ナタリー PowerPush - 中川翔子

元担当、柳さんと振り返る激動の2012年

柳真努加の「贈る言葉」

──今日は「中川翔子(レベル27)のこれからを考える」ということで、事前に柳さんから今後叶えてほしいことなどをいくつか挙げてもらっています。柳さんからの「贈る言葉」ですね(笑)。これを中川さんにお伝えしつつ、柳さんから最後のアドバイスを届けてもらえたらと。

 ハードル高っ!(笑)

──まずは「全大陸ライブ」。

 アメリカはやったし、ヨーロッパではスイスはあるけどまだフランスはないし、親日家の多いブラジルがまだだったり。ブラジルでは水木一郎先輩が10万人の前で歌ったという話も聞いてるんで、ぜひ中川にも挑戦してもらいたいですね。

中川翔子

中川 行きたいですねー。海外でお仕事をするのは本当に大変ですけど、アニソンという架け橋、笑顔というキーワードがあればみんながハッピーになれるし。アジアツアーでより強く実感しましたけど、歌で世界をつなぐことは一番の目標ですね。

 アニソンに救われた彼女が、今度は還元する。「しょこたん☆かばー」3枚目のサブタイトルとして中川が考えた「アニソンは人類をつなぐ」は、今思うと秀逸ですね。

──次は「究極のエンターテイナーに」。

 紅白出場も叶えて、深海探索では水深5000メートルという芸能人記録を作って……あとは宇宙に真っ先に行く芸能人になるなり(笑)、新たな芸能人記録ホルダーになってほしいですね。中川的に今どんなことがやりたいの?

中川 宇宙は絶対に行きます。仕事で行けたらいいですけど、自腹ででも行きたいから宇宙貯金始めようと思って(笑)。

──深海、宇宙……ほかに到達したい目標はありますか?

中川 あとは地底か隣の次元ぐらいしかないですね(笑)。

「大中川貪欲団」の座長として

──次は「中川翔子スクールの開校」。

 さっきの「非コミュの星」の話もそうですけど、彼女の活動がいろんな人に夢を与えてるなと実感するんですよ。いじめ問題に関するコメントの反響とか見ていても。

──それはファンの方だけじゃなく、アーティストや芸能人もそうで。今や本来ネガティブなはずのオタク性をオープンに出すのが当たり前になってきたけど、その道は中川さんが大きく拓いたものだと思うんですよ。

中川 そんなつもりなく、素が出ちゃっただけなんですけど(笑)。

 独自の感性で拓いた道だと思うんですけど、多分ホントに好きだっていうのが伝わるからいいんでしょうね。

中川 ステマはしません。

──あはははは(笑)。そういった影響は与えてるけど、この多ジャンルにわたる活動に関しては後継者がいないですよね。「職業、寺山修司」と同じように「中川翔子」という独立した職業になっているというか。一子相伝のスキルを広めるためにはスクールの開校は良いかもしれませんね。

 ええ、ええ。まあスクールじゃないにしても、もう一歩を踏み出せない人たちにアドバイスをするような講演がやれたりしたらいいかなと思うんですよね。

──続いて「絵画展の開催」と。

写真左から中川翔子、柳真努加

 これも2008年(作品展「続く世界」)以来やれていないので。楽曲のイメージを絵画にして個展を開くというのも、そうそうできる人はいないと思うんで、ぜひもっと追求してほしいですね。

中川 絵とか文章とか形に残るものはどんどんやっていかないとな、と思っています。

 さっき自分から「歌詞を書きたい」って言ってましたけど、これも昔は「ムリムリムリ!」だったんですよ。それはやっぱ成長した証拠だなって思う。いつかは歌詞も書いてジャケットも描いてPVも監督して、みたいな完全セルフプロデュースにも挑戦してもらいたいですね。

──次に挙げてもらった「中川翔子座長公演」というのも発想としては同じですね。トータルアートの領域というか。

 そうですね。中川が自発的に作り上げた世界を、今度は周りのみんなが支えて作り上げていくような。「大中川貪欲団」の座長として(笑)、背中で語れる人間になってもらいたいですね。

中川 いやでも私はぼっちが似合ってますから(笑)。私の名前をYahoo!で検索すると、検索候補に「中川翔子 ぼっち」って出るんですよ?

