音楽ナタリー Power Push - ももいろクローバーZ「AMARANTHUS」「白金の夜明け」完成記念座談会

チームももクロの一翼を担う作家陣が集結

ももいろクローバーZが3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリースした。これを記念して音楽ナタリーでは2回に分けた特集を展開中。第1弾のメンバーインタビューに続き、第2弾では作家陣による座談会を実施した。

今回集まったのは作詞家の只野菜摘、岩里祐穂、前田たかひろ、作曲を手がけたNARASAKI(特撮、COALTAR OF THE DEEPERS)、横山克、AKIRASTAR、さらにEVIL LINE RECORDSの宮本純乃介(音楽プロデューサー / ディレクター)の7名。彼らにももクロの印象や新作で携わった楽曲にまつわるエピソード、さらにはももクロの未来像などを語らってもらった。新作のサブテキストとして、第1弾のメンバーインタビューと合わせて楽しんでもらいたい。

取材 / 臼杵成晃 文 / 田中和宏 撮影 / 西槇太一

アルバムが完成して

──今日は普段なかなか公の場で話し合う機会がないであろう作家の皆さまに座談会を行っていただくことになりました。まずはディレクターの宮本純乃介さんからご挨拶をお願いします。

宮本純乃介 おかげさまで無事にアルバムが完成しまして、皆さまには大変お世話になりました。2月20日からは新作を携えてドームツアーを行います。千秋楽は4月2、3日に埼玉の西武プリンスドームで開催となりますので、ぜひ観に来てください。

NARASAKI 4月3日は俺の誕生日だ! 楽しみにしてるよ。

宮本 え、そうなの? よろしくお願いします。

NARASAKI 無事に完成してよかったね、宮本くんは本当にがんばったよ。

只野菜摘 年末に会ったときは魂が抜けてたものね。

宮本 今回は2枚同時リリースということもあって特に大変でしたけど、いいものができたので多くの人の耳に届けばと思ってます。

ももクロを彩る作家陣

──皆さんの中にはももクロ作品だけでなく、それ以外のアーティストの作品で接点のある間柄の人もいらっしゃいますよね。それぞれのつながりや、ももクロとどのタイミングで関わるようになったかをお伺いできたらと思います。

岩里祐穂 AKIRASTARさんとはBuono!の曲でもつながりがあるんですけど、お会いするのは今日が初めてですね。

AKIRASTAR

AKIRASTAR はじめまして! お世話になっております。岩里さんもそうですし、只野さんとも以前「仮想ディストピア」「BIONIC CHERRY」でご一緒させていただきました。

──ももクロに初めて楽曲提供した際はどういうイメージで作曲したんですか?

AKIRASTAR 「キミとセカイ」(2010年11月発売の2ndシングル「ピンキージョーンズ」収録曲)が最初のももクロ仕事で、当時は「ももいろパンチ」(2009年8月発売のインディーズデビューシングル)の雰囲気を踏まえて作りました。

──横山さんはAKIRASTARさんと同じく、ももクロにZが付く前から関わりがありますね。

横山克 そうですね、改名前ラストのシングル用に書いた「Chai Maxx」(2011年発売の3rdシングル「ミライボウル / Chai Maxx」)が最初の提供曲です。

──今や「Chai Maxx」はももクロの個性を示すきっかけになった曲の1つになってます。

横山 “ももクロらしさ”がある曲になっているのはうれしく思います。で、改名後には「D’の純情」を作曲して。

──「D’の純情」はももクロが改名後に新たなスタートを切るという重要なタイミングの曲でしたね。

横山 「D'の純情」は、前山田健一さん提供の「Z伝説 ~終わりなき革命~」と同時発売されていまして、「Z伝説」の明るい雰囲気とは違った“熱いけどダーク”という曲です。ももクロのライブを観て、すごく激しい振り付けをしていたのが印象的だったので、踊れるような曲にしました。

──只野さんはももクロの曲でかなり多くの作詞をなさってますが、最初が横山さん作曲の「Chai Maxx」でした。

只野菜摘

只野 作らせていただいたときは、こんなに多くのファンの方々に受け入れてもらえる曲になるとは想像もしてませんでした。宮本さんからは「テーマはプロレスで!」って頼まれたんですよ(笑)。あとメロディに対して言葉が多く詰まってる感じにしてほしいと。横山さんからいただいたメロの音数よりもかなり言葉を詰め込みました。

──そこからコンスタントにももクロ曲の作詞をしている中で、発注の内容に変化はありましたか?

