2016年の暮れ、およそ3年の休止期間を経て活動を再開させた中島愛が、復帰後初となるフルアルバムを完成させた。そのタイトルは、“好奇心”の意味を持つ「Curiosity」。サウンドの方向性は多岐にわたる、まさに好奇心に導かれるままに羽根を広げたようなバリエーションに富んだ1枚だ。活動再開から1年あまり、大きな実りを感じさせるアルバムを作り上げた中島に話を聞いた。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 草場雄介
活動休止中もなくさなかったのは“Curiosity”
──2016年12月に活動再開を宣言(参照:中島愛が活動再開!「風夏」ED担当、思い出の地でフリーライブ)してから1年と少しでシングル2枚、アルバム1枚というのはなかなかハイペースだと思いますが、もともとこのくらいのペースでと考えていたんですか?
当初決まっていたのは復帰第1弾シングルの「ワタシノセカイ」(参照:中島愛 活動再開記念インタビュー|3年間の出来事 2度目の青春)だけだったのですが、ちょうど復帰を発表する頃に、その次のシングルとアルバムまで出せるという話をいただいたんです。そこからはアルバムを見据えて進めていきました。
──アルバムを一聴してまず感じた印象は「中島愛の新曲がどんどん出てくる!」というものでした。音楽的にも新しいことにチャレンジしているし、そもそも新曲がかなり多い。シングル曲も織り交ぜつつ、アルバム用の新曲が9曲あります。
もちろん歌い手としては新曲がたくさんあるほうがうれしいんですけど、どのくらい予算があるだろうとか(笑)、難しいところもあると思うんです。それに、ポジション的にも復帰したばかりというタイミングだからアルバムが出せるというだけでも光栄なことで。とは言え、シングルのカップリングを含めても新曲は5曲しかないから、アルバムとなるとあと5曲くらい? と思っていたら……去年の夏前頃、ワンマンライブ(参照:中島愛「涙ちょちょぎれ」再始動ワンマンで歴史を総括し次のステップへ)の直後くらいですかね、「アルバムに新曲を9曲入れられることになったから」と聞いて、思わず小躍りしました(笑)。過去のアルバムでもそんなにたくさん録り下ろしの曲が入ったことはなかったので。いい意味で「これは大変なことになるぞ」と思いました。
──活動休止を経ての次の一歩を進めるにあたり、アルバムはどのようなものにしようと考えましたか?
まず、これは私にとっての大きなサプライズですけど……田村充義さんにプロデューサーとして入っていただけることをワンマンライブのあとに聞きまして。田村さんと言えば、私の大好きな小泉今日子さんをはじめとする憧れの方をたくさんプロデュースされてきた方なので、本当にうれしくて。その後初めて打ち合わせをした時点で、田村さんには「こういうアルバムにしたい」というビジョンが明確にあったんです。とにかくポップなアルバムにしたいと。私も田村さんの考えに賛成だったので、提案いただいたものをベースに、じゃあ私はどういうことがやりたいんだろうと探っていきました。
──以前の3枚のアルバムはすべてタイトルに“You”が付いていて“You3部作”とも呼ばれていますが、今回は「Curiosity」、好奇心という意味を持つタイトルが冠されました。
田村さんや新しいスタッフさんといろいろお話ししている中で、活動休止中になくしていなかったものは好奇心だなと思ったんです。新しいものが見たい、音楽を聴きたいという好奇心はなくさなかった。アルバム制作のかなり早い段階から「Curiosity」というテーマを掲げて、そこから作家さんはどうしようとか、少しずつ中身を考えていきました。
「やってみる」を大事に
──作家陣はおなじみの方から初めての方まで、振り幅の広い面々がそろいましたね。人選には中島さんからも意見を?
今回は基本的に、ご提案いただいたものに120%乗っかりたいという気持ちがあったんですけど、どうしても1stアルバムでお世話になった作家さんにはもう一度このタイミングでぜひお願いしたくて。加藤哉子さんや重永亮介さんは私からの強い要望でお願いしました。
──ラスマス・フェイバーさんはオファーがある前から曲を準備していたとコメントでおっしゃっていましたが。
そうなんです! ラスマスさんに関してはご提案と言うよりも「まずラスマスさんは絶対だな」という共通認識があったんですけど、こちらがお願いする前に用意してくださっていて。
──そのほかの作家さんについては、田村さんをはじめとするスタッフの皆さんの提案を元に。
はい。私が作詞をするというこも含めて、勧められたり、「こんな感じはどう?」と差し出してもらったものに私が応えていったような。
──120%でイエスと答えてやってみると。
そうですね。「やってみる」を大事にしたのがこのアルバムです。
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絶妙な光と影が自分を侵食していくような
- 中島愛「Curiosity」
- 2018年2月14日発売 / FlyingDog
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初回限定盤 [CD+Blu-ray]
4104円 / VTZL-143 -
通常盤 [CD]
3240円 / VTCL-60467
- CD収録曲
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- サブマリーン[作詞:新藤晴一 / 作・編曲:ラスマス・フェイバー]
- Life's The Party Time!![作詞:中島愛、前山田健一 / 作編曲:前山田健一]
- 残像のアヴァロン[作詞:岩里祐穂 / 作曲:バグベア / 編曲:バグベア、千葉“naotyu-”直樹]
- ワタシノセカイ[作詞:瀬尾公治 / 作曲:秋浦智裕 / 編曲:WEST GROUND]
- Jewel[作詞:加藤哉子 / 作・編曲:本間昭光]
- 思い出に変わるまで[作詞:中島愛 / 作・編曲:重永亮介]
- ウソツキザクラ[作詞:Satomi / 作・編曲:松本良喜]
- 最高の瞬間[作詞:山田稔明 / 作・編曲:古川貴浩]
- Odyssey[作詞・作曲・編曲:Avec Avec]
- サタデー・ナイト・クエスチョン[作詞:加藤慎一 / 作曲:山内総一郎 / 編曲:フジファブリック]
- 未来の記憶[作詞:甲斐みのり、Twisty / 作・編曲:CMJK]
- 愛を灯して[作詞:中島愛 / 作・編曲:坂東邑真]
- 初回限定盤Blu-ray収録内容
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- サブマリーン Music Video
- ワタシノセカイ Music Video
- サタデー・ナイト・クエスチョン Music Video
- Megumi Nakajima Live Tour 2018 "Curiosity of Love"
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- 2018年3月30日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年4月1日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年4月8日(日)東京都 Zepp Tokyo
- 中島愛(ナカジマメグミ)
- 6月5日生まれ、ふたご座のA型。アニメ「マクロスF(フロンティア)」のヒロインのランカ・リー役に抜擢され、2008年6月に「ランカ・リー=中島 愛」名義によるシングル「星間飛行」で歌手デビューを果たす。2014年3月より音楽活動を休止していたが、2016年12月に活動再開を発表。2017年2月には復帰第1弾となるシングル「ワタシノセカイ」、10月には復帰第2弾となるニューシングル「サタデー・ナイト・クエスチョン」をリリースした。2018年2月に通算4枚目となるオリジナルアルバム「Curiosity」を発表。3月末から4月にかけて東名阪3都市を回るライブツアー「Megumi Nakajima Live Tour 2018 "Curiosity of Love"」を行う。