音楽ナタリー PowerPush - オーディオテクニカ「ATH-MSR7」
国産ブランド40年の集大成 ATH-MSR7をDE DE MOUSEがチェック
音を発見する楽しみ
──ちなみにDE DE MOUSEさんのトラックって、リスナーから「高音質」と評されることが多いと思うんですけど。
ありがたいことです。僕がトラックを作るときに意識しているのは、どんな環境でもキレイに聞こえるかどうかということで。僕の制作やリスニングの環境はオーディオマニアの方々なんかよりも全然普通なんですよね。いい音っていうのも実に曖昧なものだなと思っていて。アナログ機材を通してレコーディングされたような丸みのある、温かみのある音質をいいという人もいれば、ハイファイなサウンドが好みの人もいます。最近では、高域が伸びているといい音だと感じる人が多い気がしています。実際昔よりも、音作りやミックスの傾向として中高域をキレイに聴かせる音源が多いと思う。だから中高域と高域の間辺りにツヤがあるATH-MSR7は現代的なヘッドホンだと思うんですよね。
──そうなんですね。
ハイレゾみたいな高音質の音源って高域が伸びやかになるぶん、CD音源と比べて少し音が分離して感じられる場合があるんですけど、ATH-MSR7は低域もしっかり出ているから、各楽器は立ちつつも、ちゃんと塊として感じられましたね。
──ダンスミュージックって、音が面のように迫ってくるような迫力あるサウンドも魅力ですからね。
そうですね。だからCDの音質もダンスミュージックに向いていると思うんですよ。例えば一口に高音っていっても、ハットの音もシンセの音もあって。CDの音質だとそれがちょうどよく混ざっていたものが、ハイレゾにすることで分離して聞こえてしまって迫力が損なわれることもあるかもしれませんし。
──なるほど。
そもそも僕も制作でCDからサンプリングしたりするし、その場合そのサンプルはもちろんCDクオリティですから。それにヒップホップなどの世界では、最近はわからないけど、2年前くらいはマスターをMP3にしている人もいたんですよ。カルチャー的なものなのか、彼らの中には便利で一番新しいものがクールって思っている向きもあるんです。「1曲3MBで魅力を伝えられるのに、なんで何倍も大きいDSDにしなきゃなんないの?」「DSDなんて、ケーブルからDACまでいいものを使わなきゃよさがわかんないじゃん」みたいな。一方で、オーディオマニアの人の中にはさも目の前で演奏しているような感じを求める人もいて。だから、音楽の楽しみ方って本当にいろいろなんですよね。
──ではATH-MSR7によって、リスナーはどんな体験ができると思いますか?
例えばATH-MSR7でダンスミュージックを聴いたらどうかとか、クラシックを聴いたらどうかとか、ジャズを聴いたらどうだとか、いろいろ試してみるのは楽しそうですね。あと、オールディーズとかの音源って、上下の部分が聞こえなかったりするんですけど、実は録音はされている。ATH-MSR7で聴いてみると、そういった部分が見えてくるかもしれないです。そしてそういう音源をハイエンドからローエンドまでしっかり出ている現代のダンスミュージックと比べてみるのも面白そうですね。
──いろいろなジャンルが楽しく聴けそうですね。
ええ。若いうちは派手な音が好きな傾向にあるから、パツンパツンに音圧を稼いだ音楽が楽しく感じるかもしれないけど、それ以外の音楽の楽しみ方にも気付けるかもしれない。そういう部分がATH-MSR7でわかってもらえたらいいなって思います。このヘッドホン、音楽を発見する楽しみがありますよ。
- オーディオテクニカ「ATH-MSR7」
φ45mmの新型ドライバー“トゥルー・モーション”ハイレゾオーディオドライバーを搭載し、ハイレゾクオリティの音源の再生にも対応したモデル。音響効果の高い積層構造と、音の空気経路を緻密に計算した独自技術により原音を忠実に再生する。
-
価格:オープンプライス
形式:密閉ダイナミック型
周波数特性:5Hz~40kHz
最大音圧レベル:100dB / mW
最大入力:2000mW
インピーダンス:35Ω(@1kHz)
ドライバーユニット:φ45mm
ケーブル:片出し / 着脱式
重量:約290g(ケーブル除く)
カラーバリエーション:2色(ブラック、ガンメタリック)※レッド&ゴールドの限定カラーATH-MSRLTDは全世界4000基限定販売
収録曲
- runaway man theme
- route 0 to 0
- one-way ticket
- weather search
- program run error
- brass power
- forget dance
- railway night
- blue voice
- planet to planet
- from milkyway planet
- firework girl(remix)
※12月21日に特典映像「a backstage of planet to planet」をストリーミング公開予定
DE DE MOUSE(デデマウス)
遠藤大介によるソロユニット。緻密に重ねられたオリエンタルなメロディとドリーミーなサウンドで、幅広い層からの人気を獲得している。自主制作で発売したCD-R「baby's star jam」が各方面で話題になり、2007年1月にExt Recordingから1stアルバム「tide of stars」を発表し、好セールスを記録。2008年3月にavex traxへのメジャー移籍を発表し、5月にメジャー第1弾となるアルバム「sunset girls」を発売した。その後自主レーベル「not records」を設立。2012年10月にはレーベル第1弾となる4thアルバム「sky was dark」を発売した。 DE DE MOUSE + Drumrollsとしてツインドラムと2人のVJを加えた編成でのパフォーマンスやプラネタリウムを舞台にした公演など、趣向を凝らしたライブにも定評がある。