ももいろクローバーZ|ももクロ×セーラー5戦士が夢の共演 4人の成長にリンクする曲とストーリー

ももいろクローバーZが劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」の主題歌「月色Chainon」を1月13日にCDリリースした。

劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」は現在前編が劇場公開されており、2月11日に後編が公開予定の「美少女戦士セーラームーン」約25年ぶりの劇場版。本作では「美少女戦士セーラームーン」の第4部である「デッド・ムーン編」が描かれる。ももクロは2014年配信の第1期のオープニング主題歌「MOON PRIDE」から同作に参加しており、「月色Chainon」ではセーラー5戦士と一緒に歌唱。キャラクターたちの成長とリンクするように、7年前とは違った大人の力強さを表現している。

音楽ナタリーではももクロの4人にインタビューし、映画や「月色Chainon」の印象を聞いたほか、スーパーセーラームーン/月野うさぎを演じる三石琴乃から預かった3つの質問に答えてもらった。また特集の最後には三石による楽曲やももクロに対するコメントも掲載する。

取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 斎藤大嗣

ももクロとセーラー5戦士がリンクする

──新曲「月色Chainon」は劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」の主題歌ですが、セーラー5戦士と共演していることも含めて2014年発表の「MOON PRIDE」とはまた違ったタイプの楽曲になっています。

高城れに 「MOON PRIDE」がガンガン攻める感じのリズムやテンポだったのに対して、「月色Chainon」は曲調が少ししっとりしていたり、歌詞に難しい言葉がいっぱい詰まっていたり、全体的に大人っぽい雰囲気になっていて。それと同時にイントロが始まった瞬間にオープニング感があるというか、物語が始まるような空気感もあって、切なさの中にある前向きな部分や弱さの中にある強さなど、成長したセーラー戦士を今までの私たちとは違う表現の仕方で表していると思います。

百田夏菜子 ライブの雰囲気を変えるような1曲だよね。

──「MOON PRIDE」と「月色Chainon」の間にある変化は、メンバー自身の成長と重なる部分もあるんじゃないですか?

高城 そうですね。映画も観させていただいたんですけど、セーラー5戦士と自分たちがリンクするように感じる部分もあって。私たちは歌やダンス、衣装で成長した姿を見せているし、今の自分たちだからこそできる表現があると思っています。

佐々木彩夏

佐々木彩夏 セーラームーンの月野うさぎちゃんは永遠の中学生というか、キャピキャピしてかわいくておっちょこちょいの女の子というイメージだったので、映画を観て「うさぎちゃんも大人になるんだ」と成長を感じました。「MOON PRIDE」は「倒すぞ!」と前のめりになるような曲だったし、楽曲を比べても月日の経過を感じますね。私たちももクロについても、こういう大人っぽい曲を歌えるようになったんだなって改めて思います。

──「MOON PRIDE」が発表された頃、あーりんはまだ10代でしたもんね。

佐々木 18歳の高校生だったかな。もう7年近く経ったんだという感覚ですね。「MOON PRIDE」は盛り上がる曲なのもあり、今もよくライブで歌わせていただいていて。か弱いところもあるけど女の子だからこその強さもある、という曲のテーマは女の人みんなが共感できるところだと思うので、年齢関係なくいつでも違和感なく歌えてきました。

百田 一方、「月色Chainon」は7年前の自分だったら歌えてなかったと思っていて。「MOON PRIDE」のときもですが、すごくいいタイミングで「美少女戦士セーラームーン」のお仕事に参加させていただいていると感じています。アニメの内容、歌詞で歌っていること、私たちの戦い方や仕事への挑み方が、7年前も今もすごくマッチしているんですよ。「月色Chainon」はももクロにとって新しい挑戦になった曲で、歌い方をつかむのが難しいなと感じていたんですが、背伸びをせずに等身大で歌えているという感覚もあって。セーラー5戦士の声と合わさった曲や衣装、振り付けができあがってから映画を観たときに、こうなることが予め決まっていたかのようにすべてが素敵に合わさっていて感動しました。

最後の最後に一番聞きたい言葉を聞ける

玉井詩織 私は最初に「月色Chainon」の音源をいただいたとき、新しいタイプの曲を歌えるというワクワク感がありました。確かに難しい曲ではあるんですけど、作曲の小坂明子さんがレコーディングで直接ディレクションしてくださって、新しい歌い方を引き出してもらえたと思います。完成した音源を聴いたときは、セーラー5戦士の声が自分たちの声と重なっているのがなんとも言えない感覚で。

玉井詩織

──歌うのが難しかったのというのは、具体的にどういうところですか?

玉井 今回の曲は悲しみを受け入れて前に進んでいくという内容の歌詞で、Aメロではわりとしっかりリズムが刻まれていて、女性らしさの中でも強い面が表現されているんですけど、切なさがありつつも前に進む強さを表現するのが難しかったですね。そのあとのBメロが急にゆったりした曲調になるので、その緩急も難しくて。でも小坂さんが実際に歌いながら教えてくださったのですごくわかりやすくて、しっかり曲を解釈することができました。

──小坂さんは過去にも「月虹」や「一粒の笑顔で…」といったももクロの楽曲を作っていますが、本人からがっつりディレクションを受けるのは初めてだったんですか?

玉井 がっつりは初めてでしたね。いつものレコーディングとは違った緊張感もありつつ、女性同士だからこそ通じ合える部分もありました。「月色Chainon」はワードのチョイスやサビの言葉のはめ方も独特なので、そういう意味でも歌うのが難しかったんです。

──「月色Chainon」では「美少女戦士セーラームーン」の原作者・武内直子さんが白薔薇sumire名義で作詞を手がけています。過去の楽曲同様に詩的なワードが詰まっていて、今回もその独特な世界観は健在ですね。一見歌うのが難しそうにも感じました。

高城 日本語とフランス語が混ざってるのに違和感がないのがすごいと思います。ワードのチョイスが素敵で、曲の雰囲気とかいろんな要素が重なって、1つにまとまっているんじゃないかな。

玉井 単語1つひとつを見ると初めて聞くような言葉がたくさんあるんですけど、曲と合わさると不思議と世界が広がって情景が浮かんでくるんです。言葉が難しくても、武内先生が物語を描いている方だから、想像力を掻き立てられるストーリー性が生まれているんだと思います。作品の世界観は崩さず、聴く人が自分と重ね合わせて共感できる歌詞になっているのが素敵で、聴けば聴くほど「これはこういう意味なのかな」といろいろ想像したくなります。

佐々木 難しい言葉が並んでいるからこそ、「離さないで」「愛しい人」とか、シンプルな愛のメッセージが引き立ってるよね。

百田 「MOON PRIDE」は歌い出しから曲のタイトルが出てくるんですけど、今回「月色Chainon」という言葉は曲の最後にしか出てこないんですよ。最後の最後に一番聞きたい言葉を聞けるというか、ここに持っていくためのドラマがすごいなと感じました。曲を通していろんな感情の緩急がある中、「月の色は Chainon」と歌うことですべてが解決しちゃうみたいな。