只野 ももクロちゃんと関わる前から宮本さんとはお仕事をご一緒させていただいてるんですが、今も昔もブレることはないですね。毎回仏教だとか忍者だとか、ハマっているものは変わっていましたけど。発注されなくなると困るので、宮本さんのアンテナにあわせて、そのオーダー通りに作ってきました(笑)。

──「ピンキージョーンズ」(2010年11月発売の2ndシングル)が発表されたときには「NARASAKIがももクロに楽曲提供」ということが大きなトピックになっていました。アイドルソングとしては当時異色だったと思うんですが、「異色こそがももクロ」みたいなイメージを生み出した1曲でもあるような感じがします。

NARASAKI 一応「行くぜっ!怪盗少女」(2010年5月発売のメジャーデビューシングル)からの流れを汲んだ自己紹介ソングにしようという考えはあったんです。だけどできあがってみたらそれこそ“異色”と言われるような感じになったっていう(笑)。オーダー的にはそんなに縛りはなく、自由にやらせてもらいましたね。

ももいろクローバーZ「AMARANTHUS」「白金の夜明け」
第1弾 メンバーインタビュー
第2弾 作家陣座談会
3rdアルバム「AMARANTHUS」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93308
通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3308
4thアルバム「白金の夜明け」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93309
通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3309
「AMARANTHUS」CD収録曲
  1. embryo -prologue-[作曲・編曲:tatsuo]
  2. WE ARE BORN[作詞:藤林聖子 / 作・編曲:tatsuo]
  3. モノクロデッサン[作詞・作曲:CLIEVY(C&K)/ 編曲:小松一也]
  4. ゴリラパンチ[作詞:ANCHANG(SEX MACHINEGUNS)/ 作・編曲:AKIRASTAR]
  5. 武陵桃源なかよし物語[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:橋本由香利]
  6. 勝手に君に[作詞:ももいろクローバーZ、NAGAE / 作・編曲:大隅知宇]
  7. 青春賦[作詞:桑原永江 / 作曲:しほり / 編曲:冨田恵一]
  8. サボテンとリボン[作詞:只野菜摘 / 作詞・編曲:神前暁]
  9. デモンストレーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
  10. 仏桑花[作詞・作曲:さだまさし / 編曲:近藤研二]
  11. 泣いてもいいんだよ[作詞・作曲:中島みゆき / 編曲:瀬尾一三]
  12. Guns N' Diamond[作詞・作曲・編曲:zopp・小林史知・岡村夏彦]
  13. バイバイでさようなら[作詞:只野菜摘 / 作・編曲:エンドウ.(GEEKS)]
  14. HAPPY Re:BIRTHDAY[作詞・作曲:ティカ・α / 編曲:やくしまるえつこ、山口元輝]
「AMARANTHUS」初回限定盤Blu-ray収録内容
  • 「WE ARE BORN」Music Video
  • 「モノクロデッサン」Documentary Music Video
  • Documentary of "AMARANTHUS"
「白金の夜明け」CD収録曲
  1. 個のA、始まりのZ -prologue-[作曲・編曲:NARASAKI]
  2. 桃源郷[作詞:森由里子 / 作・編曲:NARASAKI]
  3. 白金の夜明け[作詞:前田たかひろ / 作・編曲:横山克]
  4. マホロバケーション[作詞:六ツ見純代 / 作・編曲:invisible manners]
  5. 夢の浮世に咲いてみな[作詞:岩里祐穂、ポール・スタンレー(Kiss)/ 作曲:ポール・スタンレー、グレッグ・コリンズ / 編曲:Kiss、グレッグ・コリンズ]
  6. ROCK THE BOAT[作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:グレッグ・カースティン、ニコール・モリエ]
  7. 希望の向こうへ[作詞:桑原永江 / 作・編曲:佐藤晃]
  8. カントリーローズ -時の旅人-[作詞・作曲・編曲:NAOTO(ORANGE RANGE)]
  9. イマジネーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
  10. MOON PRIDE[作詞・作曲・編曲:Revo]
  11. 「Z」の誓い[作詞:森雪之丞 作曲:NARASAKI 編曲:NARASAKI、ゆよゆっぺ]
  12. 愛を継ぐもの[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:Tom-H@ck]
  13. もっ黒ニナル果て[作詞:MURO、BOO / 作・編曲:MURO、SUI]
  14. 桃色空[作詞・作曲:堂本剛(KinKi Kids) / 編曲:堂本剛、十川ともじ]
「白金の夜明け」初回限定盤Blu-ray収録内容
  • 「マホロバケーション」Music Video
  • 「白金の夜明け」Documentary Music Video
  • Documentary of “白金の夜明け”
ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)
ももいろクローバーZ

百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「週末ヒロイン」「今会えるアイドル」というキャッチフレーズを掲げ、ももいろクローバーとして結成。2009年7月に1stシングル「ももいろパンチ」をリリースし、2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた東京・中野サンプラザホール公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後、ももいろクローバーZへと改名し、5人編成での活動をスタートさせた。2011年7月にももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。2012年にはグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2013年4月に2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリースし、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2015年1月、「ももいろクローバーZ vs KISS」名義でKissとのコラボシングル「夢の浮世に咲いてみな」を発表。また女優としての活動も行い、青春群像小説「幕が上がる」の映画版および舞台版では主演を務めた。同年夏に静岡・エコパスタジアムでワンマンライブ「ももいろクローバーZ 桃神祭2015 エコパスタジアム大会 ~遠州大騒儀~」を開催。12月には群馬・軽井沢スノーパークでクリスマスライブ「ももいろクリスマス2015 ~Beautiful Survivors~」を実施し、12月31日から2016年1月1日にかけては東京・豊洲PITで初の年越しライブ「第一回ゆく桃くる桃『笑顔ある未来』」を行った。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリース。同月より新作を携えたドームツアーを開催する。