ナタリー PowerPush × ミュージックスタイルJAPAN - SEKAI NO OWARI

初武道館ライブを振り返る WOWOW連動インタビュー

僕らはファンタジックなエンターテイナー

──では、この武道館ライブを経験したことによって、バンドがこれから進んでいく道は見えました?

藤崎 進んでいく道が見えたっていうより、進んでいく道を見せたっていう感じに近いと思ってるんです。ファンの皆さんとか、メディアの方々とかに、一歩先から「こっちの方向に進んでいきますよ」って言ったような感じ。

──「こっち」っていうのは具体的にどういう方向なんですか?

深瀬 はかなくて過激なロックバンドじゃない方向っていうことですかね。僕らはファンタジックなエンターテイナーとして、この先進んでいきたいっていう気持ちを表現できたと思ってます。ロックバンドと呼ばないでほしいっていうか。ロックって伝統があるんで、それに縛られたくなかったんです。僕らはロックだからこれをしちゃいけないとか、こうあるべきだとか、こういう売り方をしちゃいけないとか、CDに特典をたくさんつけちゃいけないとか、アイドルと同じようなことはしちゃいけないとか。なんかそういうのはすごく……よくわからない。僕は元々ロックファンじゃないのでそういうのがよくわからないんです。

──確かにあのキラキラしたステージはエンタテインメントだったと思います。1万人のお客さんの前であれだけ長いライブをやるのは初めての経験だったわけですが、お客さんの反応はどうでした?

深瀬 良かったよね。

藤崎 うん。以前渋谷公会堂でライブをやったことがあるんですけど、最前列とステージが結構近かったんですよ。そうしたら最前列の子たちが固まってるのも見えたんです。手も挙げず、ピッて直立不動みたいになってて。お互いに緊張が伝わり合って、そんな感じになってたみたいなんですけど、武道館は広かったから最前列と近すぎることもなかったし、私たちもリラックスしてたんで、お客さんもリラックスしてたように感じました。

深瀬 渋谷公会堂のときは初めてのホールだったから、すごく緊張したしね。

中島 あのときは全然勝手がわからなかった。

インタビュー風景

──コール&レスポンスもすごくいきいきとしてましたし、お客さん盛り上がってましたよね。

藤崎 本当に。ロボットのコール&レスポンスに応えてくれるか、超緊張してたんですよ。ロボットのセリフにすごくこだわって作ったんで、ぜひみんなに応えてほしくて。私たちは紗幕の後ろ側で声だけ聴いてたんですけど、実際すごく声があがってたんで、すっごくうれしかった。

──中島さんの「アリーナー!」っていうシャウトも良かったです。

中島 本当は、もっと後ろで準備されてた自分のMCコーナーで叫ぼうかなって思ってたんです。でもLOVEが先に叫んで、それがなんかフリっぽくなっちゃって、俺もやるみたいな流れに。僕としてはかなり戸惑ったポイントではありましたね(笑)。

大きい会場が似合うって言われるのはうれしい

──SEKAI NO OWARIは、大きい会場が似合うバンドだなと思いました。どうでしたか大きい会場でやるライブは。

藤崎 まず、大きい会場が似合うって言っていただけるのはうれしいですね。素直に。

深瀬 自分たちもそう思ってたんで。小さいハコでやってるときは「お前らは大きいところでやったってダメだよ」みたいに言われてたんですけど。

インタビュー風景

藤崎 「武道館はまだ早い」ってすごくたくさん言われたんで。だから「見てろよ?」と、初めての武道館とは思えないって言わせてやると思ってたんです。でも終わってみたら、大きな会場が似合うバンドだって思ったっていろんな方に言ってもらえて。大きい場所だといろんなことができるじゃないですか。だから、小さい会場を回るツアーもすごく楽しいですけど、やっぱり大きなところでまたやりたいな。

──小さい会場でやってるときから「大きいところでやってやるぞ!」って思ってたんですか?

深瀬 はい、思ってました。特に、まだデビューしたてで小さいライブハウスでやったりしてたときは、みんな曲も知らないしノリ方も知らないお客さんだったんで、基本的に棒立ちだったんですよ。ずっと直視され続ける30分。僕ら元々パンクロックが好きだったんで、モッシュとかダイブのあるライブを見て育ってきたから、棒立ちとかで観られてると悲しいわけですよ。

藤崎 盛り上がってないなあって思っちゃいますね。

深瀬 盛り上がってたら態度で示してほしくて。手を挙げたり、声をあげたりしてくれないとわからないから。

藤崎 強制はしないけどね。やりたければやればいいと思うけどね。

深瀬 だから、大きい会場で盛り上がって一緒に歌ってもらったりするほうが自分の性に合ってるんだろうな、とは思ってました。

インタビュー風景

MUSIC STYLE JAPAN

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SEKAI NO OWARI

WOWOW
2012年1月29日(日)24:00~

SEKAI NO OWARI(せかいのおわり)

深瀬慧(Vo, G)、中島真一(Sound Produce, G)、藤崎彩織(Piano)、LOVE(DJ)による4人組バンド。2007年に結成され、その後バンドの拠点としてライブハウス「club EARTH」を作り上げる。メンバー全員がそこで共同生活を営みつつ、ライブを中心に活動を展開。2010年2月にタワーレコード限定シングル「幻の命」を、4月に1stアルバム「EARTH」を、11月にダブルリードシングル「天使と悪魔 / ファンタジー」を立て続けに発表し、音楽シーンから一躍注目を浴びる。同年、各地の夏フェス、イベントに多数出演したほか、年末には東京・渋谷C.C.Lemonホールにてワンマンライブを実施。2011年8月にはトイズファクトリーよりメジャーデビュー作品としてトリプルリードシングル「INORI」をリリースした。また11月には初の日本武道館公演を行い、成功に収めた。