アイドル戦国時代を一緒に過ごした同級生
──この10年間を振り返ってみると、「アイドル戦国時代」と言われた2010年頃のアイドルシーンには異様な熱量と盛り上がりがあって、ももクロはその中心にいたように思います。今、その時代を振り返ってみて思うところはありますか?
高城 「アイドル戦国時代」と言われてましたが、私たちはもともとアイドルさんが好きだったし、ほかのグループに対するバチバチした気持ちは全然なくて。当時はアイドルのフェスやイベントにたくさん出させていただきましたが、「あ、スマイレージ(現:アンジュルム)さんと一緒だ!」とか思ってテンションが上がってました。
玉井 あのときは定期的にほかのグループと一緒にライブをやっていて、楽しかったですね。当時一緒にライブをやっていた子たちの姿をテレビで見かけたり、曲を聴いたりすると「あのとき一緒にがんばったなあ」っていう同志に対する思いのようなものが湧いてきます。
佐々木 当時、私たちは(東京)女子流ちゃんと一緒にライブをやることが多くて、去年は「バカ騒ぎ」(「ももクロ 夏のバカ騒ぎ 2017 - FIVE THE COLOR Road to 2020- 味の素スタジアム大会」)での外のステージ「SIF」に出てくれて。最近は頻繁には会わないけど、お互いに仲間という意識があるんじゃないかな。
──当時一緒にアイドルシーンを盛り上げたアンジュルムには4月にグループからの卒業を発表し、百田さんと同い年の和田彩花さんがいますが、やはり仲間という意識が強いですか?
百田 はい。あやちょ(和田)は同い年なうえ、どちらもグループのリーダーで。昔は顔が似てるって周りの人から言われるのがうれしかったですし、スマイレージ時代からずっと大好きで。今でもアンジュルムさんの映像を観て、「私もがんばろう」と思いますね。私は事務所に同期があまりいないので、あやちょたちが同期のような存在です。この間対談する機会があったんですけど、向こうも同じように思ってくれていて、あの時代のことを楽しかった思い出として振り返るんですよ。みんなにとって大切な時代だったなと感じるし、学生時代を一緒に過ごしたような感覚です。
玉井 確かに同級生って感じだよね。
ももクロの曲っていい曲ばっかり
──ここからは5月23日発売のベストアルバム「桃も十、番茶も出花」について伺います。ももクロにとって初めてのベスト盤であるこのアルバムではシングル曲を中心に、10年の間に発表された代表曲をまとめて聴くことができます。
玉井 最近、私たちは年に1回くらいしかシングルを出していなくて。10周年を迎えるよりもっと早い段階でベスト盤を作るアーティストさんもいると思うんですよ。もしかしたら、ももクロは10周年を迎えるまであえてベスト盤を発売しなかったのかもしれないですけど、デビューからの10年の流れがわかるようになっていてすごくいいアルバムだと思います。私たちも聴いていて楽しいし、この10年間を思い返せますね。
百田 東京ドーム公演の初日にはメドレーを披露するんですけど(※取材は東京ドーム公演前に実施)、レッスンでそのメドレーの音源を聴いて「ももクロの曲っていい曲ばっかりだね」ってみんなで話してたんですよ。
高城 「これ、CDで欲しいね」って(笑)。
百田 ももクロにはロックサウンドの激しい曲からゆったりとしたバラード、ポップで王道なアイドルソングまでホントにいろんなジャンルの曲があって。年代によって曲の雰囲気が変わるのも面白いです。
──最初のシングル曲「ももいろパンチ」では“和”をモチーフにしていましたが、メジャーデビュー曲「行くぜっ!怪盗少女」以降はなんでもありの音楽性がももクロの大きな特徴の1つになったと思います。10年間で特に印象に残っている作品はありますか?
高城 一番衝撃的だったのは「5TH DIMENSION」(2013年4月10日発売の2ndアルバム)。衣装が第1形態、第2形態、第3形態とあって、顔がマスクで隠れてるっていう。
佐々木 ジャケ写が衝撃的だったよね。「これ、私たちである必要あるの?」って(笑)。
高城 雑誌で表紙を飾らせていただいたときも顔が隠れてて。髪の毛しか見えないのに、撮影のときはちゃんとメイクをしてからマスクをかぶったんですよ(笑)。でも、おかげでずっと印象に残るアルバムになったと思います。
佐々木 曲を聴くと普通にカッコいいんだよね。「GOUNN」(2013年11月6日発売のシングル)も衝撃的な衣装だったけど、すごくいい曲だし。衣装に楽曲のイメージが引っ張られがちだよね(笑)。
百田 ほとんどが着たままだと細い道を通れない衣装なんですよ。
玉井 あまり知られてないけど、「GOUNN」の衣装の頭のうしろに付いてる円盤は軽いのと重いの、2種類があるんだよね。
高城 踊るとき用とメディアに出るとき用と(笑)。
佐々木 メディア用は重いんですよ、首が縮んじゃうんじゃないかってくらい。
玉井 これじゃ踊れないって話して、軽いのも作ってもらったんです。
佐々木 当時はそういうことに気を取られてて冷静に曲を聴けてなかったけど、今ベスト盤で聴くと「GOUNN」もメッセージ性のあるいい曲だったんだなって思います。
玉井 でもベスト盤の衣装も背中に大きな羽根が付いてるから、着てるとまともには歩けなくて。ももクロは変わらないなと思いました(笑)。
こんなかわいい格好していいの!?
──ベスト盤にはこれまでの代表曲に加え、C&KのCLIEVYさんが手かげた新曲「クローバーとダイヤモンド」が収録されています。アコースティックなサウンドで始まる温かいナンバーに仕上がっていますが、最初に聴いたときはどのような印象を持ちました?
佐々木 スタッフさんから「10周年の曲ができたよ」と言われて聴いたときに、「え、こんな感じの曲なんだ!?」と驚きました。
高城 意外だったよね。
──どういう曲を予想していたんですか?
佐々木 ワイワイした曲を予想していたので、イントロを聴いた時点でびっくりしました。でも、後半で楽しく盛り上がる構成の曲で、「やっぱりももクロだな」と思って。しんみりした空気の10周年にはしたくなかったので、私たちらしく10周年を祝った曲になっているんじゃないかな。
高城 10周年の曲だけど、曲の中で特にそのことについて歌っているわけではなくて。10周年ということを主張しすぎず胸にグッと来る歌詞になっていて、私たちに寄り添ってきてくれたモノノフさんに共感してもらえる曲だと思います。
玉井 ミュージックビデオでは前半は真っ白な衣装を着ていて、「こんなかわいい格好していいの!?」と思いました。
高城 「髪も巻いていいの!?」って。
玉井 今まではももクロ=子供というイメージがあったかもしれないけど、10周年を迎えて大人になった私たちも見せられたらいいなと思いました。
百田 今までホントにいろんなジャンルの曲を歌ってきたのに、まだ歌ったことのないタイプの曲ができあがってきて。歌う私たちが大人になるにつれて曲の雰囲気も変わっていくと思うし、これからどんなふうに曲が成長していくのか楽しみですね。
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ホントにももクロを好きな人たちが選んでくれた