音楽ナタリー Power Push - MONKEY MAJIK

かつての自分を再発見、古くて新しい“ダンス”アルバム

合宿は「早くお酒飲みたい!」っていう気持ちとの戦い

──先ほどお話していたように、それぞれの楽曲が持つダンスのテイストは違いますね。

左からMaynard(Vo, G)、Blaise(Vo, G)。

Maynard はい。“ダンス”ってキャッチコピーになってるかもしれないけど、それを書かなければたぶん「あ、なんかアップビートだな」ぐらいにしか思わないでしょ? それが“ダンス”って言われた瞬間、「あ、そうですね」って意味付けされちゃう。実際は全曲違うと思うんですけどね。

──2曲目の「High」は一転してオーガニックなサウンドですし。

Maynard はい。急にね(笑)。

──今回はニュージーランドにある、Crowded Houseのニール・フィンのスタジオでレコーディングをしたわけですが、音は変わりましたか?

Maynard 変わりました。どの曲も結局、あのスタジオの機材を使って録ればああいう音質になるんですよ。コンプとかコンソールはThe Whoが使ってるのと同じものだったので、そうしようと思わなくても60年代がフラッシュバックしちゃうんだよね(笑)。それでも新しく感じさせたいから、例えばドラムをちょっといじって、音を新しい感じにしたりして。

DICK レコーディングスタジオは新しいおもちゃみたいなものなんですよ(笑)。

──当然、合宿レコーディングですよね。

Maynard お互い嫌いになるぐらいの“合宿感”がアルバムに出てると思います。効率いいですね。やっぱり、作業をしていてメンバーをすぐ呼べるし、すぐ呼ばれる。で、みんな自分の作業部屋だから同じ部屋にいなくていいし、あんまりストレスがない。いくらモバイルの時代でも、やっぱり同じ屋根の下で作業するほうがいいよね。毎回やりたいぐらい。

DICK(B)

DICK 野球チームとかサッカーチームが毎年キャンプに行くような効果があると思う。

──利点のほうが多かったですか? 顔を突き合わせすぎてしんどいということもなく?

TAX まあ、それなりに効率よくやってたので。

DICK 家も大きかったからね。「TAXのことしばらく見てねえな」って日もあったし(笑)。

TAX 部屋にこもってずっと曲を書いてたんだよ(笑)。景色もすっごくいい場所で、気分転換に外に行って書いたりとか。「Utopia」なんてそのまんまです。見たまんまのことを歌詞に書いてるだけだから。家のデッキから海が見えるんですよ。そのときに感じたことをそのままメモして、メロディにハメていく感じで作ったんで。せっかくニュージーランドに行って作品作ってるんだから、そこで感じたことをふんだんに取り入れていこうと思って。しかもいいペースで仕事できるんですよ。ただ1つ「早くお酒飲みたい!」って気持ちとの戦いでした(笑)。

Blaise ホントに朝起きてコーヒー飲んで、朝ごはん食べて、自分のスタジオに入って、Aメロだけ歌って、「今日はもういいんじゃない?」みたいな(笑)。すごいリラックスした感じでレコーディングしました。

1980年代の体験を再現する時期をずっと待ってた

──今回のアルバムの幅広い音楽性はその自由さから生まれたわけですね。シンセポップ寄りな「Undercover」は誰のアイデアですか?

Maynard それ最初に僕が打ち込んでるとき、コンピュータゲームのあの時代の音をイメージして笑いながら作ってたんですよね。もうずっと「FINAL FANTASY」とか「ゼルダの伝説」をやってる感じで。

──そのテーマは「Gamer」も似てますね。

Maynard そう。「Gamer」の歌詞はその後にできたんで、この曲もそういうコンセプトになりました。ダサかっこよさが前面に。

TAX(Dr)

TAX 80年代の文化みたいなね。

Maynard やっと時代が「80年代カッコいいな」って風潮になってきて、ちょっとうれしいんです。普通だったら「経験できなかった時代だけど好きだからオマージュする」っていう人が多いと思うんだけど、今回は実際に僕たちが80年代に体験した音楽へのオマージュなんですよ。

