ナタリー PowerPush - 中島 愛
7thシングル制作秘話とアイドルマニアまめぐの原点
最新のターニングポイント
──今回のシングルにはさらに、今年4月に行われたZepp Tokyoワンマンライブから、「TRY UNITE!」と「Hello!」のライブ音源が収録されます。
このライブは2ndアルバム(2012年3月発売「Be With You」)を引っさげてのツアーだったんですけど、ツアー自体が2年ぶりぐらいだったので、全公演緊張してましたねー。でも、この2年の間にどんな出会いがあったか、どんなご縁があったかとか、そういう人とのつながりを強く感じられたツアーでした。それをこうして音源として残せるのは、なんか感動ですね。
──この2曲は「輪廻のラグランジェ」第1期の楽曲で、シングルではこれがライブ音源で楽しめるという。
もちろん「ラグりんの楽曲が全部聴けちゃうよ!」というのを一番に考えた選曲ですけど、2012年の2月に「TRY UNITE!」と「Hello!」という2曲に出会えたこと自体が、自分にとって大切な出来事だったんですよね。今までの私から全くガラリと変わった、というわけじゃないけど、新しい面を引き出してくれた「最新のターニングポイント」がここだったと思うんです。それを私がライブでどう歌ったのか、というのを耳で感じてほしくて。
──「Hello!」はツアー最終公演のラストナンバーだったんですよね。
はい。これはツアーの最後の最後、ダブルアンコールで歌ったものなんです。元々セットリストには入ってなかったんですけど、この日のゲストの北川さん(ROUND TABLEの北川勝利。「Hello!」の作詞・作曲・編曲を担当)がその場で「『Hello!』やっちゃおうぜ!」って言ってくれて。私、予定外のことをライブでやるの初めてだったんですよ(笑)。マイクを離して舞台裏に向かって「いいの? いいの!?」って確認して(笑)。
──だからなのか、いつもとは違ったハイテンションぶりがそのままパッケージされています(笑)。
あはは(笑)。お客さんもすごくヒートアップしていて。もちろんそのときはCDになるなんて考えてもなかったですけど(笑)、その瞬間、みんなの中で起きた化学反応がそのまま全部詰まってますね。ひとりじゃないんだな、なんてしみじみ感じてしまう、すごく思い出に残る大事な瞬間です。
中野サンプラザはアイドル大好きな私の聖地
──少し先になってしまいますが、11月29日には中野サンプラザでデビュー5周年のワンマンライブ「5th Anniversary Live ~MeguMagic~」の開催が決定しました。
そうなんです。いやー、中野サンプラザはお客さんとしては行ったことがありますが、まさか出る側になるとは……。アイドル大好きな私にとっては聖地ですから、足を踏み入れていいものかと(笑)。
──デビューから5年間の総決算、総仕上げと言える充実した内容がタイトルからも期待できますが、どのようなライブになりそうですか?
2ndアルバムの後、次の一歩となるシングルをリリースして、じゃあその次に何が飛び出してくるんだ? というところでこの中野サンプラザでのライブがあるので……すごくいろんなものを背負ったライブになりそうでドキドキしています(笑)。自分の中で今、変化の時期を迎えているんだなあという実感があるんですよ。その「変化」というのがこのライブのテーマになるのかなと思っています。
原点は「恋 あなた し・だ・い!」
──今もお話に出ましたが、中島さんはかなりハードコアなアイドル好きとしても知られていますよね(笑)。ブログでもしばしば話題に上がりますが、おニャン子クラブなど1980年代のアイドルにも詳しくて。その辺りは年齢的にはリアルタイムではないはずですけど、一体何がきっかけでアイドルに興味を?
