- Page 1
- Page 2
中島美嘉がニューシングル「SAKURA~花霞~」を3月12日にリリースする。彼女にとって2008年初となるこのシングルは、桜をモチーフに新たな旅立ちを歌ったバラードナンバー。ナタリーでは今回、ファン待望のこの新曲を中心に、音楽に対するスタンスや2008年の活動などについて本人に話を聞いた。
取材・文/大山卓也
ちょっと悲しい、切ないものが、昔から好きだったんです
「この曲(「SAKURA~花霞~」)自体は1年ぐらい前からあったんですけど、最初はもっと派手でしたね、いろんな音が入ってて。でも、いま私がこの曲を歌うならアレンジはもっとシンプルなほうがいいと思って。いままでのバラードがゴージャスなのが多かったので、今回はもっと声がよく聞こえる感じにしたかったんです」
そんな彼女の意志を踏まえてアレンジされたこの曲は、まさに王道のピアノバラード。切ない音色に乗せて、その声の魅力が存分に伝わる極上の仕上がりとなった。「中島美嘉=バラード」という評価はこの曲によってさらに高まるはず。だが、それによってバラードシンガーとしてのイメージが定着してしまうことに対する不安はないのだろうか。
「そこに抵抗はないんですよ。私が好きでやってることなので、それをいいって言ってもらえるのはすごく嬉しいですね。バラードはもともと好きだったし、バラードだけに限らないですけど、ちょっと悲しい、切ないものが、昔から好きだったんですね。これからもいいタイミングでいい曲に出会えればやっていきたいですね」
また、この曲は桜をモチーフにした歌ということで、彼女自身が2005年に発表した名曲「桜色舞うころ」と比較されることもありそうだ。ましてやここ数年はいわゆる「桜ソング」が氾濫している”桜バブル”な状況。この時期にこの曲をリリースすることの危うさに対して、彼女はどう感じているのだろう。
「必ず言われるだろうなとは思ってました。自分でも最初はやっぱりどうなのかな、って気持ちもあったけど、でもまあ季節も季節だし、いい曲ができたし。単純にいい曲だから歌いたいと思ったんですよね。曲のテーマは、たぶん旅立つときの歌。なんかこう、自分で決めたことで、やりたいことがあるんだけど、そのためには置いていかなきゃいけないものがある。そういう気持ちを歌った曲です。私自身も歌手になるために上京してきた経験があるし。そのときの気持ちを重ね合わせる部分はあるかもしれないです」
ぜんぶ分担なんです。私は周りのみんなを代表して歌うだけ
カップリングの「conFusiOn」は一転してポップでコミカルなナンバー。英語詞以外の歌詞は彼女自身が手がけている。友達の彼氏を好きになっちゃって……、という内容なのだが、この発想はいったいどこから?
「歌詞は想像と、あとはリクエストですね。恋愛観でコンフューズ(混乱)するときのことを書いてくれって言われて書いてみました。私は作詞家じゃないけど、作詞家さんにはできないことも逆に自分の曲だからできたりするんですよね。私が書くときには、私の言葉で、私が伝えたいことを書くだけ。それが一番いいはずだと思ってるんです」
一般的に詞を書くことのできるシンガーは、多くの曲の作詞を手がけ、自分の言葉を歌いたがるケースが多い。だが、中島美嘉はそうではない。求められればもちろん書くし、そのときには彼女にしか書けない言葉で、彼女にしか書けない内容を綴る。だが、基本的には作詞家の手に委ね、必要以上の自己主張を見せないのが彼女のスタイルだ。自分の歌の世界をもっと自分の言葉で染めてしまいたいとは思わないのだろうか。
「だって私の詞だけだと偏りがあるだろうし、そういう意味では必ず書きたいわけじゃないですね。あの、それは詞だけじゃなくて、私の場合はぜんぶ分担なんです。私は代表して歌うだけ。歌うことが好きだからそうさせてもらってるだけで。もし私がぜんぶやっちゃうと、他の人たちはやることがなくなっちゃうし、きっとみんな楽しくないし。中島美嘉の音楽っていうのは、私よりずっと知識がある人たちが周りにいて、その人たちが私を使って表現をする、ということだと思ってるんです。みんなが作ったものを、自分のフィルターを通して発信する。私はそういう役目なんです。その結果いいものができるとみんなも喜んでくれるし、私も楽しいですからね」
2008年3月12日発売
1223円(税込)
AICL-1906
Sony Music Associated Records
収録曲
- SAKURA~花霞~
- SAKURA~花霞~
(DAISHI DANCE) - conFusiOn
- SAKURA~花霞~
(Instrumental) - conFusiOn
(Instrumental)
プロフィール
中島美嘉(なかしま・みか)
1983年鹿児島生まれ。2001年にドラマ「傷だらけのラブソング」のヒロインに抜擢され、シングル「STARS」で大型新人としてデビュー。2002年リリースの1stアルバム「TRUE」がミリオンセラーを記録し、一躍トップスターの仲間入りを果たす。その後も「雪の華」「愛してる」「桜色舞うころ」などヒット曲を連発。女優としても活躍し、2005年公開の映画「NANA」では主役のナナ役を熱演。NANA starring MIKA NAKASHIMA名義で発表した主題歌「GLAMOROUS SKY」もチャート1位を記録した。日本を代表する歌姫としてアジア圏での人気も高く、ファッションリーダーとしても確かな支持を獲得している。