──リスナーとしての体験が濃かった1980年代を自分たちのオリジナルなものにできたと。

Maynard はい。その体験を再現する時期をずっと待ってたみたいな。でも80年代がドーン!と前面に出てるというより、純粋に楽しく作れたアルバムになってると思います。「Delicious」のあのトランペットとかね、「フフ」って笑いながら作らないとおかしいでしょ。真顔でやってたらちょっと怖い(笑)。

ニューアルバム「southview」2016年3月9日発売 / binyl records
CD+Blu-ray / 5400円 / AVCH-78089/B
CD+DVD / 4860円 / AVCH-78088/B
CD/ 3240円 / AVCH-78090
CD収録曲
  1. Delicious
  2. High
  3. Plastic Girl
  4. Undercover
  5. Utopia
  6. Breathe
  7. Gamer
  8. Kiss Me
  9. Splash
  10. Valentine
  11. Colours of the world
  12. The Mistakes I've Made
DVD / Blu-ray収録内容
  • レコーディングドキュメンタリー映像
ライブ情報
BLUE MOON presents MONKEY MAJIK JAPAN TOUR 2016 -YEAR OF THE MONKEY-
  • 2016年4月9日(土)宮城県 多賀城市文化センター 大ホール
  • 2016年4月10日(日)山形県 山形市民会館 大ホール
  • 2016年4月16日(土)千葉県 浦安市文化会館 大ホール
  • 2016年4月17日(日)埼玉県 和光市民文化センター サンアゼリア 大ホール
  • 2016年4月29日(金・祝)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
  • 2016年4月30日(土)岡山県 倉敷芸文館
  • 2016年5月3日(火・祝)愛媛県 ひめぎんホール サブホール
  • 2016年5月5日(木・祝)福岡県 福岡国際会議場 メインホール
  • 2016年5月7日(土)熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール
  • 2016年5月8日(日)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第2ホール
  • 2016年5月14日(土)沖縄県 桜坂セントラル
  • 2016年5月15日(日)沖縄県 桜坂セントラル
  • 2016年5月29日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
  • 2016年6月4日(土)石川県 金沢市文化ホール
  • 2016年6月5日(日)長野県 ホクト文化ホール 中ホール
  • 2016年6月19日(日)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
  • 2016年6月25日(土)大阪府 大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール
  • 2016年7月2日(土)静岡県 静岡市民文化会館 中ホール
  • 2016年7月8日(金)東京都 中野サンプラザホール
  • 2016年7月9日(土)東京都 中野サンプラザホール
  • 2016年7月22日(金)福島県 福島県文化センター 大ホール
  • 2016年7月24日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
MONKEY MAJIK(モンキーマジック)
MONKEY MAJIK

カナダ人の兄弟Maynard(Vo, G)、Blaise(Vo, G)と日本人のTAX(Dr)、DICK(B)からなる、宮城・仙台在住のロックバンド。 2000年に結成され、2006年1月にbinyl recordsより1stシングル 「fly」 をリリース。ネイティブな英語と日本語が交互に飛び出す歌詞と、洋楽と邦楽の双方の魅力を取り入れたメロディで好評を博す。2ndシングルの 「Around The World」 はフジテレビ系ドラマ 「西遊記」 の主題歌としてヒットを記録する。2011年1月には 「東北観光親善大使」 に任命され、同年から東日本大震災復興支援プロジェクト 「SEND愛」 を主催。その後も東北復興支援に向けた活動を継続している。結成15周年のアニバーサリーイヤーとなる2015年には2月にオリジナルアルバム「Colour by Number」を発表し、東京・日本武道館公演を開催。10月にベストアルバム「MONKEY MAJIK BEST -A.RI.GA.TO-」を発売した。2016年3月には通算10枚目のオリジナルアルバム「southview」をリリース。