中島愛|好奇心に導かれるままに

絶妙な光と影が自分を侵食していくような

──ここからはアルバム収録の新曲について詳しく聞かせてください。まずはラスマスさん作・編曲の「サブマリーン」です。「ラスマス・フェイバーの楽曲提供」と聞いても、ラスマスさんは音楽的な振り幅がすごく広いので、どの方向で来るのか想像が付かなくて。

そうなんですよね。田村さんと「ラスマスさんにお願いしよう」というお話が挙がっていたとき、私たちの中では勝手にダンスミュージックを想像していたんです。でも、ラスマスさんが今の私のためにと書いてくださったものは……実は1曲だけじゃなくて数曲送ってくださったんですが、「サブマリーン」はデモの時点でほぼ完成形に近いものでした。ちょっと不思議だったんですけど、ラララで入っていたメロディが私の声にそっくりで(笑)。キーもピッタリで、まさに私のために作ってくださった曲なんだなと思いました。少し歌謡曲っぽさがあるけど、どのジャンルとも言えない雰囲気で。

──2ndアルバム「Be With You」と3rdアルバム「Thank You」(参照:中島愛「Thank You」発売記念 活動休止前ラストインタビュー)がじわじわと熱を帯びていくようなオープニングだったのに対し、今作はいきなり本題に切り込んでいくような印象でした。明るくポップな曲だけど、少し憂いもあって。

不思議な明るさがある曲ですよね。きっと歌詞も、光が差してくるような、再スタートを明るく表現したような内容になるのかな……と思っていたら、真逆の歌詞をいただいて、最初は驚きました。

中島愛

──作詞は初コラボとなるポルノグラフィティの新藤晴一さんです。アルバムリリースに寄せたコメントでは「中島さんの歌声で毒を吐くのを聴きたい」と考えたとおっしゃってました。

度肝を抜かれましたね。そのコメントもすごくうれしかったです。私は復帰するにあたり、できるだけプラスな発言を進んでしてみたり、できる限り明るい面を引っ張り出して皆さんにお見せしたいと思っていた部分がすごく強くて、それは間違いではなかったと思うんです。でも、晴一さんの歌詞によって「光があれば影がある」という当たり前のことを改めて突き付けられたような気がして。影の部分を出すのはそんなに悪いことじゃないし、むしろ歌を歌い始めて10年経った今だからこそ、こういう棘のある歌詞をギャップのある明るい曲に乗せて歌えるんじゃないかと思ったんです。聴けば聴くほど、絶妙な光と影が自分を侵食していくような感じがあって、すごく気に入っています。

「音楽、楽しいね!」

──「サブマリーン」で新たな一面を見せたあと、2曲目の「Life's The Party Time!!」はヒャダインこと前山田健一さんとのコラボで、これもまた新鮮でした。

田村さんからヒャダインさんへのオーダーは「パーティソングを」というものでした。タイトルになった「Life's The Party Time!!」というフレーズはデモの段階ですでにあって、ほかは「ラララ」だったんですけど、楽曲のテーマをヒャダインさんが事前に作ってくださっていたので……歌詞も共作ならできるかなあなんて。

──作詞はお二人の共作でクレジットされていますが、どういう内訳で?

中島愛

主にAメロとBメロを私が書いて、サビや合いの手をヒャダインさんに書いていただきました。共作と言うより、私の日記のような歌詞を丸投げして、それに対してのアンサーを書いていただいたような感じですね(笑)。

──ヒャダインさんのボーカルディレクションはいかがでしたか?

陽の世界でした、本当に。ヒャダインさんがトークバックで「音楽、楽しいね!」って何度もおっしゃってくれて。歌入れは私史上最速で終わりました。ヒャダインさんは判断がものすごく早くて。1つ歌ったらすぐに指示をくれて……指示と言っても「いいね!」をいろんなバリエーションで言ってくださるみたいな感じで、ひたすらアゲにアゲてくれるレコーディングはすごく新鮮でした。私、怒られたいタイプなので……。

──怒られたいタイプ?

悪いところを改善しながら進めてもらうと燃えるタイプなんですが(笑)、あんなに褒められながら歌うのは楽しい体験でした。

──ヒャダインさんらしいワチャワチャ感はあるものの、少し年齢層を上げたような、大人びた印象がありました。

パーティソングなのにどこか妙な哀愁を感じたので、楽しい一辺倒ではない歌詞、主にネガティブな部分を私が担当しました。それに対してヒャダインさんが大人として背中を押してくれたような感じですね。

ノンタイアップでアニソンの王道を

──そして3曲目の「残像のアヴァロン」の作曲が、今をときめくバグベアさん。欅坂46の「サイレントマジョリティー」や「不協和音」を手がけたチームですね。すごくアニメソング的なカタルシスがある曲ですけど、タイアップ曲ではないんですか?

