森久保祥太郎|約2年ぶりにソロ活動再開、新たな一面垣間見えるブルージーなニューシングル

「I'm Nobody」で広がった表現の幅

──「I'm Nobody」のミュージックビデオはアメリカを思わせるような海辺を舞台に、森久保さんと少年がそれぞれギターを手にしていて、未来と過去を思わせるような映像に仕上がっていますね。

これは映像チームと一緒に考えて作っていったんです。監督とは世代が近くて曲のテーマを伝えたらすぐに「海を背負って撮りたい」とアイデアを出してくれて。撮影場所についても、僕が以前別の仕事で行ったことのある海を提案したら、その近くでさらに抜けのいいロケーションを見つけてくれたんです。僕が参加する撮影って雨が降ることが多いんですけど(笑)、今回は晴れてくれてラッキーでした。

──「I'm Nobody」は、森久保さんにとってどんな曲になったと感じていますか?

歌詞を書いたり、レコーディングしたり、デモが上がってきたり、MVを作ったりと工程を積み重ねていく中で「これは今までにないものができるぞ」という気持ちが生まれてきて、実際にすごく大切な曲になったと思います。歌唱の部分でも知らなかった自分に会えた気がするし、最初に言ったようにもともと予定になかったシングルなので「すごいサプライズプレゼントだな」と思っていて。本当にラッキーでしたね。

──新しい引き出しを開けたことで、表現の幅がどんどん広がりそうですね。

以前、20代の頃に作った自分の楽曲をセルフカバーしたことがあるのですが(2014年発表の「TRIBALISM ~sunrise side~」「TRIBALISM ~sunset side~」にそれぞれ3曲ずつ収録)、そこで自分が書いた歌詞や楽曲を歌い直したときに、曲そのもののテーマや楽曲に込めた気持ちは変わらなくても、20代のときは眉間にしわを寄せて「こうなんじゃ!」としか伝えられなかったものが、力を入れなくても別の方法で同じぐらいのインパクトで伝えられると実感したことがあって。今回もそれと同じような感覚で、強いメッセージだからといって、それをそのまま強く言う必要はないし、勢いだけではない別のやり方で楽曲の熱量を伝えられるフェーズに来ているのかなと思いました。人生経験を積んでいく中で「自分がやりたい音楽」と「自分ができる音楽」がいい形で一緒に歩めるようになってきているのかなって。

価値観の開拓

──カップリング曲についても聞かせてください。「PANIC KITCHEN」は、過去曲だと「MONSTER」などにも通じるハードヘビーロックとヒップホップの要素が合わさった森久保さんらしい楽曲ですね。

「カップリングはお好きにどうぞ」ということで「よし、やってやろう!」と思って作った曲です(笑)。イメージとしては、いろんなことが適当に済まされていて、そのことに翻弄される自分に「物事の本質はちゃんと見えてるか?」と問いかけるような気持ちを歌にしました。例えばおいしいと評判のレストランがあって、実際に厨房を覗いてみたらものすごく適当に料理を作っていたとするじゃないですか。そのレストランの中で踊らされている自分をあざ笑うイメージを、曲を通して表現してみました。ドロドロとした重いテーマの楽曲なので、皆さんが召し上がりやすいように歌詞はできるだけポップな言葉をちりばめています。あと、A&Rのスタッフがものすごく野太くていい声を持っているので、この曲ではガヤで参加してもらいました。今や彼の野太い声は、僕の楽曲のガヤにはなくてはならない存在です(笑)。

森久保祥太郎

──「PANIC KITCHEN」のガヤはライブでかなり盛り上がりそうですよね。「I'm Nobody」と合わせて、ライブで披露されるのがとても楽しみです。現在のところ9月に「おれパラPRESENTS ORE!!SUMMER 2020」、10月からはソロツアー「森久保祥太郎LIVE TOUR 2020 心・裸・晩・唱~PHASE8~」の開催が予定されています。新型コロナウイルスの影響で開催の判断が難しいかとは思いますが、このライブに向けても準備は進めているのでしょうか。

やれる状況であるならば全力で向き合っていきたいですし、もし仮にそういう状況ではなくなったとしても何か代わるものを用意できないかと考えているところです。去年スタッフと話し合いをして、今年は「新しい価値観の開拓」をテーマに活動しようと思っていたんですよ。それで今年になってみたら、新型コロナの影響で価値観のアップデートが必要な時代になった。なので常に新しいことを考えて柔軟に活動したいと思っています。これからいろんなことが変わっていくと思いますが、エンタテインメントを止めないためになにができるか模索中です。

──コロナ禍によって、改めてライブの楽しさを見つめ直す機会も増えましたよね。

そうですね。コロナ禍によって多くの人がなんらかの歩みを突然止められてしまった。もちろん僕にとってもそうなのですが、その中で気付きがあったり、立て直しがあったりして、ただ闇雲に足止めを食らう時間ではなかったとも思っています。実はまだいくつか新曲を作っているんですよ。もし無事にライブが実現できた際には、その新曲も披露したいと思っているので、なおさら安全に開催できる状況になっていてほしいですね。もし予定通り開催できたら、皆さんも「半年分の溜まったものを吐き出す!」という気持ちで来ていただけるとうれしいです。なので……やりたい! やらせてください!!(笑)

森久保祥太郎

ライブ情報

森久保祥太郎 LIVE TOUR 2020 ⼼・裸・晩・唱 ~PHASE8~
  • 2020年10月10日(土)北海道 cube garden
  • 2020年10月17日(土)大阪府 umeda TRAD
  • 2020年10月18日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2020年10月25日(日)愛知県 名古屋ReNY limited
  • 2020年10月31日(土)福島県 KORIYAMA CLUB #9
  • 2020年11月1日(日)福島県 KORIYAMA CLUB #9
  • 2020年11月7日(土)福岡県 DRUM Be-1
  • 2020年11月8日(日)高知県 CARAVAN SARY
  • 2020年11月14日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama