ナタリー PowerPush - Ms.OOJA×PUSHIM
30代シンガーのリアル女子会
トキメキ集め
Ms.OOJA 恋は大事ですよね、活力というか。ただ、恋をする瞬間の気持ちっていつの年代でも変わらないけど、年齢によってその後のアプローチが変わる。30代になって、恋をする機会が少なくなってる気はします。
PUSHIM そうなんだ。
Ms.OOJA 私は“トキメキ集め”っていうのをやっているんですけど。小さいトキメキを集めてそれを心にしまっておくんですね。例えばかわいい動物を見るとか、素敵な人がいたとか、そういったトキメキのポイントを貯めていく感じで小さい幸せを集めて積み重ねていく。そういうものに気付けるかどうかが大事だと思ってやっているんですけど……心の持ちようかな。
PUSHIM 常に感受性高くしていたい、そういうことですよね。私は子供が小さいってこともあって、子供にときめいているかな。でも今、恋をしていないので言えることなのかもしれないですけど、やっぱり歌を書くために恋はしたいですね。
──出産が自身の音楽に影響するようなことはありましたか?
PUSHIM 今までは自分のために作って歌って……という感じだったと思いますけど、子供ができたことで誰かのために生きるという強さが自然に出てきたと思います。どこが変わったかは具体的に言葉にするのは難しいですけど。でも、まだ歌詞や曲が変わったという自覚はないですね。
Ms.OOJA でも、将来時系列的に振り返ると、“ここでこう変わってる”っていうのがわかるかもしれませんね。
PUSHIM 今回子供を産んでから制作したアルバムが「It's A DRAMA」というタイトルなんです。これは出産後お母さんになって、ハッピーな日々を過ごしていたわけですけど、歌を書くためにはドラマがなさすぎた。それを逆手にとって付けたタイトルなんです。ドラマ仕立てに書こうと思ったものの、結果的には震災があったりだとかで人生観について考える機会を得て、書くことはたくさんあって。だからできたものを聴いたら結局自分のことばかりを歌ったアルバムになったなという印象で。
Ms.OOJA 私の周りも今出産ブームで、今月来月と友達に子供が産まれるんです。私の友達はほとんどみんな子供がいて、話していてもそういう話題になるんですよね。今の自分の生活とは全然違う世界で、私は今後どうなっていくんだろうという不安を感じることもあります。
20代は“惚れた腫れたと歌っとけばいいや”って
──30歳くらいだと、ちょうど同年代の出産が多い時期ですよね。
PUSHIM 昔漠然と思っていたんだけど、このまま子供も産まずに歌を歌っていくと面白くなくなっていくだろうなと。30代に入った頃、20代は若いし“惚れた腫れたの歌を歌っとけばいいや”と思ってましたが、自分の中で、40歳越えても恋愛の歌ばかり歌っているのも気持ち悪いかなって(笑)。そういうこともあって、子供を産む機会があるならそれは絶対に体験したいと思いました。自分の人生のためにも、自分がしっかり生きていくためにも、自分の歌のためにも。
Ms.OOJA 私も同じように思います。子供が欲しい(笑)。
PUSHIM まだまだこれからやで!
Ms.OOJA 30代になって、母性みたいなものが年々強くなっていくような気がしていて……昨日もペットショップの前で危なかったんです。
PUSHIM 買いそうになったんだ(笑)。
Ms.OOJA 自分の人生がどうなっていくのかを考えたとき、PUSHIMさんのような先輩もいらっしゃいますし、いろいろ指南していただきたいですね。
PUSHIM そういう悩みを持っている人、多いと思いますよ。30代で子供を産む方も増えていると思いますし、この年代は働いている女性も多いでしょうし。
Ms.OOJA 私、20代の頃は相手に幸せにしてもらおうと思ってたんです。「この人は私を幸せにする気があるんだろうか?」とか、相手に求めてばかり。で、30代になって自分が相手の立場になったら、こんな女は嫌だなと思うようになったんですね。それから自分1人でも生きていけるように強くなろうって思った……諦めじゃないですけど(笑)。相手に期待ばかりして、自分が相手の期待に返せるのか?って考えるようになった。悪い意味でいうと期待しなくなった。いい意味でいうと自立し始めたという。
PUSHIM 婚期は逃しているけど、強くなってるね(笑)。
──この先“こんな40~50代になりたい”という理想の女性像はありますか?
Ms.OOJA どんどんかわいくなりたい。女性の強さって柔らかいところだと思うんです。可憐さ、柔軟さ、しなやかさを持った女性というか。女性らしさって女性にとって一番の強みですよね。男性と同様に仕事をしたり、対等に話すとか、若いときはそれが強さだと思っているかもしれないけれど、女性には女性の役割があって、それを全うするのが強い女性なのかなって。そういうしなやかな女性になりたいと思ってます。
PUSHIM その通りですね。私は今の、この感覚のままいきたいですね。そうすれば歳をとらない感じがする。常にトキメキ集めができる感じでいることができたらいいなと思ってます。
Ms.OOJA ええ。そういう意味でも、同年代の女性にぜひアルバムを聴いていただきたいです。全体を通して、皆さんの心に残るようなメッセージを贈りたいと思って作りましたから。生きることって難しいこともあると思うけど、これを聴いてまたがんばろうと思ってくれたらうれしいですね。
収録曲
- Intro
- Where is my place
- 30
- ANSWER
- Shiny Sky
- JUS'TONIGHT feat. PUSHIM
- 優しい雨
- Goodbye
- Love's here
- Movin'
- YOU & I
- JULY
- I WILL
Ms.OOJA(みすおおじゃ)
1982年10月28日生まれ、三重県四日市市出身の女性シンガーソングライター。17歳の頃より地元の三重県を中心に音楽活動を行い、卓越した歌唱力とパワフルなライブパフォーマンスで注目を集める。2011年2月にシングル「It's OK」でメジャーデビュー。この曲はさまざまな着うたチャートで上位を席巻し、彼女の名前を全国に知らしめた。同年6月には1stアルバム「VOICE」をリリースすると、その後も2012年には2ndアルバム「HEART」、2013年には、30代を迎えた等身大の女性像を描いた歌詞が印象深い「30」「ANSEWER」といったシングルを発売し共感を呼んだ。2013年6月に発売した3rdアルバム「FAITH」は、シングル曲やタイアップ曲に加えPUSHIMをフィーチャリングゲストに迎えた「JUS'TONIGHT」を収録し話題を集めている。
PUSHIM(ぷしん)
ダンスホール/レゲエシーンで不動の地位を誇るシンガー。そのソウルフルで表現力豊かな歌声は、レゲエのみならずソウル、ジャズ、ゴスペルまで歌いこなし、他アーティストの作品へもたびたび参加している。1995年から大阪を拠点に活動を始め、1999年6月にシングル「BRAND NEW DAY」でメジャーデビュー。当初は時代背景故、R&B主体の作風だったが2001年7月にリリースした2ndフルアルバム「COLORS」でレゲエの資質を全面的にアピール。その後は2004年に「QUEENDOM」、2006年に「Sing A Song... Lighter!」、2008年に「RENAISSANCE」とアルバムのリリースを重ねるほか、フェスやイベントへの出演、コンセプトアルバムの制作など幅広い活動を見せている。2013年3月には、出産後初となるアルバム「It's A DRAMA」を発表した。