう。そして、こうなるとやはり「SAKURA~花霞~」に続く2008年の活動にも期待がかかるところだが。
「うーん、今年はちょっと地味かもしれない。歌のトレーニングとか体力作りとか。自分をもうちょっと成長させる時期かも。なんかね、そんな焦ってやらなくてもいいのかなって、この前のツアーが終わって思ったんですよね。ライブがすごく楽しかったから、だから逆に、もう一回同じメンバーでライブをやるんだったら、みんなが「なんか変わったね」「よくなったね」って言ってもらえるところまで持っていきたいなって思って。もうデビュー7年目なので、いつまでも新人気分でやってたら逆に甘えになってくると思うし。これからは自分のいいところも悪いところもちゃんと見つめて。いいところを伸ばして、悪いところを変えていくようにしていきたいですね」
『仰天ニュース』と『アンビリバボー』がある日は早く帰りたい(笑)
世間の期待や思惑とは裏腹に、あくまで自分のスタイルを貫き続ける中島美嘉。18歳でデビューしたときから大人びた印象のあった彼女だが、25歳になったいまもマイペースな姿勢は変わらない。しっかりと地に足をつけ、周りの声にも惑わされず。本人は自分がトップアーティストであるという、そんな実感すら持っていないようだ。
「普段の生活はぜんぜん華やかじゃないですよ。普通だと思うんですけど、うん。パーティとかクラブとか嫌い。行かないし。たいてい家で本読んだりしてます。本を読んでるか映画を観てるかどっちかですね。本はノンフィクション以外はいまは読まないです。いつ頃からかな、世界で起こっているいろんなことを知りたくなったんですよ。例えばアフリカとかでいまも割礼の風習があったりとか、いまだに奴隷制度が実際にあったりとか。あとはある事件の犯人の語る真実みたいなのとか。そういう本ばかり読んでますね」
じゃあテレビは?
「ドラマは続けて観れないのが苦になるからあんまり観ないんですけど。これがあるから家に帰りたいっていうぐらい好きなのは、『仰天ニュース』と『アンビリバボー』(笑)。あれがある日はできるだけ早く帰りたいです。『仰天ニュース』とか、出演しちゃったくらい好きですからね」
決して虚勢を張らず背伸びをせず、普通の生活感を持って日々を過ごす彼女。華やかな世界に身を置きながら、ガツガツしたところのないその姿勢は端から見ていても心地よい。そして、そんな彼女の「平熱感覚」こそが幅広い層に支持され続けている所以なのだろう。
2008年3月12日発売
1223円(税込)
AICL-1906
Sony Music Associated Records
収録曲
- SAKURA~花霞~
- SAKURA~花霞~
(DAISHI DANCE) - conFusiOn
- SAKURA~花霞~
(Instrumental) - conFusiOn
(Instrumental)
プロフィール
中島美嘉(なかしま・みか)
1983年鹿児島生まれ。2001年にドラマ「傷だらけのラブソング」のヒロインに抜擢され、シングル「STARS」で大型新人としてデビュー。2002年リリースの1stアルバム「TRUE」がミリオンセラーを記録し、一躍トップスターの仲間入りを果たす。その後も「雪の華」「愛してる」「桜色舞うころ」などヒット曲を連発。女優としても活躍し、2005年公開の映画「NANA」では主役のナナ役を熱演。NANA starring MIKA NAKASHIMA名義で発表した主題歌「GLAMOROUS SKY」もチャート1位を記録した。日本を代表する歌姫としてアジア圏での人気も高く、ファッションリーダーとしても確かな支持を獲得している。