なんのタイアップでもなく作った曲です。私はアニメの世界で仕事をしている分、アニソンを聴かない人の視点がほぼないんですね。この曲の場合は、なんと言うか……「あまりアニメを観ない人も知っているアニソンのド真ん中」をやってみようというイメージなんです。

──確かに、あるタイプのアニソンが持つ王道感がありますよね。頭の2曲と方向性は違えど、これもポップの王道の1つと言うか。

中島愛

はい。そういうポップなスタンダード感をノンタイアップでやりたい、という狙いがあって。私の1stシングル「天使になりたい」(2009年1月発売)もその路線に近くて、なんのタイアップもないんだけどアニソンの王道を感じさせるアレンジと歌詞だったと思うんです。その路線を再度掘ってみた感じですね。

──作詞の岩里祐穂さんとはどんな話を?

歌入れのときはバグベアさんやアレンジに参加してくださった千葉さん(千葉“naotyu-”直樹)と一緒に、岩里さんも来てくださったんです。そのときに「私は母性だと思ったの!」とおっしゃっていたのが忘れられなくて。バグベアさんの曲が先にあって、岩里さんはすごくびっくりしたそうなんです。「中島愛ってこういうタイプの曲も歌うんだ」という驚きがまず先にあったらしくて。

──バグベアさんはどんな方でしたか?

オーラがあって、物語の中からそのまま出てきたような雰囲気でした。お二人の佇まいから、どういう曲にしたいのかが伝わる感じだったんですよ。すごくはっきりとした世界観をお持ちだったので、まったくブレずにレコーディングできました。

中島愛「Curiosity」
2018年2月14日発売 / FlyingDog
中島愛「Curiosity」初回限定盤

初回限定盤 [CD+Blu-ray]
4104円 / VTZL-143

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中島愛「Curiosity」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / VTCL-60467

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CD収録曲
  1. サブマリーン[作詞:新藤晴一 / 作・編曲:ラスマス・フェイバー]
  2. Life's The Party Time!![作詞:中島愛、前山田健一 / 作編曲:前山田健一]
  3. 残像のアヴァロン[作詞:岩里祐穂 / 作曲:バグベア / 編曲:バグベア、千葉“naotyu-”直樹]
  4. ワタシノセカイ[作詞:瀬尾公治 / 作曲:秋浦智裕 / 編曲:WEST GROUND]
  5. Jewel[作詞:加藤哉子 / 作・編曲:本間昭光]
  6. 思い出に変わるまで[作詞:中島愛 / 作・編曲:重永亮介]
  7. ウソツキザクラ[作詞:Satomi / 作・編曲:松本良喜]
  8. 最高の瞬間[作詞:山田稔明 / 作・編曲:古川貴浩]
  9. Odyssey[作詞・作曲・編曲:Avec Avec]
  10. サタデー・ナイト・クエスチョン[作詞:加藤慎一 / 作曲:山内総一郎 / 編曲:フジファブリック]
  11. 未来の記憶[作詞:甲斐みのり、Twisty / 作・編曲:CMJK]
  12. 愛を灯して[作詞:中島愛 / 作・編曲:坂東邑真]
初回限定盤Blu-ray収録内容
  • サブマリーン Music Video
  • ワタシノセカイ Music Video
  • サタデー・ナイト・クエスチョン Music Video
Megumi Nakajima Live Tour 2018 "Curiosity of Love"
  • 2018年3月30日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2018年4月1日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2018年4月8日(日)東京都 Zepp Tokyo
中島愛(ナカジマメグミ)
中島愛
6月5日生まれ、ふたご座のA型。アニメ「マクロスF(フロンティア)」のヒロインのランカ・リー役に抜擢され、2008年6月に「ランカ・リー=中島 愛」名義によるシングル「星間飛行」で歌手デビューを果たす。2014年3月より音楽活動を休止していたが、2016年12月に活動再開を発表。2017年2月には復帰第1弾となるシングル「ワタシノセカイ」、10月には復帰第2弾となるニューシングル「サタデー・ナイト・クエスチョン」をリリースした。2018年2月に通算4枚目となるオリジナルアルバム「Curiosity」を発表。3月末から4月にかけて東名阪3都市を回るライブツアー「Megumi Nakajima Live Tour 2018 "Curiosity of Love"」を行う。