MONKEY MAJIK|“view”シリーズ最終章、20年間追求した鳴らしたい音

4人での楽曲制作はずっと楽しい

──ではここからは収録曲について詳しくお聞きしたいと思います。1曲目の「Please Don't Stop The Music」はディスコっぽい仕上がりで、アニバーサリーイヤーの始まりを楽しく祝うような楽曲ですね。

Blaise この曲はタイトルの通りなんですけど、「僕らは音楽を発信することを止めない」という思いを込めて作りました。実際、4人での楽曲制作はずっと楽しいですし、それが表現できたと思います。2006年にリリースした「Around The World」はチャイニーズディスコな雰囲気でしたけど、今回はディスコナンバーでも趣を変えていて、今っぽいムードが表現できていると思う。

DICK この楽曲のハイライトは、イントロの掛け声かな。カナダのエンジニアの方に協力してもらったんですけど、向こうでレコーディングした雰囲気が伝わるかなと思います。

──「Bitten By You」は 、映画「スプーキッズ ザ・ムービー」の主題歌としてすでにおなじみのナンバーです。

TAX 主題歌を担当させていただいたご縁で、声優の仕事にもチャレンジすることができました。あの経験はとてもいい刺激になりましたし、表現の幅が広がったような気がします。僕らはそういう思いがけないつながりの連続で、20年間続けてこれたという思いもあって。「Bitten By You」はその象徴的な曲かもしれません。

──「Tunnel Vision」は、エフェクトのかかったボーカルが印象的です。それに1980年代のバブル期のような都会っぽい雰囲気もありますよね。

Maynard このアルバムでスタッフから一番評判がよかったのが「Tunnel Vision」でした。ボーカルはフィル・コリンズを意識して、クラシカルでモダンな雰囲気のものにしたかった。サウンド面に関しては、1980年代の僕が好きなメロディや、ギターのフレーズからインスパイアを受けています。

──最後の“大どんでん返し”な歌詞もいいですよね(笑)。

Maynard そうですね。「何これ?」って自分たちでも思ったくらい(笑)。最初は歌詞を変えようかとも思ったのですが、「これでいいのでは?」という話になって。

TAX 結局「何を追いかけていたんだろう?」って気持ちになる(笑)。

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「これだ!」と胸を張れるバラード

──次の「Golden Road」は一転して壮大なバラードです。バンドの20年の歩みに思いを馳せてしまいました。

Maynard これはレコーディングの終盤にできた曲です。全体を通して聴いて、バラードも入れたいねという話になって。バラードはこれまでにもたくさん作ってきたんですけど、印象の違うものにしたくて完成までにかなり苦労しました。特にいいメロディを導き出すのが大変で、サビを作るのには1週間くらいかかったかな……自分が「これだ!」と胸を張って言えるものを残したいと思ったんです。結果的には休憩しようとコーヒーを買いに出た瞬間に浮かんだものが曲になりました(笑)。歌詞については“ガッカリ感”をテーマにしていて、どんなにがんばってもうまくいかない瞬間について歌っています。

TAX 僕は最後に自分たちが戻ることができる“場所”のような楽曲を作りたかったというか。日々を誠実に積み重ねていくことの大切さを忘れてはいけないという思いをこの曲で表現しようと思いました。

──アカペラのようなコーラスワークが印象的な「Amazing」は、「Golden Road」同様に自分の信じる道を歩み続ける人へエールを送る内容になっています。

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Blaise これはレコーディング中に、スタッフからあるパラクライマーの動画を観せてもらって、その姿を見たときに素直に「アメージングだな」と思って、そのときの気持ちを楽曲にしたいと思ったんです。それで完成した数十秒のフレーズをそのクライマーさんに送ったんです。するととても喜んでいただけて、楽曲として完成させることにしたんです。

──「I Need Your Love」は、ストレートなラブソングです。

Blaise この曲に関しては、20年周年を迎えたことで“ありがとう”以上の気持ちをファンの皆さんに伝えたいと思ったんです。これまでのバンドのストーリーテリングな要素を入れつつ、サビで印象が変わる展開にしたかった。これも締め切りギリギリまで悩んで作った曲です。ギリギリまで粘ったからこそ、いい曲にできたんだと思います。

──またサックスの音色がジャズっぽい雰囲気を出して、アダルトですよね。

Blaise 僕、実はサックスってあまりいい印象がなかったんです(笑)。1990年代に流行っていた、そういう系統の音楽が好みじゃなかったというか。でも、この楽曲にはサックスが必要だと感じて取り入れたんです。演奏してくださった方が、自分のイメージをさらに上回るプレイをしてくれたおかげで、克服できた気がする(笑)。

──斬新でクールといえば「Metamorphose」もそうですよね。シティポップ的な雰囲気を加えて、バンドの新機軸がうかがえました。

TAX これは「Golden Road」と同時進行で制作していた楽曲です。「Golden Road」は“変わらない日々を繰り返すことの大切さ”をつづった曲なんですけど、一方で「このままでいいのか?」という思いもあって。それを素直に表現したくて完成させたものですね。メロディ展開もユニークだし、「Golden Road」を作れたからこそ、生まれた曲なのかもしれない。