 はははは(笑)。あの8月の生配信は悔しい思い出になってるかもしれないけど、いろんなゲストが飛び入りで駆けつけてくれて、あれだけたくさんの人に支えられていると実感できた貴重な時間だったと思うんですよ。これからは自ら引っ張っていくリーダーとして、EXILEさんのような団体を従える存在になってもいいんじゃないでしょうか(笑)。

さようなら ドラえもん

──中川さんの元を離れるということで、あれもやっておきたかった、これもまだだった、みたいなことが結構あるんじゃないかと思ってこのお題を用意させていただいたんですが……柳さんとしてはなんの心配もなさそうですね。

 うんうん。本当に大人になったんだなーと思いますね。ついこないだ全身黒の私服を着ていたときは、あの全身まっピンクだった中川が!って思いましたから(笑)。そういうところにもちょっとずつ表れてるのかもしれませんけど。

──大人として発信すべきことは今後ますます増えていくでしょうね。

中川 アニソンカバーをやってて良かったなと思ったのが、私は「ロマンティックあげるよ」を国民誰もが知ってるスタンダードだと思って歌ってたんですけど(笑)、「しょこたんの歌をきっかけにこの曲を知りました」っていう平成生まれの子たちが意外と多くて。原曲の素晴らしさに出会った人がまたひとり増えたと思うとそれだけでもうれしいし、そういった橋渡しの役目もあるのかなって思います。「ポケモン」の出会いも大きいですけど、チビッ子たちに「ポケモンみてるよ!」って言われると、自分がそうだったように、あの子たちが大人になって思い出す瞬間もあるのかなって思うとそれだけでうれしくて。

──最後の「ネガティブとの惜別」も、今日のインタビューを通してなんの問題もなさそうだとわかりましたし。

 もう僕から言うことは何もないので、次の第2章は自分が座長となっていろいろ新たな可能性を見つけ出してくれるんじゃないかと。中川との仕事は今日が最後ですから、担当として偉そうに言えるのは今日のここまでですね(笑)。離れるからこそ、2013年の中川翔子がすごく楽しみです。

──では最後に改めて、柳さんから中川さんへ「贈る言葉」をいただけますでしょうか。

 贈るも何もなく、中川が今自信を持って生きていることがすごくうれしいんで、そのまま自信を持った状態で全てをオープンにしてみるといいんじゃないかなと思います。きっと彼女の中にはまだ、やりたいのに口に出せていないことがあると思うんですよ。それを臆せず出していってもらえたら。彼女が初めて作詞した「starry pink」(2008年3月発売の1stアルバム「Big☆Bang!!!」収録)はデビューライブで感じたことが書かれた内容でしたけど、先日の渋公でこの曲を歌ったときはきっと感慨深いものがあったと思うんですよ。デビュー10周年を経て、2013年には「starry pink」に続く新たな楽曲を作り上げてくれないかな……というのを僕の遺言として置いておきます(笑)。

