ももクロさんはもはやアスリートですよ
──アスリートからすると「夏のバカ騒ぎ」はどういう位置付けのイベントだったんでしょう?
森脇 競技と運動会の間とも捉えられるし、お祭りらしさもある。アスリートに新しい空間を提供していただいた感じがしますね。走りながら、大画面を観たときに自分が映っていて「ウソやろ?」って思いましたし。
高城 えー、そういう気持ちだったんですか?
森脇 うん。スクリーンを観たら自分が走っていて、ももクロはステージで歌ってるし、ファンの方々はランナーにも声援を送っているし。たまに自分が映ったときに、タレントの僕でも「おおっ」って思うんだから一般のランナーの方なんかはさらに不思議なテンションになったんじゃないですかね。
──初日の聖火ランナーとして走った吉田沙保里選手も、「こんな空間で走ったことがない。気持ちいい」とおっしゃってましたし、アスリートにとって初めての体験の場になったってことですよね。
森脇 「夏のバカ騒ぎ」は3回目でしたっけ? すごいことをやりはるなあと思っとったんですよ、当時から。
百田 2013年の日産スタジアム(※「ももいろクローバーZ ももクロ夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE 2013 8.4 日産スタジアム大会」)では「グラウンド(芝生)にはステージを建てられない」っていう事情があったんですけど、その会場でライブをしたかったので「せっかくならライブ中にグランドを使ってサッカーをやっちゃおう」ってなって。それが「アイドルとスポーツの融合」のきっかけで、当時はサッカーの北澤(豪)さんとかが出てくださったんです。
森脇 おお、元日本代表。
百田 はい。そのときに「もしかしたら私たちのライブとスポーツで通ずるものがあるのかもしれない」って手応えを感じて。ファンも喜んでくれたし、私たちも普段踊ったり体を動かしたりとかするので、もしかしたらアイドルとスポーツ選手で共通する部分、つながれる部分があるんじゃないかなと思っていたんです。今回はその2つがガッチリと融合したライブができたので、「ああ、つながったなあ」って。
森脇 アイドルって言いますけど、ももクロさんはもはやアスリートですよね。そやないとあんなに何十曲も歌ったり踊ったりできひんて。しかもあんな暑いところで。あれはアスリートやで、ホンマに!
百田・高城 (笑)。
森脇 そら5曲くらいのミニライブなら全力疾走できるのもわかるのよ。けどね、あんな広い会場で長時間、最後まで全力で。リハもあれば演出もいろいろあるし、歌だって覚えなきゃあかんし。
高城 そうですね。
百田 あ! 歌を覚えると言えばれにちゃんが……。
森脇 何かあったの?
百田 れにちゃんが最近すごく歌詞への不安を抱えていて。
高城 1回ライブで歌詞をド忘れしちゃってからトラウマになっちゃったんです。「自分の次の歌詞なんだっけ?」って考えるようになりだしたら安心できなくなっちゃって。
百田 大きい会場でのライブになると走り回ったりするので、「あれ、歌うところどこだ?」ってなりやすくてね。
高城 「あーなんだっけ、なんだっけ」って考え出したらずっと歌詞が出てこなくなりそうで怖いんですよ。
森脇 それがトラウマになってるの?
高城 ここ1年くらい解決できてないんです(笑)。
森脇 それこそ長いこと芸能界におったらいろんなことがあるじゃないですか。今は歌詞を忘れないようにすることが1つの課題で、それを乗り越えたときにレベルアップするわけで。壁にぶつかるのは当然のことで、いいことやと思いますよ。
高城 そうなんですかねえ……。
森脇 んなもん、壁だらけやがな。僕も(笑)。
百田 ふふふ(笑)。
森脇 だから僕は陸上競技で言うたら、日々練習ですよ。努力は裏切らないし、流した汗は裏切らない。走り込んだ距離も自分を裏切らない。
高城 ああ確かに。大きいライブがあるとその日のためにコンディションとか自分の体調とかを整えたり気を張ったりしますね。
森脇 自分の場合、「オールスター感謝祭」のときやったら、当日の朝なんてうれしくてしょうがないもん。「もう今日でこのキツい練習から解放される!」って。酒も食事も制限してるから、本番の走る直前はうれしくてうれしくて。
百田 走る前からうれしいんですか?
森脇 うれしいな。「今日で終わる」って思うと気分が高まっていく。
百田 そうなんですね! 当日が一番テンションが上がっているってことですか?
森脇 だってあとは走ったら終わりやもん。
高城 私たちのライブに出たあと、何かしましたか?
森脇 酒飲みまくったね。
百田 あはは(笑)。
年齢を言い訳にしないために
高城 自分の中で何歳まで走り続けたいみたいな目標はありますか?
森脇 それはももクロさんも答えは一緒やろ?
