音楽ナタリー PowerPush - MONSTER大陸×勝田文
ブルースに魅了された2組が語る“marry”
しっかりブルースやんなきゃダメなんじゃないの?
──MONSTER大陸の皆さんは、どうしてブルースのバンドをやろうと思ったんですか?
藤倉 そもそものきっかけを作ってくれたのは優三くん。以前は4人それぞれいろんなところでセッションやったり、バンドやったりと活動していたんですが、ブルースのセッションの機会があっても歳上の先輩方とやる機会が多かった。ただ、優三くんが「1回若い連中だけでやってみてよ」ってライブハウスの人に言われて集めてくれたのがこのメンバーだったんですよ。それでやってみたら「なんか面白いじゃん」となって、「じゃあバンドにしようぜ」っていう感じですね。
優三 フロントの藤倉と太郎くんがすごく強いブルースの色を持っているんで、そういうことならしっかりブルースやんなきゃダメなんじゃないの?みたいな(笑)。
──皆さんがブルースに興味を持ったきっかけは?
優三 俺は藤倉と中学高校が一緒で。そのときに1個下の彼の影響でブルースを知りましたね。それまではまったく知らなかった。
藤倉 僕はもともと父親の影響でThe Beatlesが好きで。さっき勝田先生が言っていたように1960年代のロックを聴いてると、ブルースって言葉が出てくるんですよね。それで、エリック・クラプトンがブルースをカバーしているライブの音源を聴いて「あ、この曲カッコいいな」と思って。フレディ・キングの曲だったんですけど、オリジナルを聴いたらもう脳天かち割られたみたいな衝撃を受けて、そこから大好きになっちゃいましたね。
──勝田先生がMONSTER大陸を通してブルースを好きになったみたいに、The Beatlesだったりクラプトンを通してブルースを好きになったと。
藤倉 そうですね。要はたどっていった感じですね、自分の場合は。
吉田 僕もロックが好きで、20歳過ぎたくらいの時期にルーツをさかのぼっていって……ブラックミュージックとかブルースを聴くようになりました。
──千賀さんは?
千賀 俺は親父がブルースギタリストで、子供のときから家にブルースが流れてたんです。あとB.B.キングとレイ・チャールズが来日したときの公演の映像を観るのがすごく好きだったみたいで、ずっと親父に「B.B.、B.B.」って言ってたらしくて。最初からブルースなんですよ。
優三 初めっからブルースってすごいよね。
千賀 いやー、逆に自分で探し求めるって作業をしてないんで。そういうのも面白そうだなって思うんですよ。
──じゃあハープに最初に触れたのも、小さい頃だったんですか。
千賀 そうなんですよ。親父が当時デュオでやってて、相方がハーピストで。その人が家に来て練習するわけですよ。それを1歳とか2歳のときぐらいから聴いてて。初めてハーモニカに触れたのが2歳ぐらい。ギターとかだと持てないですけど、ハーモニカって小さい楽器だし、息したら音が出るしね。そこで面白いなと思ったんですよねきっと。それから23年、ずっと吹き続けてますね。
ドンピシャな歌があるじゃないか
──今回のMONSTER大陸さんのベスト盤「marry」、勝田先生のマンガ「マリーマリーマリー」。ともに「marry」という言葉がタイトルに登場しますよね。まず勝田先生は、どうしてこのタイトルにしたんですか?
勝田 最初に夫婦もののマンガを描こうっていう構想があって、タイトルを考えていたときに彼らのCDを聴いてたんですよね。その中に「marry」という曲が入っていて「ドンピシャな歌があるじゃないか!」って思って、いただきまーすっていう(笑)。でも本当、あの歌は好きな歌で。「marry」の歌詞の世界にかなり影響されて作品を描いてますね。
──「marry」って2ndアルバム「上陸」に入っている曲ですよね。当時MONSTER大陸の皆さんはどういう思いでこの曲を作られたんですか?
藤倉 原案は自分なんですけど、当時好きな人がいて鼻歌を歌ってたら、メロディと「I wanna marry」っていうフレーズが思い浮かんだんで、それを元にしてどんどん作っていきました。愛する人がいて、幸せになりたいなあと、そういうストレートな気持ちで作りました。
──すごくシンプルなメッセージで、素直に入ってくるというか。
勝田 そうですよね。本当いいと思います、あの歌は。
藤倉 まあ、その相手とはうまくいかなかったんですけどね。
一同 あははは(笑)。
──ちなみに「マリーマリーマリー」の主人公2人は出会っていきなり結婚しますよね。これってどう思われました?
藤倉 僕はこれはびっくりしました(笑)。
勝田 マンガだからね(笑)。
千賀 やっぱ恋愛や結婚とかって年齢によって考え方が変わってくると思うんですね。僕は25歳ですけど2、3回デートして好きになったら「もう結婚してくれ」くらいの感じですよ。だから「マリーマリーマリー」のストーリーはすごくいいと思います(笑)。
勝田 あははは(笑)。
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収録曲
- The Grip
- lover,baby
- ランドリー
- Party
- Ms.Lover
- marry
- Monster73
- drunkard
- オトナゲ
- おまたせ!
- NABACCALIDA
- cold city
MONSTER大陸(モンスタータイリク)
藤倉嗣久(Vo, G)、千賀太郎(Vo, Harp)、吉田靖雄(B)、優三(Dr)からなるブルースロックバンドで、優三の呼びかけにより2012年7月に結成。それぞれのメンバーが多くのセッション経験を持っており、ブルースを基盤にしたバンドサウンドにはロックやオルタナティブロック、ファンク、R&Bなどの要素も取り入れている。2013年2月に1stアルバム「発見」をリリースしデビュー、その後は8月に2ndアルバム「上陸」、2014年7月に3rdアルバム「進撃」、同年10月に4thアルバム「開放」を発表と、ハイペースな創作活動を続けている。2015年1月にベストアルバム「marry」をリリース。4月5日に東京・渋谷La.mama、4月9日に大阪・LIVE HOUSE Pangeaにてベスト盤の発売を記念したワンマンライブを実施。
勝田文(カツタブン)
7月18日愛知県生まれ。1998年、「晩夏」が「YOUNG YOU」に掲載されデビュー。2007年には佐藤多佳子の小説「しゃべれどもしゃべれども」のコミカライズを担当し話題を集めた。代表作に「あのこにもらった音楽」「プリーズ、ジーヴス」「ちくたくぼんぼん」など。2014年8月より「Cocohana」にて「マリーマリーマリー」を連載中。「マリーマリーマリー」1巻のコミックスが2月25日に発売。