“コン”と“婚”

──今日は「ももたまい婚」についてお二人に改めて振り返ってもらいますが……。

百田夏菜子　ナタリーさんのレポートもすごい盛り上がったんですよね？

玉井詩織　（記事を読みながら）「ついにゴールイン！」（笑）。

──記事に付いたコメントを見ると、モノノフ（ももクロファンの総称）の反響はもちろんですけど、それ以外の、いわゆる“百合”の部分へのリアクションが大きかったですね。「この規模でこれが許されるんだ！」「だったらあの人とあの人も挙式やってほしい」といったコメントが多数ありました。

百田　へえー。

──そもそもなぜ、ほかのももクロメンバーがソロコンサートを企画する中で、お二人は“挙式”をやったんですか？

玉井　ほかの3人はソロコンサートがやりたくてやってるんですよ。（高城）れにちゃんは初めはちょっと違ったらしいんですけど。もし私たちがソロコンサートをやっても、3人の熱量と比べて、中途半端に見えちゃうんじゃないかなって。だったらやらないほうがいいかなと思ったんです。そしたら、かなこも同じように考えていて。

百田　私もソロは全然やるつもりなくて。そしたら「玉さんも同じみたいだから、じゃあ2人でやんなよ」って言われて「まあ、2人だったらいいかなあ」みたいな。

──2人で普通にコンサートをやるという発想にはならなかった？

玉井　そのつもりでスタートしたんですけど、普通のコンサートという意味で「ももたまいコンやりますよ」と言ったら、モノノフの方が「コン」を結婚の「婚」で受け止めたらしくて。

百田　ネットで盛り上がってたらしいんですよ。

玉井　そしたら川上さん（ももクロのプロデューサー・川上アキラ氏）が「それいいじゃん」って言って、私たちに確認もないままタイトルを「ももたまい婚」にしたんです（笑）。

百田　だったら徹底的に突き詰めるしかないなと思って。あわよくば、これから結婚式を挙げる人に「こんな披露宴がしたい」と思ってもらえるくらい本格的にやりました。

お泊りで決めた式次第

──本当の挙式よりも前にここまで盛大な式を挙げるというのも、少し複雑ですよね。

玉井　婚期遅れそうだよね（笑）。

百田　でも中途半端な結婚式というのもイメージが湧かなくて。コンセプトをしっかり立てたほうが、グッズとかも作りやすいし、本格的な引き出物を作ったりとか、細かいところまで考えるのがすごく楽しかったですね。

──この“壮大な悪ノリ”みたいなことはももクロが初期から得意としていることで、それは川上さんによるところが大きかったと思うんです。今回も川上さんが組んだ座組にお二人が乗っかった図式なのかと思っていたんですけど、お二人からアイデアを出した部分も多いのでしょうか。

百田　そうなんですよ。玉さんがうちに泊まりに来たときだよね？ いろいろ話したの。一緒にゲーセンに行って、UFOキャッチャーとかして。

玉井　そうそうそう。そんときだ。

百田　ドミノみたいなUFOキャッチャーで大きいタワーを倒して、めっちゃテンション上げて帰ってきて、テレビ観ながらゴロゴロゴロゴロ、ダラダラダラダラしてるときに「そう言えば『ももたまい婚』のこと考えなきゃね」って。気持ちが盛り上がってるときにやらないと、うちらダメだから。

玉井　セットリストは私たちに託されていたので「まずはセットリストだ」って。

百田　うちのお母さんを交えていろいろ盛り上がって。

──お母さんに「私たち結婚するんだけど」と？

百田　はい（笑）。そこで決めたことをその場ですぐ川上さんに連絡して。あと、当日歌う新曲がまだできていなかったから「どんな曲がいいかな」という話もそのときにしました。「Ring the Bell」は、モノノフの方に「ももクロの曲を結婚式に使ったよ」ってよく言われるけど、ももクロにはストレートなウエディングソングってないから、せっかくなので「ももたまい婚」で作っちゃおうって。

玉井　もう1つそれとは違う方向の、「青春アミーゴ」（KAT-TUNの亀梨和也とNEWSのメンバーだった山下智久が「修二と彰」名義で2005年に発表したシングル）みたいなカッコよくてガッツリ踊れる曲が欲しいねって。それが「夜更けのアモーレ」になりました。

──当日発表された2つの新曲は、どちらもお二人の意見を元に作られたんですね。

玉井　「夜更けのアモーレ」は川上さんの意見もあったんですけどね。前に「フォーク村」（ももクロとTHE ALFEEの坂崎幸之助によるフジテレビNEXTのレギュラー番組「坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT」）で2人で「青春アミーゴ」を歌ったことがあって、「2人でこういう曲を歌うのもいいかもね」って言われていたんです。

2人で1つのベッドに

──それにしても、お二人は今でも家に泊まりあったりするような距離感なんですね。そもそもお二人はなぜこんなに仲良くなったんですか？

百田　やっぱり最初は玉さんが1人で眠れなかったからですよ。

玉井　全国を車で回っているとき、車中泊も多かったんですけど、ホテルに泊まるときにはいつもこの2人が相部屋だったんです。部屋を決めたのはマネージャーさんなので、なんでこの2人だったのかはわからないですけど。それで2人一緒なことが多かったから、たまに1人部屋になったときも、寂しいから「あ、かなこだ」って。車の座る場所も隣で……高城も隣なんですけど（笑）。れにちゃん、私、かなこの並びで。

百田　それは今も一緒です。

玉井　そう。でもれにちゃんはいつも、ずっと寝てるんですよ（笑）。それでたぶん、かなこと話すことが多かったんじゃないかな。だから1人部屋になったときは自然とかなこのところに行く、という流れができてしまって（笑）。

──その関係が今も続いてるって素敵ですよね。関係性にヒビが入りそうになったことはないですか？

玉井　ヒビかあ……ないですね。

百田　ない。

玉井　でも私は、1人で眠れない自分に嫌気がさしてたんですよ、ずっと。かなこと寝たいから行ってたわけじゃなくて（笑）、「1人じゃ眠れないから、ホント無理だから一緒にいて」っていう。かなこが1人でいるのが好きなのも知ってたし、迷惑かけてる自覚はあったんです。かなこから迷惑だとは言ってこないですよ？ 優しいから言わないんですけど、ずっと悪いなと思ってたので、徐々に徐々に1人部屋で寝られるよう移行しました。

──具体的にはいつ頃から1人で眠れるようになったんですか？

百田　ドームぐらいじゃない？

玉井　嘘でしょ！

百田　西武ドームぐらいの頃（2012年8月に開催された埼玉・西武ドーム公演「ももクロサマーダイブ2012」）。

玉井　そっちか。ドームツアーかと思った。それだと去年じゃん（笑）。