音楽ナタリー Power Push - Ms.OOJA×武部聡志

2人の“色”で新たに生まれ変わる代表曲

「あなたの主題歌」を探してほしい

──今回のベストを「LOVE」「COVERS」「LIFE」という3つのテーマで構成したのはどんな思いからなんですか？

Ms.OOJA　今作には「あなたの主題歌」というタイトルが付いてるんですけど、恋愛とか人生とか、いろんな場面に当てはまる“主題歌”を、聴き手の方がこのアルバムの中から探してくれたらなと思ったんです。「COVERS」については、カバー曲で私を知ってくれた方もたくさんいると思うので、それは絶対に入れたいなっていう気持ちがあって。カバーはライフワークとして欠かせないものですし。

──カバー曲に取り組むとき、どんなことを心掛けていますか？

Ms.OOJA　カバーでも歌う人の人生観が出ると思うんです。だから、自分ならどう歌うかっていうところを大事にして取り組んでいますね。「原曲のファンの方が私のカバーを聴いたらどう思うのかな？」っていうプレッシャーもあるんですけど、レコーディングではそういうことは一旦取っ払ってその曲と向き合っています。素晴らしい曲を歌わせてもらってるという感謝の気持ちもあるし、自分の声を通してリスナーの方に名曲を伝えられるのはすごくうれしくて、歌手冥利に尽きるなって。私にとって、もうカバー曲はただのカバーではなくなっているんですよね。

──武部さんはカバー曲をプロデュースするとき、どんなことを意識されますか？

武部　やっぱりどうやっても原曲は超えられないと思ってるんです。名曲であればあるほど、「これを上回ろう」って変に力むとロクなことがない（笑）。だから、原曲の色合いを残しつつ、いかに自分や歌う人の色合いをうまくミックスできるかっていうことを考えますね。

──歌い手さんに武部さんからアドバイスをすることもあるんですか？

武部　「モノマネしないように」って言います。女性ボーカルの曲を女性がカバーするときなんかは、どうしても歌いクセとかコブシを真似しがちなんですよね。だけど真似しちゃうと、その人には勝てないから。

Ms.OOJA　それで言うと、私はカバーするときに、あんまり原曲を聴かずにレコーディングに臨みますね。あと私は異性の曲のほうがカバーしやすい。どう歌っても違うものになるじゃないですか。

武部　OOJAは僕がオリジナルアレンジをしている徳永英明の「Rainy Blue」もカバーしてるんだよね。あとは僕が死ぬほどライブで演奏してきたユーミンの「真夏の夜の夢」も。それをOOJA流にどう歌っているのか聴いてみたいですね。

Ms.OOJA　ぜひぜひ！聴いたら今度、感想を教えてください。

この人、ラジオでこんなこと言うんだ

──ところで、お2人の出会いは、昨年フジテレビで放送された音楽番組「水曜歌謡祭」だそうですね。この番組で武部さんが音楽監督を務められていて。

武部　そうなんです。縁あってOOJAにその番組のコーラス隊（水曜シンガーズ）に参加していただいて。ただ、そのときはあまりにもバタバタな現場で落ち着いて話せなかったんです。だから今日は本当にお見合いのように「どこに住んでいるんですか？」から始まったよね（笑）。

Ms.OOJA　「お酒は飲むんですか？」とか（笑）。

武部　「今まで聴いてきた音楽は？」とか。そうして彼女の人となりというか、こういう人なんだっていうのを知っていく感じで。

Ms.OOJA　私は「水曜歌謡祭」の前から武部さんのことを知っていて、いつか一緒に仕事をしたいなと思っていたんですけどね。

武部　以前、僕がラジオ番組で、J-POPに対して辛辣な発言をしていたんですよ。「大体、今のJ-POPはくだらない曲が多すぎるんだよ」とかガンガン言ってて。それを聴いて「この人とぜひ会ってみたい」と思ってたらしい（笑）。

Ms.OOJA　そうなんです。「この人、ラジオでこんなこと言うんだ、すごいなー」って思ってて。だから最初はすごく緊張しました（笑）。私もガンガンダメ出しされるんじゃないかと思って。

──武部さんが「水曜歌謡祭」を通じて感じたMs.OOJAさんの声の魅力は？

武部　最初は高音がすごくパワフルで高音域に魅力がある人だと思っていたんです。だけど、実は低い声のほうがすごく魅力的。そう言われないですか？

Ms.OOJA　言われますね。以前は低音に苦手意識があったんですけど、デビューして数年経ったときに自分でも実感するようになりました。

武部　女性のR&Bシンガーって、どうしても高い声をバーンと出す印象が強いけど、OOJAは中低域の声にふくよかな温かみがあって。しかも倍音がしっかり出ているのが魅力だなと今日のレコーディングでも改めて思いました。

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Ms.OOJA ベストアルバム「Ms.OOJA THE BEST あなたの主題歌」/ 2016年3月9日発売 / UNIVERSAL SIGMA: 1万枚完全生産限定盤 [CD+DVD] 5378円 / UMCK-9812; 初回限定スペシャルプライス盤 [CD] 2138円 / UMCK-9813

CD収録曲

Be...
30
Baby don't know why
また恋をすることなど
ANSWER
I WILL
let go
First love
最後の雨（ALBUM VERSION）
Hello, Again ～昔からある場所～
朝がまた来る
It's OK
Life(2016 VERSION)
My Way
翼
Be...duet with 黒沢薫

1万枚完全限定生産盤付属DVD収録内容

2015年7月の「SAPPORO CITY JAZZ」でのMs.OOJAワンマンライブを完全収録

Ms.OOJA（ミスオオジャ）

1982年10月28日生まれ、三重県四日市市出身の女性シンガーソングライター。17歳の頃より地元の三重県を中心に音楽活動を行い、卓越した歌唱力とパワフルなライブパフォーマンスで注目を集める。2011年2月にシングル「It's OK」でメジャーデビュー。この曲はさまざまな着うたチャートで上位を席巻し、彼女の名前を全国に知らしめた。同年6月に1stアルバム「VOICE」、2012年に2ndアルバム「HEART」、2013年に3rdアルバム「FAITH」、2014年に4thアルバム「COLOR」をリリース。2015年には松山ケンイチが主演を務めた映画「天の茶助」に主題歌「翼」を書き下ろし、この曲を表題曲としたミニアルバムを発表した。そして2016年3月にメジャーデビュー5周年を記念したベストアルバム「Ms.OOJA THE BEST あなたの主題歌」を発売する。

武部聡志（タケベサトシ）

作・編曲家、音楽プロデューサー。東京・国立音楽大学在学時より、キーボーディスト、アレンジャーとして数多くのアーティストの作品に携わる。1983年より松任谷由実のコンサートツアーの音楽監督を担当。このほか一青窈、今井美樹、ゆず、平井堅、JUJUといったアーティストのプロデュースや、フジテレビ系音楽番組「FNS歌謡祭」「MUSIC FAIR」の音楽監督、2011年公開のスタジオジブリ映画「コクリコ坂から」の劇中音楽を手がけるなど、多岐にわたり活躍している。