ナタリー PowerPush - Ms.OOJA×PUSHIM
30代シンガーのリアル女子会
Ms.OOJAが3rdアルバム「FAITH」をリリースした。本作は「30」や「ANSWER」といったシングル曲のほか、フィーチャリングゲストとしてPUSHIMを迎えた「JUS'TONIGHT」などを収録し、多彩なサウンドを楽しめる内容。また歌詞においても、今年30歳を迎えたMs.OOJAのリアルな心情が綴られており、女性を中心に多くの共感を集めている。
そこでナタリーでは、アルバム発売を記念してMs.OOJAとPUSHIMによる“30代女性シンガーソングライター”2人へのインタビューを公開。2人はアルバムに込めた思いに加え、お互いの恋愛観、出産、理想の40~50代像などについてざっくばらんに語り合っている。リアルな心情が語られたこの“女子会”に耳を傾けてみよう。
取材・文 / 星出智敬 撮影 / 佐藤類
「FAITH」は現在の活動のテーマ
──まずは、Ms.OOJAの今作のタイトルになった「FAITH」という言葉の意味について教えてください。
Ms.OOJA FAITHは信念や信頼という意味の言葉で、そういったものを今まで応援してくださった皆さんにメッセージとして送りたくて。また個人的にもMs.OOJAというジャンルを確立したい……そういう思いを込めて、今の自分の活動のテーマでもあるこの言葉をタイトルに掲げました。
──「FAITH」という言葉は現在の活動のテーマなんですね。
Ms.OOJA はい。このアルバムは私にとってデビュー3年目で3枚目のアルバムなんですけど、この作品を作り始めた昨年の2012年はいろんなことが変わって、さまざまな経験をさせてもらった激変の年だったんですね。2013年は去年の経験を形にしたい、もしくは確固たるものにしたいと思ってこのアルバムを作っていました。
──ほかのアルバム収録曲も信念や信頼といったテーマで作っていたんですか?
Ms.OOJA そうですね。「30」「ANSWER」など、今年リリースしたシングルもすべてこのテーマが念頭にあります。より等身大に、30歳になったMs.OOJAの、今だから書けるテーマだと思ってます。
OOJAのデビューは27歳
PUSHIM しっかりした30歳ですよね(笑)。私は30歳の頃、何をしていたか覚えてないです(笑)。デビューして数年経っていますけど……どの作品を出した頃だろ? とにかく私が30歳のときは、やっぱり心が強いというか、「これだけは譲れない」という信念は今よりもあった気がするし、私は変に根拠のない自信みたいなものがあった気がします。
Ms.OOJA 若さ故の勢いみたいなもの、大事ですよね。
──PUSHIMさんは、現在はそういった“根拠のない自信”はなくなったと感じていますか?
PUSHIM あるけど、いい意味で落ち着いた大人になってるかな。自分でできることと妥協するところがわかって、精神と身体のバランスが取れてきているのかなとは思います。あと、OOJAもそうだと思うんですけど、自分を俯瞰で見られるから、力の抜き差しがわかってくるんです。ここはガッツリ行こう、ここ1歩下がろうとか。
──OOJAさんから見てPUSHIMさんはどういうアーティストですか?
Ms.OOJA とにかくカッコいい存在ですね。自分がデビューした頃から見ている方で、まさに“FAITH”を持っていて、お手本にしているアーティストです。あと、アーティストとして強い方だなと思う一方で、すごくかわいらしい人だなとも思っていて。ふとした瞬間の仕草だったり、気遣いだったり、そういうところに憧れています。
PUSHIM 私から見たら、OOJAは自分ができなかったことやそこに挑戦しなかったことができているアーティストだなって思いますよ。私は若いとき、根拠のない自信を持って荒々しく仕事をしていて、「こういうことはできません」とか「やりません」とか言っていて。でもそれは結局自分の弱さだったと思っているんです。私のデビューは24歳くらいで決して早くなかったんですけど……OOJAのデビューは27歳だっけ?
Ms.OOJA そうですね。
PUSHIM 私のデビューよりももっと後ですよね。でもいろいろな経験をしてからのデビューというのはすごく強いと思うし、それがあるからOOJAは自分を客観的に見ることができるんだと思う。今回のアルバムタイトルも、自分があるからこそ付けられるタイトルですよね。
収録曲
- Intro
- Where is my place
- 30
- ANSWER
- Shiny Sky
- JUS'TONIGHT feat. PUSHIM
- 優しい雨
- Goodbye
- Love's here
- Movin'
- YOU & I
- JULY
- I WILL
Ms.OOJA(みすおおじゃ)
1982年10月28日生まれ、三重県四日市市出身の女性シンガーソングライター。17歳の頃より地元の三重県を中心に音楽活動を行い、卓越した歌唱力とパワフルなライブパフォーマンスで注目を集める。2011年2月にシングル「It's OK」でメジャーデビュー。この曲はさまざまな着うたチャートで上位を席巻し、彼女の名前を全国に知らしめた。同年6月には1stアルバム「VOICE」をリリースすると、その後も2012年には2ndアルバム「HEART」、2013年には、30代を迎えた等身大の女性像を描いた歌詞が印象深い「30」「ANSEWER」といったシングルを発売し共感を呼んだ。2013年6月に発売した3rdアルバム「FAITH」は、シングル曲やタイアップ曲に加えPUSHIMをフィーチャリングゲストに迎えた「JUS'TONIGHT」を収録し話題を集めている。
PUSHIM(ぷしん)
ダンスホール/レゲエシーンで不動の地位を誇るシンガー。そのソウルフルで表現力豊かな歌声は、レゲエのみならずソウル、ジャズ、ゴスペルまで歌いこなし、他アーティストの作品へもたびたび参加している。1995年から大阪を拠点に活動を始め、1999年6月にシングル「BRAND NEW DAY」でメジャーデビュー。当初は時代背景故、R&B主体の作風だったが2001年7月にリリースした2ndフルアルバム「COLORS」でレゲエの資質を全面的にアピール。その後は2004年に「QUEENDOM」、2006年に「Sing A Song... Lighter!」、2008年に「RENAISSANCE」とアルバムのリリースを重ねるほか、フェスやイベントへの出演、コンセプトアルバムの制作など幅広い活動を見せている。2013年3月には、出産後初となるアルバム「It's A DRAMA」を発表した。