百田・高城 体が持つまで。
森脇 そうそう。「もう終わりです、止めてください」ってなったらあかんでしょうね。
百田 私たちの場合、れにちゃんが“一生ももクロ宣言”をしているんです。例えほかのメンバーが全員辞めて1人になっても私はももクロでいるっていう。れにちゃんが最年長として心強いことを言ってくれているので……。
森脇 れにちゃんはそういう覚悟を持ってると。
百田 「ダンスっていつ踊れなくなるのかな」とか、いろいろな不安をたまにポロポロとみんなで話すことがあるんです。だけど「最年長が踊れているうちはうちらも踊れるよね」って、れにちゃんを基準にしている部分もあって。れにちゃんが「一生ももクロでいる」って言ってくれてるから、みんないつ辞めてもいいのかななんて(笑)。
高城 おい!(笑)それはダメだろ!
森脇 自分の場合、週5ペースで練習入れてるから思えることなんだけど、ダンスだって続けていればずーっとイケるはずよ?
高城 森脇さんがおっしゃると説得力がありますね。
森脇 「オールスター感謝祭」の「赤坂5丁目ミニマラソン」で去年は春と秋に走ったけど、どっちもタイム変わらへんもん。もっと言うたら3年前より今のほうが速いねん。
百田 すごい……。
森脇 年齢のせいにしたらあかんねん。
高城 そうですよね。
森脇 みんな言うねん。「自分はもうおじさんだからとかおばさんだから」って。でもそれは逃げてる証拠やねん。
高城 前に向かって突き進むんですね。
百田 カッコいい!
森脇 だって三浦カズ(三浦知良)さんでも俺と同い年で現役サッカー選手やで。それも客寄せパンダではなくて、ちゃんと試合に出て、点を決めてるやんか。少年隊の東山(紀之)さんも同い年なんだけど、めっちゃカッコええやん。しかも最近じゃキャスターに初挑戦するとか、新しいこともやってるやん。そういう人から学ぶことは多い。絶対にあきらめたらあかんし、年齢のせいにしたらアウト。
高城 気を付けないと……。
森脇 その代わり、日々の積み重ねを怠ったらあかんで。
百田 それをしなかったら年齢に負けちゃいますよね。
パラスポーツをより多くの人に観てもらいたい
──「夏のバカ騒ぎ」では、ハーフマラソンに81歳の中野陽子選手と、68歳の保坂好久選手といったシニアランナーも出場していました。
高城 走っている姿を観て、力をもらいました。
森脇 強いよ、ホンマに。気持ちが前を向いてるから。
──ももクロファンの年齢層は、森脇さんがおっしゃったように親子連れがいるくらいで幅広いんですよね。
高城 「夏のバカ騒ぎ」以外だと、ファンクラブ限定イベントで88歳の女性ファンの方がライブを観に来てくださったんですよ。
森脇 それはすごいね。
百田 孫に連れてこられたんじゃなくて、自分でグッズを身に着けて来てくださったんですって。すごくうれしくて。「over.40祭り」って言う40歳以上限定のライブを開催したり、ほかにも小さい子を集めた「子供祭り」とか、女子だけとか男子だけとか特別感のあるライブをやらせていただいてるんです。年代ごとに雰囲気が全然違って、40歳以上の方が集まると声援の貫禄がすごい(笑)。
森脇 ははは(笑)。
百田 人生を長らく歩んできた人たちの熱量がすさまじくて。1日2回公演で「over.40祭り」の前の時間が「学生祭り」だったんですけど、やっぱり「over.40祭り」に比べたら、雰囲気的にちょっと浮かれてるんですよ(笑)。
高城 なんか声が高いんだよね(笑)。
百田 浮かれた感じと若いノリっていうのは、ほかのライブでも感じますけど、「over.40祭り」の貫禄はなかなか味わえないです。
森脇 チケットを買って、電車に乗ってやってくる40歳以上の方々の気持ちが注ぎ込まれてるっていうね。
百田 「学生祭り」のあとに「over.40祭り」をやったので、学生たちが帰り際の駅で、40歳以上のファンとすれ違うんですよ。バトンタッチじゃないけど、40歳以上の人たちが若者とすれ違いながら「次は俺ら、行ってきます」みたいなムードになる光景が浮かんで。
森脇 若者からしたら「おじさんたち、行ってらっしゃい」だ。
百田 そうですね。実際に見たわけじゃないんですけど、想像するだけでなんか面白いなあって。
──「夏のバカ騒ぎ」に話を戻しますと、2日間ではシニア層のほか、パラスポーツもフィーチャーされていて、今回のライブ映像には“義足のジャンパー”鈴木徹選手(※「世界パラ陸上選手権大会ロンドン2017」男子走り高跳びで銅メダルを獲得)が走り高跳びを成功させたシーンも収録されています。鈴木選手は「生のジャンプを多くの人に観てもらいたい」とおっしゃっていましたね。
百田 私はイベントの前にパラ選手に取材をさせていただいて、鈴木選手にもいろいろ話を伺いました。「踏み込んでる足は義足じゃないから普通の人と変わらないんだよ」って教えてくれたり、「ああ、そうだったんだ!」って初めて知ることがたくさんありました。正直な話、「夏のバカ騒ぎ」でご一緒させていただく前はパラ競技に関する知識があまりなかったんです。だけどお話を聞くと私が思っている以上に皆さんとても気持ちが強くて、前向きで、カッコよくて。私も生で観させていただいて、「もっとたくさんの人に観てもらいたい」と心から思いました。
高城 ステージ上からドキドキワクワクしながら観てたよね。
百田 ね。ジャンプに成功した瞬間は自分のことのようにうれしかったです。あの瞬間、私たちはステージにいたことを忘れて、お客さんと一緒に観戦している人になってましたね。純粋に感動しました。