私は1989年生まれで、自分が生まれた頃にどんな音楽が流行ってたんだろうと興味を持って調べたのがきっかけです。でも、もっと元をたどると……小学3年生のときにテレビで岩井小百合さんを観たんですね。「恋 あなた し・だ・い!」(1983年発売)という曲で。
──岩井さんのどこに大きな魅力を感じたんでしょうか。
なんでしょう、現実なのか非現実なのかわからない雰囲気があって。お人形さんが歌ってるような……今でいうボーカロイドが歌ってるような感じだったんですよ。「私もこのテレビの中に入れちゃうんじゃないか」みたいなリアリティもあって(笑)。雲の上の人すぎず、でも届かないみたいな。そのスレスレのバランス感が、なにか引っかかったんですよね。
──中島さんの世代だと、リアルタイムのアイドルというとSPEEDだったり、そのぐらいの時期ですよね。
そうですそうです。SPEEDさんも大好きなんですけど、その時期のアイドルが持っている現実感とはまた違うものを岩井さんには感じて、そこに惹かれたんですよね。
──よく「両親が80年代アイドルが好きで、その影響で」というのはありますけど、そうではなく自分で掘り下げていったというのは珍しいですね(笑)。そのアイドル探求はアナログレコード収集にまで及んでいると聞きましたが、中島さんが生まれた1989年はちょうどCDへの本格的な移行が進んだ頃ですよ。
そうですね。私が子供の頃はこういう長いCD(短冊型の8cmシングル)でしたけど、テレビでアイドルに興味を持ったのをきっかけに、自分でレコード屋さんに行って1枚1枚パパパパってアナログをチェックして「おこづかいで何枚買えるかな」って(笑)。いまだに買い続けてますけど。
──渋谷系のアナログブームとも違う、独自の目線で掘り下げて(笑)。
なんかこう、自由と不自由の間ぐらいが好きみたいで(笑)。CDのほうが身近なんですけど、アナログのちょっとした不便さに惹かれるんですよ。針を取り替えなきゃいけなかったり、そういうところにも楽しみを感じていたりして。
──自分でもアナログ盤をリリースしたい?
したいです! いつか叶えたいですねー。
最近は90年代洋楽ブーム
──ちなみに、ごく最近のマイブームは何ですか?
最近は1990年代の音楽を……(笑)。90年代の洋楽をいろいろ聴いてます。
──90年代の洋楽というと、スウェディッシュポップのブームなどもありましたが。
そうそう、その辺です。コード進行が豊かな音楽がいいなあって。手をつないだときのあたたかみが感じられるような音楽が好きなんです。90年代の音楽にはそれをすごく感じるんですよ。この要素を自分の音楽にも取り込んでいきたいなと思って。
ニューシングル「マーブル / 忘れないよ。」/ 2012年8月1日発売 / FlyingDog
CD収録曲
- マーブル(TVアニメ「輪廻のラグランジェ season2」OPテーマ) [作詞:岩里祐穂 / 作曲・編曲・プロデュース:Rasmus Faber]
- 忘れないよ。(TVアニメ「輪廻のラグランジェ season2」スペシャルEDテーマ) [作詞・作曲:矢吹香那 / 編曲:清水信之]
- マーブル‐bis‐ [作曲・編曲・ピアノ演奏:Rasmus Faber]
- TRY UNITE! -Live Version-(2012年4月8日Zepp Tokyoにて収録) [作詞:サエキけんぞう / 作曲・編曲:Rasmus Faber]
- Hello! -Live Version-(2012年4月8日Zepp Tokyoにて収録) [作詞・作曲・編曲:北川勝利(ROUND TABLE)/ ストリングス編曲:長谷泰宏(ユメトコスメ)]
ほか「マーブル」「忘れないよ。」のカラオケを収録。
中島 愛(なかじまめぐみ)
1989年6月5日、茨城県生まれ。2007年に行われたアニメ「マクロスF(フロンティア)」の歌姫オーディション「Victor Vocal&Voice Audition」でヒロインのランカ・リー役に抜擢され、2008年6月に「ランカ・リー=中島 愛」名義によるシングル「星間飛行」で歌手デビューを果たす。2009年1月には初の個人名義によるシングル「天使になりたい」を発表。声優として「マクロスF」「けんぷファー」「バスカッシュ!」「こばと。」「セイクリッドセブン」「輪廻のラグランジェ」などのアニメ作品に参加しながら、ソロアーティストとして国内のみならず海外でも積極的にライブ活動を行っている。2012年8月1日には通算7枚目となるオリジナルシングル「マーブル / 忘れないよ。」をリリース。