椎木知仁(My Hair is Bad)×九条ジョー|念願の初対面!“尖り”で共鳴し合う2人

僕のつぶやき、何個“いいね”してんねん!

椎木 九条さんは自分の作品をすごく信じていて、自信があると思うんですよ。その自信はいつからあるんですか? 何かきっかけがあったんですか?

九条 九条ジョーに改名したときからかもしれないです。コンビを再結成したときに、衣装をザ・漫才師みたいな黒のスーツから臙脂色の襟なしのスーツにして、なりたい自分になるために新しい人間性を作ったんです。そのときから変わったのかもしれないですね。九条ジョーを演じすぎて、「ほんまの自分ってこんなんやったっけ?」と思うこともありますけど、確実に自分で作り上げた人間性なので間違ってはいないはずなんです。本当は田舎のめちゃくちゃナヨナヨした学生やったのに、気付いたらすごく尖ってました。

椎木 九条さんは自分自身のプロモーション能力がものすごく高いですよね。

九条 めちゃくちゃうれしいです。なんでこんなことができるようになったのかわからないんですけど、SNSも含めてすべての発信を九条ジョーとしてできているなと。でも、椎木さんのSNSもそんな感じありません? すごくらしさがあるというか。

左から椎木知仁(My Hair is Bad)、九条ジョー(コウテイ)。

椎木 僕はそんなにSNSを更新しないんですよ。投稿を並べたときに自分の作品になっちゃうので。

九条 確かに、めちゃくちゃ言葉を選んでつぶやいてはるなと思います。

椎木 本当はもっとラフにやってもいいんですけど、自分が発した言葉を次の日に見て気持ち悪いと思ったら、例えそれがシラフの状態で真剣に書いたものだとしても消しますね。

九条 わかりますわかります。

──九条さんは発信の仕方を意識しているほうですか?

九条 めちゃくちゃ意識してますね。

椎木 でも、九条さんの言葉は軽く“飛んでる”感じがするというか。

九条 軽く飛んでる?

椎木 九条ジョーという存在がスッと浮かんで言葉を書いてくれた、みたいな感じというか。グッと考えているというよりは、感覚で書いてるように見えます。

九条 本当ですか? 僕、自粛期間中にすることがなかったので、本を1冊書いたんですけど、今までつぶやいた内容をそのときに見直して、細かい句読点にもっとこだわりを持ちたいと思ったんですよ。だから、番組告知とかは別ですけど、ポエムなつぶやきをするときは九条ジョーになりきる感覚で、意外と改行とかも考えてつぶやいてます。

椎木 そうやって考えてくれているから、軽やかに見えるんですね。

九条 そうかもしれないですね。椎木さんは僕のつぶやきにめっちゃ“いいね”押してくださるのでうれしいですわ。最近、わざわざ確認するようになりましたもん。「僕のつぶやき、何個いいねしてんねん!」って。

椎木 あはは(笑)。

サブスクに対する慎重さ

──ところで、九条さんはどんな音楽が好きなんですか?

左から椎木知仁(My Hair is Bad)、九条ジョー(コウテイ)。

九条 昔はORANGE RANGEさんが好きで、中学生の頃に初めて買ったCDもORANGE RANGEさんの「チャンピオーネ」だったんですよ。そこからいろいろ経て、昭和のテクノポップ、プラスチックスさんとか、ヒカシューさんとかを聴いてるうちに頭が活性化していって、今はいろんなものを聴きますね。でも、マイヘアさんの曲はApple Musicに入ってないんですよ。お風呂で聴きたいんですけど、そこにもこだわりがあるんでしょう?

──今回は「life」がCD限定、「love」が配信限定でのリリースになりますね。

椎木 そうなんですよ。「love」は初めてサブスクで配信させてもらいます。1つ前のアルバム「boys」で1曲だけ期間限定配信したんですけど、慎重にやってます。

九条 劇場も集客が減ってしまって、有料配信でどこでも観られるようになりました。CDも売れない時代ですもんね。

椎木 そうですね。今はサブスクをやってないバンドのほうが少ないです。

九条 でも、僕らはCDで聴くよさを知ってるじゃないですか。だから、それは廃れないでほしいという思いはあるし、お笑いも一緒ですね。

椎木 僕個人の意見としては、CDでもサブスクでもMy Hair is Badというものに触れてもらえるなら何がきっかけでもいいと思ってて。でも、これまでCDでやってきたし、インディーズの頃から階段を飛ばさずに1段1段登ってきたので、サブスクという新しいものに対して慎重になるところはあります。毎回CDを買って大切にしてくれているお客さんのことは裏切りたくないし、かと言って、CDだけでしか聴けないというのも寂しいので、今回は3曲だけやってみることにしました。

九条 まったく同じ悩みですねえ! 常に劇場に来てくれているお客さんはもちろん大切ですけど、遠方だから観に行けないという人にも僕のお笑いを届けたいですし。

椎木 サブスクに過去曲は出さないですけど、今、自分が一番自信のある新しいものを聴いてもらえるので、それがいいきっかけになったらいいなと思ってます。

九条 僕も椎木さんと同じ考えだから波長がすごく合うのかもしれないですね。上京したら今すぐ一緒に住みたいくらいです!

椎木 いや、一緒に酒飲むぐらいにしてください(笑)。

左から椎木知仁(My Hair is Bad)、九条ジョー(コウテイ)。