高城 あのときは会場にいた人、みんなが「がんばれー!」って気持ちだったと思うんですよ。アスリートの皆さんはあの場にいる何万人もの人を夢中にさせてくれて。
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森脇健児、ガチトークを仕掛ける
- ももいろクローバーZ「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017 -FIVE THE COLOR Road to 2020- 味の素スタジアム大会」
- 2018年1月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
-
[Blu-ray Disc 4枚組]
12744円 / KIXM-308~11 -
[DVD 6枚組]
10584円 / KIBM-698~703
- 8月5日公演
-
SE. overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
- Survival of the Fittest -interlude- ~ BLAST!
- サラバ、愛しき悲しみたちよ
- 上球物語 -Carpe diem-
- DECORATION
- 境界のペンデュラム
- 労働讃歌
- 何時だって挑戦者
- PUSH
- ココ☆ナツ LIVE ver.
- 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
- 全力少女
- JUMP!!!!! LIVE ver. with 関東学院中学校高等学校マーチングバンド
- オレンジノート
- ゴリラパンチ
- もっ黒ニナル果て
- 桃源郷
- BIONIC CHERRY
- 行くぜっ!怪盗少女
- 走れ!
- 桃色空
- Hanabi
- ワニとシャンプー
- 希望の向こうへ
アンコール
- コノウタ
- バンド紹介(Link Link)
- HAPPY Re:BIRTHDAY
- 8月6日公演
-
SE. overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
- 境界のペンデュラム
- 天手力男
- ゴリラパンチ
- CONTRADICTION
- Survival of the Fittest -interlude- ~ BLAST!
- ザ・ゴールデン・ヒストリー
- ココ☆ナツ LIVE ver.
- 黒い週末
- 何時だって挑戦者
- PUSH
- Chai Maxx
- JUMP!!!!! LIVE ver. with 関東学院中学校高等学校マーチングバンド
- D'の純情
- ワニとシャンプー
- もっ黒ニナル果て
- 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
- キミノアト
- 行くぜっ!怪盗少女
- 走れ!
- 桃色空
- 青春賦
- MOON PRIDE
- 白金の夜明け
アンコール
- ツヨクツヨク
- バンド紹介(Link Link)
- あの空へ向かって
- ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)
- 百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年にももいろクローバー名義で結成し、2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。2011年4月に早見あかりがグループを脱退したあと、グループ名をももいろクローバーZへと改名。2012年にグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」に初出場し、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2015年に青春群像小説「幕が上がる」の映画版および舞台版で主演を担当。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリースし、同月より初のドームツアーを開催した。2017年4月に自身初の47都道府県ツアー「青春」をスタートさせた。8月にはシングル「BLAST!」をリリースし、“ももクロとスポーツの融合”をテーマにしたライブイベント「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017 -FIVE THE COLOR Road to 2020- 味の素スタジアム大会」を東京・味の素スタジアムで行った。11月に「MTV Unplugged」に女性アイドルとして初出演。12月には恒例となっているライブイベント「ももいろクリスマス」「ゆく桃くる桃」を開催し、2018年1月に「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」ライブ映像作品をリリースした。
- 森脇健児(モリワキケンジ)
- 1967年生まれ。大阪府出身京都在住。18歳のときに芸能界での活動をスタートさせた。中学時代から陸上競技を続けており、現在も走ることが自身のライフワークとなっている。月間250km超の距離を走るトレーニングを積み、各地のマラソン大会などに出場。毎年、春と秋に放送されるTBS系「オールスター感謝祭」のミニマラソンにおいて力走を見せている。大のラジオ好きで、自身もKBS京都「森脇健児のサタデーミーティング」などの冠番組を複数持っている。