ドラム、ギター、タップ……ソロへの挑戦

──では先ほど話に挙がったツアーの目玉の1つ、ソロコーナーについてそれぞれ振り返ってもらいましょう。有安さんのドラムプレイは、レポート記事（参照：ももクロドームツアー完遂、玉井詩織は加山雄三から“若大将”襲名）の写真もとりわけインパクトがありましたね。

有安　ドラムは2年くらい前、「ももクロChan」（テレビ朝日、テレ朝チャンネルで展開されているレギュラー番組）のDVDが出るときに特典映像のチャレンジ企画で挑戦したんですけど、まさかドームで叩くことになるなんて。ただ叩くだけでも大変なのに、歌も歌うからすごく難しかったです。あと、ソロが回ってくる順番が最後ということもあって……今回のツアーは前半でアルバムの世界観をしっかり伝えて、後半はいつものももクロ全開のライブだったから、ほかの4人は前半のパートが終わったらひと安心できるんですけど、私はまだドラムが残ってるから1人だけリラックスできない（笑）。でも、すっごく楽かったです。自分からやりたいと言い出して始めたことだったから。

高城　8年付き合ってきた中で一番生き生きしてましたよ（笑）。

有安　うそー！

──そしてエレキギターを選んだ佐々木さんは、その後のソロ公演でもギターを弾いていましたね（参照：あーりんソロコンで横アリが一面ピンクに！78回あーりん連呼の新曲も）。

佐々木　私は今まで楽器をちゃんと習ったことがなくて。スタンドマイクで歌うこととか、私が間違ってもどんどん進んでっちゃう感じとか（笑）、いろいろと新鮮でした。

──ドームのド真ん中でチョーキングするのはどんな気分なんですか？

佐々木　みんなが「フー！」って言ってくれるのはめちゃめちゃ気持ちよかったです。ギターの演奏よりも、弾いたあとの「どう？」って顔してるときの反響のほうが大きい（笑）。

百田　あはは（笑）。さすが。

──ギターは今後も続けていきますか？

佐々木　そうですね。私は見た目から入るタイプだから「ギターを持ってる女の子ってかわいいな」というところからの意欲なんですけど（笑）、ギターを弾くのは楽しいし、気持ちいいし、バンドさんとのコミュニケーションが増えたのもうれしかったんですよね。機会があれば続けていきます！

──高城さんは楽器ではなく、タップダンスでした。

高城　タップダンスは昔やってたんですけど、ひさしぶりだから体がすっかり忘れてしまっていて。もちろん、あんな何万人も前にしてタップをやったことはなかったから、ステージに上がると思った以上に緊張するんですよ。

──数万人が見ている前で、鳴っているのが自分の足音だけって、想像するだけですごい緊張感ですね。

高城　ド忘れしてステップを止めたら、無になるんですよ！ すごく怖かった。ツアーの最初の頃は顔がこわばっていたり、目が泳いじゃったりしてましたね。でもだんだんと、ステップを踏んで音が鳴ることに慣れてきた。回を重ねるごとに緊張も取れてきたし、また別のいい意味での緊張感を持つようになってきて。タップはちょうど10年ぶりだったんですけど、自分の人生を振り返る意味でもよかったし、また機会があれば……今度はもっと尺を伸ばしてやってみたいです。

しなやかなももクロ

──百田さんはフラフープを使ったダンスですね。

百田　フープダンスという、これまで知らなかった新しいジャンルに挑戦させてもらいました。新体操のフラフープは触ったことがあったんですけど、「フープダンスってなんだろう？」というところから始まって。最初に映像を観させてもらったんですけど、なんというか、女性の美しさが表現されるダンスだなと思って……それ、私で大丈夫なのかなとちょっと心配になりました（笑）。しなやかさとか今までのももクロでは求められていなかったから、どういうポーズだと体のラインがきれいに見えるのか、とか1つひとつ研究しながら進めました。

──百田さんは小さな頃から新体操をやっていたし、身体能力が高い人という印象だったので、難なくこなしているようにも見えましたが、今まで経験してきたものとは勝手が違った？

百田　はい。フープは失敗すると目立つというか、失敗すれば明らかに失敗なんです。落ちちゃうし、飛んでっちゃうし。それに今回は吹っ飛ばしちゃうと、フープがお客さんのところに飛んでいっちゃうんで。それでレッスン中は恐る恐るになってたんですけど、練習を重ねているうちに、フープダンスは「AMARANTHUS」と「白金の夜明け」の世界観にすごく合うなあと気が付いて、だんだん楽しくなってきました。

──そして玉井さんはグランドピアノでした。

玉井　小さい頃ずっとピアノを習っていたのに、ももクロに入ったタイミングで辞めちゃったんですよ。家にもピアノがあるのに全然触ってなくて、たまーに思い立って弾いてみても、全然弾けなくなっちゃってたんです。10年間やってたのにもったいないなあという気持ちもあったし、どこかで10年を取り戻せたらいいなあと思っていたので、今回ソロコーナーがあると言われたときに、じゃあ私はピアノだなって。ただ、私がやってたのはクラシックピアノだったので、歌の伴奏となると全然違うんです。しかもワンコーラスは私の伴奏だけで歌うという責任重大な流れだったので、私が失敗したら歌も止まっちゃう。メンバーには「もし止まっても続けて歌ってね」と伝えてはいたんですけど。

──もともと経験があったとはいえ、すごく立派な演奏だと思いましたよ。「青春賦」（2015年3月発売のシングル。アルバム「AMARANTHUS」に収録）の、あのおしゃれで複雑なコードを。

玉井　そうなんですよ！ すごく難しいんです。ピアノを弾くと決めたけど、あの2枚のアルバムからどの曲を演奏するのか、選曲が難しくて。新曲からだと「希望の向こうへ」（「白金の夜明け」収録曲）がピアノに合うけど、あれはれにちゃんをフィーチャーした曲なので。どうしようかなと思っているときに誰かが「『青春賦』弾けたらカッコよくない？」って言ったんです。私もカッコいいと思ったんですけど、作曲してくれたしほりさんが前に番組で一緒に演奏してくれたときに「『青春賦』は難しい」っておっしゃってたのを覚えてたから「大丈夫かなあ」って。多少簡単にはしましたけど、ほぼほぼオリジナル通りで。でも今回演奏した「青春賦」と「MOON PRIDE」（2014年7月発売のシングル。アルバム「白金の夜明け」に収録）はどっちも今まで歌っていた曲だったので、ツアーで新しく生まれ変わった2曲が披露できたのはよかったなと思います。