ナタリー PowerPush - MONOBRIGHT
5人体制初のフルアルバム「ACME」完成! 果たしてバンドはどう生まれ変わったのか?
アルバムの構成は「男性的なセックス」
──では、曲として一番盛り上がる「WONDER WORLD」をラストに置いて、「淫ピーDANCE」と「DANCING BABE」という陽性で、しかも肩の力の抜けたテイストでアルバムが始まる構成は?
桃野 5人になって第1弾のアルバムになるので、陽気に、楽しんでる様子を感じてもらうのがいいかなって。
ヒダカ 逆に気合が入ってないほうが格好いいんじゃないかと。ガチガチじゃないほうがいい。男性的なセックスですね。最初はチャラくナンパして、最後に射精するという(笑)。
松下 ツアーを回っていても、今のライブは「楽しんでなんぼ」という感じになっているので。自分たちのナチュラルな状態のものを出す、という。だから明るくて、ヘロヘロっとしたものから入るのが、今の形だったんじゃないかなと思います。
ヒダカ ライブもヘロヘロやってるもんね(笑)。
松下 でも最後にはカッコいいところに持っていきますから。
進化したダンスミュージックを聴かせる
──「踊りませんか」などの楽曲では、MONOBRIGHTなりのダンスロックというのがひとつのテーマになっていますよね。
桃野 後追いでニューウェイブを好きになった人が作るものじゃなくて、リアルタイムでニューウェイブを知ってた人の感覚を混ぜた「今のダンスミュージック」を提示できれば、というのはありましたね。
ヒダカ 今回、リズムには相当バリエーションを出しましたね。リアルタイムのニューウェイブって、実はブラックミュージックの再構築だったんですよ。そういう意味でのバリエーションをMONOBRIGHTという一つのバンドで再現しちゃおう、という。今よくあるディスコパンク以降のダンスミュージックからさらに進化させたものを聴かせるには、リズムでどんどん遊ぶのが一番いいんじゃないかなと思って。
ケツを拭く自信が出てきた
──なるほど。ではアルバム後半の「夜明けのバル」「スロウダイヴ」というシューゲイザー的な部分は、どういう位置づけなんでしょうか?
松下 前作のアルバム「ADVENTURE」で得たものを、もう少し親切に、わかりやすくしたのがあのゾーンですね。陰と陽の部分を色濃く出すという。そのためにもっと曲を長くして、時間をかけてトランスさせるという実験もしましたし。音をどんどん重ねて壁を作るのにも挑戦しましたし。
──しかも、そういう曲に「スロウダイヴ」という、シューゲイザーのムーブメントの代表的なバンド名からとった曲名をつけるという。
松下 「NO CONTROL」もそうですけれど、親切にルーツを見せてるということですね。今まではそういうことをするのを恥ずかしいと思う部分があったんですよ。でも今回は思いっきりそれを提示した。それで、こっちもそのケツを拭こうと。
ヒダカ そう、ケツを拭く自信が出てきたということだよね。今まではパロディなのにパクリと言われちゃう恐怖があった。でも堂々と「パロディです!」って言ったほうが、むしろシーンとして健全なので。逆にモロでいいんじゃないかと思いましたね。どうやっても、結局は桃野陽介でしかないものが出てくるわけだから。
桃野 そう。まんまやったとしても、結局MONOBRIGHTの曲になる。それがわかったのが大きい収穫ですね。
ヒダカ それは成長だよね。タッキーはどう思うの?
瀧谷翼(Dr) 成長しましたよ。単純に、今までやってこなかったこと、できなかったことができるようになっただけでも、MONOBRIGHTの成長だと思います。
初回限定盤CD収録曲
- 淫ピーDANCE (Instrumental)
- DANCING BABE
- NO CONTROL
- 宇宙のロック (淫ダストリアルver.)
- Timeless Melody
- 踊りませんか
- Pet
- 夜明けのバル
- スロウダイヴ
- COME TOGETHER
- miu
- WONDER WORLD
通常盤CD収録曲
- 淫ピーDANCE (Instrumental)
- DANCING BABE
- NO CONTROL
- Timeless Melody
- 踊りませんか
- Pet
- 夜明けのバル
- スロウダイヴ
- COME TOGETHER
- miu
- WONDER WORLD
MONOBRIGHT(ものぶらいと)
2006年、桃野陽介(Vo, G, Key)松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人で結成し、2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビュー。2010年2月には「DO10!!攻約宣言!」と題し、10項目に及ぶライブ・リリースプランを公約として発表。さらに同年11月、新メンバーとしてヒダカトオル(Vo, G, Key / ex. BEAT CRUSADERS)が加入し、ファンを驚愕させた。2011年5月に、5人体制で初のフルアルバム「ACME」をリリース。