デビューから1年……絆を深めたmzsrzが1stアルバム「現在地未明」リリース記念し、“生みの親”DECO*27とトーク

mzsrz(ミズシラズ)の1stアルバム「現在地未明」がリリースされた。

mzsrzはエイベックスとテレビ東京によるオーディション企画「ヨルヤン」を勝ち抜いた大原きらり、作山由衣、実果(みのか)、ゆゆん、よせいの5人からなるボーカルユニット。2021年1月に配信シングル「夜明け」でデビューを果たした。

「現在地未明」はオーディションの審査員として5人を見守ってきたDECO*27が全曲サウンドプロデュースした1stアルバム。本作でDECO*27は同じく審査員を務めたRockwellや、TeddyLoid、ポリスピカデリー、椎乃味醂、Teppe、kousといった面々とともに、彼女たちの歌声を生かした多彩な音楽性を発揮している。

音楽ナタリーではmzsrzとDECO*27にインタビューを行い、それぞれの出会いを振り返りながら、グループにとって初のアルバムに込めた思いを語ってもらった。

取材・文 / 杉山仁撮影 / 星野耕作

ラスボスとの対峙

──mzsrzの皆さんとDECO*27さんは、「ヨルヤン」のオーディション企画の参加者、審査員として出会いました。まずは当時のお互いの印象を教えてもらえますか?

よせい DECOさんは毎回私たちの歌に関して的確なコメントをくださっていて、「尊敬できる方だな」「こんな方が私たちのために音楽を作ってくれたらいいな」と思っていました。

──皆さんのことを最初期から見てくれていた方の1人ですよね。

ゆゆん そうですね。私の場合はDECO*27さんの曲をいちファンとしてずっと聴いていたので、初めてお会いしたときは「DECOさんが実際にいる……!」という不思議な感覚でした。

大原きらり 私ももともとDECOさんの曲をよく聴いていたんですけど、オーディション会場ではDECOさんとともに審査員を務めたRockwellさんが2人でいらっしゃって、2人いっぺんに倒さないといけないラスボスみたいな感覚でした(笑)。

左からよせい、作山由衣、ゆゆん、実果、大原きらり。

左からよせい、作山由衣、ゆゆん、実果、大原きらり。

──「攻略しないといけないラスボス」ですか(笑)。一方で、DECO*27さんは、審査員の1人としてメンバーのことをどんなふうに見ていたんですか?

DECO*27 まず歌声を聴いて思ったのは「みんなうまいなあ」ということでした。それに、5人ともそれぞれ個性があるだけではなくて、「この人、歌が好きなんだな」という思いを声で感じられて。実際にパフォーマンスを観たときも、「本当に歌が好きでここに来たんだな」「覚悟を持って来ているな」と伝わってきて、僕自身、刺激を受けました。

──「ヨルヤン」の参加者はもともとソロデビューを目指していました。最終的にソロではなくグループとしてデビューすることになったのはなぜだったんでしょう?

DECO*27 それは単純に、僕らが「みんなよすぎて選べない!」と思ったからです。そこで、叶うならば5人グループを作って新たな魅力が生まれていくところを見たい。「個人としてこれだけ歌にまつわる力を持った人たちがグループとして集まったらどうなるんだろう?」と。曲や歌詞を書くうえでもワクワクしていましたね。

──そのようにmzsrzが生まれたのですね。「夜明け」(2021年1月リリースの配信シングル)でのデビューから1年以上が経ちますが、メンバーの皆さんが活動の中で何か変化を感じたことがあれば教えてください。

大原 オーディションの頃は個人でデビューするつもりで参加していましたけど、5人組で活動を続けていく中で、私以外のメンバーそれぞれの個性や魅力を肌で感じて、みんなのいいところを吸収できるようになった気がします。音源を聴いてもメンバーそれぞれの表現力が上がってきているのかなと感じたりもして、この5人でよかったなあと思います。

作山由衣 歌でもそれぞれに表現の仕方が違っていて、その歌い方から「みんな、こんなこと悩んでるんじゃないかな?」「こういう気持ちなんじゃないかな?」と汲み取ることも多いんです。そんなふうに、歌声を通してお互いの深いところを知れたような気がしています。

作山由衣

作山由衣

DECO*27 僕から見ていても、レコーディングを重ねるごとにグループとしてぎゅっとまとまる瞬間が感じられるようになっていて。最初は苦手だったところが、本人たちの努力で伸びたりしているのも感じますし、「変化した」というより「成長したな」「進化したな」と思いますね。

5人の思いを形にした「夜明け」

──では、3月16日にリリースされるアルバム「現在地未明」について、レコーディング中の様子などを聞かせてください。1曲目のデビュー曲「夜明け」は、事前にDECO*27さんがメンバーさんにインタビューして、それをもとに制作を始めたそうですね。

DECO*27 制作にあたって「本人たちが気持ちを乗せて歌うことでメッセージが伝わる楽曲にしたい」と思っていたんですけど、オーディションで会ったときには話がほとんどできていなかったので、まずは普段思っていることや、活動を続けていくうえで大事にしたいことなど、どんなことでもいいので5人が感じていることを吸い上げて歌詞を書きたいと思っていました。そもそも僕とみんなとでは、最年長のよせいと比べても15歳くらい離れているので、何かに対して僕が思うことと、みんなが思うことでは感じ方が違うと思ったんですよ。

──なるほど。5人を知ることから始めたんですね。

実果 私の場合はゲーム配信を観ていることとか、どんなアーティストさんが好きとか、SNSについてとか、いろいろな話をしました。

よせい あと、「夜明け」は私たちにとって初めてのレコーディングだったんですけど、メンバーの中にずっと“クローゼットに住んでいた子”がいて……。

──実果さん(オーディション参加時の名前は「クローゼットの住人S」)ですね。

よせい その頃は彼女がまだクローゼットに閉じこもるように心を閉ざしたままというか、緊張もすごく伝わってきたので、「夜明け」の歌詞みたいに「一緒にがんばっていこう!」という気持ちになってもらいたくて、絆を深めるために「パピコ」を買って2人で分けたりしました(笑)。あと、DECOさんの曲って、なかなか人に歌わせる気のない曲が多いと思うんですけど……この曲もかなり難しかったです。

よせい

よせい

DECO*27 僕の場合、もともとボカロで作っていることもあって、普段自分の名義で出しているような楽曲をそのまま提供すると人が歌えない場合があるので、アーティストによってそのあたりのバランスを変えています。でも、mzsrzの場合は、「みんなならいけるだろう」と思って曲を書いていて。それこそ、「来いよ!」と挑戦状を突き付ける気持ちで制作しましたね。

──さっき大原さんが言っていましたが、まさに攻略しなければならないボスですね。

大原 (笑)。「デビュー曲からこんなに難しいんだ……!」と思ってたくさん練習しました。

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