MONKEY MAJIK|旅の果てに得た神秘の音楽

自分のルーツを表現できた

──懐かしのポップ感のある楽曲から一転、「Venom」は日本の伝統的な歌唱法である「こぶし」が効いた歌声と、エレクトロニックな音がミックスされたミステリアスで実験的な仕上がりですね。

Blaise 演歌が好きで、その要素を自分たちの音楽に取り入れたいとは以前から思っていたんですけど、それが実現した1曲ですね。とてもスピリチュアルな内容で……僕ら4人、それぞれに考えや信じているものが異なるんですけど、常に一緒にいられてピースな関係が構築できている。それを音でも表現したいと思っていて、和と洋をミックスさせてみました。特にサビの部分でこぶしが効いているんですけど、ヒップホップ的なグルーヴも織り交ぜながらも泣きそうなほどエモーショナルな世界を作ることができたのかなって。

──ちなみに、この楽曲にはゲストボーカルが参加している?

Blaise あれは“お化け”が歌っているということにしておいてください(笑)。

──なるほど。続く「Fall Apart」は、AORのように流麗なグルーヴ感のある仕上がりですね。

Maynard(Vo, G)

Maynard リズムが効いた、ノリのいいミディアムテンポの曲。イントロの琴の音色が特徴的と言うか。当初は三味線を使おうかと思っていたのですが、三味線は以前ほかの楽曲に取り入れていたので。シンプルでいいループが琴で完成したので、それにしようと。何か足りないと感じていたものがこの音によって埋まった感じがして、面白いものになりました。和の印象が引き立ったように思います。

──「Ordinary Man」はピアノの音色からスタートし、徐々に音色が広がるドラマチックなナンバーで。

Blaise 個人的には当初、この楽曲はアルバムに入れなくてもいいんじゃないかって思っていたんです。でも、周囲から「絶対に入れた方がいい」というプッシュがあって、完成させました。できあがった曲を聴いて、イントロのピアノが気に入っています。またBee Geesの楽曲のような優しいメロディもいいなって。歌詞では、みんな特別な存在になりたがるけど本当は普通でいることが何よりも大変で、大切であるということを歌っています。

──「Fight This Storm」は、アメリカンフォーキーな曲調ですね。そのサウンドに乗せて、人間として成長していくことや、その中で生まれる出会いや別れについて歌われていて、力強く感動的な仕上がりになっています。

Maynard これは今回のアルバムにおいてもっともパーソナルな楽曲なんです。実は、僕の母親が今年の1月にこの世を去ったんです。それまで何度かお見舞いに行くことはできたのですが、話をしきれなかったこともあるし、なかなか口に出して伝えづらいような思いも自分の中にあって。そういった、彼女に伝えきれなかったことをこの楽曲に込めた感じです。こんなにフォーキーな楽曲って、今までMONKEY MAJIKで作ってこなかったような気がする。自分のルーツを表現できた1曲なのかもしれないです。

新たな旅へ

──多様な思いやサウンドの詰まったアルバムですね。この作品を完成させたことで、新たなバンド像や今後のビジョンなど、見えたものもあるのでは?

MONKEY MAJIK

DICK 一気に完成させたような気もするし、じっくり時間をかけた気分もある。すごく不思議なアルバムなんですよね。当初はこんなにまとまりのある仕上がりになると思わなかったし。全曲を通して聴けるアルバムを完成させることができてよかったと思います。ジャケットも気に入っていますし。

Maynard 今回は「Around The World」のデザインなどを手がけてくれたShun Kawakamiさんにアートディレクションをお願いしたんです。個人的に、暗号っぽさがあるなと思うし、よく見ると猿の尻尾にも見えてきて。エニグマっぽくて面白いなって思いました。

──そんなアルバムを携えて、またライブツアーが始まります。4月には台湾や中国での公演も控えているそうですが、次はどんな旅になりそうですか?

TAX 自分たちでもこれから始まる旅が、どんなふうになるか楽しみにしているんです。とにかく気持ちを新たに引き締めて、より精度の高いライブができたら。お客さんとより一体になれるようなステージを披露したいですね。また、旅と言えば、このアルバムのmu-mo Shop限定盤にはMONKEY MAJIKのオリジナルお弁当箱3点セットが付いているんですよ!(笑) これを持って、山へピクニックに行きたいですよね。春の日差しを感じ、「enigma」を聴きながらお弁当を食べるのが一番幸福な旅なのかもしれない。そういう心の余裕を持って日々を暮らしたいですよね(笑)。

MONKEY MAJIK
MONKEY MAJIK「enigma」
2018年3月21日発売 / エイベックス・エンタテインメント
MONKEY MAJIK「enigma」CD+Blu-ray盤

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5400円 / AVCH-78109/B

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MONKEY MAJIK「enigma」CD+DVD盤

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5076円 / AVCH-78108/B

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mu-mo Shop限定盤
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14040円 / AVZ1-78111/B

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CD収録曲
  1. Tokyo lights
  2. 40 days
  3. A.I. am Human
  4. Seiko
  5. Is this love?
  6. Venom
  7. Fall Apart
  8. Ordinary Man
  9. Fight This Storm
  10. ray of light
  11. のぞみ
Blu-ray/DVD 収録内容

「MONKEY MAJIK "原点回帰" LIVE FILM」
昨年実施された47都道府県ライブハウスツアー千秋楽・沖縄公演のLIVE模様とインタビューやオフショットを交えたドキュメンタリー映像。

  • 虹色の魚
  • Fall Back
  • rise
  • Save the last dance
  • turn
  • Wonderland
  • wait
  • Frozen
  • ray of light
  • A.I. am Human
MONKEY MAJIK(モンキーマジック)
MONKEY MAJIK
カナダ人の兄弟Maynard(Vo, G)、Blaise(Vo, G)と日本人のTAX(Dr)、DICK(B)からなる仙台在住のロックバンド。 2000年に結成され、2006年1月にbinyl recordsより1stシングル 「fly」 をリリース。ネイティブな英語と日本語が交互に飛び出す歌詞と、洋楽と邦楽の双方の魅力を取り入れたメロディで好評を博す。2ndシングルの 「Around The World」 はフジテレビ系ドラマ 「西遊記」 の主題歌としてヒットを記録する。2011年1月には 「東北観光親善大使」 に任命され、同年から東日本大震災復興支援プロジェクト 「SEND愛」 を主催。その後も東北復興支援に向けた活動を継続している。結成15周年のアニバーサリーイヤーとなる2015年には2月にオリジナルアルバム「Colour by Number」を発表し、東京・日本武道館公演を開催。10月にベストアルバム「MONKEY MAJIK BEST -A.RI.GA.TO-」を発売した。2016年3月には通算10枚目のオリジナルアルバム「southview」を、2018年3月にアルバム「enigma」をリリース。