──なんかもう……「さようなら ドラえもん」と同じですよね。ジャイアンをひとりで倒せるようになったのび太を見て安心して去っていくドラえもんと同じですよ。

中川 今日着てる服の色もドラえもんだし(笑)。

 ははは(笑)。いやあ、でも晴れ晴れした気分です。ドラえもんですねホントに。体型も含めて(笑)。

ニューアルバム「UCHI-SHIGOTO, SOTO-SHIGOTO!!」/ 2013年1月9日発売 / 2500円(税込) / Sony Music Records / SRCL-8210~8211
CD収録曲
  1. Rolling star(YUIトリビュートアルバム「SHE LOVES YOU」より)
  2. 甘宿り feat.中川翔子 / DECO*27(DECO*27アルバム「ラブカレンダー」より)
  3. RAINBOW -なみだのあとで- starring 中川翔子 / RAM RIDER(RAM RIDERアルバム「AUDIO GALAXY -RAM RIDER vs STARS!!!-」より)
  4. ペガサス幻想ver.Ω / MAKE-UP feat.中川翔子(テレビアニメ「聖闘士星矢Ω」主題歌)
  5. 一人のキミが生まれたとさ(テレビアニメ「ふるさと再生 日本の昔ばなし」オープニングテーマ ※初CD化)
  6. あるこう(テレビアニメ「ふるさと再生 日本の昔ばなし」エンディングテーマ※初CD化)
  7. ペガサス幻想ver.Ω / MAKE-UP feat.中川翔子 TV-EDIT(アニメ尺)
  8. 一人のキミが生まれたとさ TV-EDIT(アニメ尺)
  9. あるこう TV-EDIT(アニメ尺)
DVD収録内容
  • 甘宿り feat.中川翔子 -Music Video-
ライブBlu-ray / DVD「UCHI-LIVE, SOTO-LIVE!!」/ 2012年12月26日発売 / Sony Music Records
Blu-ray盤 / 7350円(税込) / SRXL-37
DVD盤 / 6300円(税込) / SRBL-1550~51
収録内容
中川翔子 ギザ10 しょこ【生】ツアー!! 2012
  1. Opening
  2. Dream Driver
  3. pretty please chocolate on top
  4. つよがり
  5. GIZA10 Medley
    せーので恋しちゃえ▼ / みつばちのささやき / 心のアンテナ / Shiny GATE / ラベンダー
  6. souffle secret
  7. Discovery
  8. 宇宙でプロポーズ
  9. GAME
  10. トキメキ☆ドリーマー
  11. 甘宿り
  12. 千の言葉と二人の秘密
  13. RAY OF RIGHT
  14. 涙の種、笑顔の花
  15. フライングヒューマノイド
  16. ホリゾント
  17. 続く世界
  18. 空色デイズ
  19. starry pink
  20. 綺麗ア・ラ・モード
  21. rainbow forecast
  22. Brilliant Dream
  23. calling location
  24. Ending
中川翔子 アジアツアードキュメント
  1. Opening
  2. 空色デイズ
  3. ドキュメント~香港~
  4. 残酷な天使のテーゼ
  5. ドキュメント~台湾~
  6. ライブダイジェスト
    CAT Life / souffle secret / rainbow forecast / pretty please chocolate on top
  7. ドキュメント~シンガポール~
  8. TYRANT too young
  9. つよがり
  10. ドキュメント~上海~
  11. Ending

※▼はハート表記

中川翔子(なかがわしょうこ)

「しょこたん」の愛称で知られる、1985年生まれの女性アイドル。2002年に芸能界デビューして以来、数々のテレビ番組に出演し人気を高めていく。2004年11月からスタートさせた公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」でも人気を博し、2006年にはシングル「Brilliant Dream」で歌手デビュー。このほかにも声優やイラスト、マンガ家、ドラマ出演など、多方面で活躍するマルチタレントぶりを発揮している。デビュー10周年を迎えた2012年には念願だった初のアジアツアーを大成功に収めた。2012年12月26日には東京・渋谷公会堂ワンマンライブとアジアツアーのドキュメンタリーをパッケージしたDVD / Blu-ray「UCHI-LIVE, SOTO-LIVE!!」、2013年1月9日にはコラボレーション楽曲を中心にまとめたミニアルバム「UCHI-SHIGOTO, SOTO-SHIGOTO!!」をリリース。

柳真努加(やなぎまどか)

1999年ソニー・ミュージックエンタテインメント入社。営業、人事、宣伝を経て、2003年よりA&Rとして玉置成実、中川翔子、supercell、元気ロケッツ、Tomato n' Pine、再結成したZONEなど数多くのヒットアーティストを担当。2012年いっぱいでソニーミュージックを退職し、2013年1月に株式会社アンテナフラッグスを設立。