音楽ナタリー Power Push - ももいろクローバーZ
豪華作家陣と生み出した3rd & 4thアルバム ももクロが表現する“常世と幻想の世界”
ORANGE RANGE世代の反響
──今回のアルバムでは元日から曲名と作家さんの情報が徐々に発表されていましたね。
百田 発表される度にいろんな反響がありましたけど、同級生からものすごい反響があったのはNAOTO(ORANGE RANGE)さんの提供曲「カントリーローズ -時の旅人-」を発表したときでした。みんな「ORANGE RANGEのNAOTOだよね? すごい!」って。
高城 だって、私たちORANGE RANGE世代だもんね。
玉井 小学生の頃の思い出といったら、ORANGE RANGEさんの曲を一緒に思い出すくらいだもん。運動会の応援とか、みんなで何かを歌う機会があったら、いつもORANGE RANGEさんの曲を歌っていたような気がする。
──小学生のときに聴いていたアーティストに曲を提供してもらえる、というのは、皆さんにとって大きなポイントですね。
佐々木 本当にびっくりしました。
玉井 「カントリーローズ -時の旅人-」は故郷を離れてもがんばっていますってことを歌にしていて、歌詞がとても素敵なんですよ。これさ、夏菜子ちゃんが上京するようなことがあったら、ものすごく共感するんじゃない?
百田 ああ、わかるかも。
玉井 ウチらはみんな関東出身で実家に住んでいるから、歌詞の内容は理解できるけど、共感はしにくかったです。でも「ああ、故郷があるっていいな」って思ったし、夏菜子ちゃんはすごく共感できるよなって。
百田 上京はしてなくても、すでに共感してますよ。仕事で東京に泊まったとき、1人でこの曲を聴くといろいろ想像しちゃう。
──さらに第52回グラミー賞で最優秀プロデューサー賞にノミネートされたグレッグ・カースティンも「ROCK THE BOAT」で参加しています。
高城 有安さんは知ってたでしょ、グレッグさん。
有安 すいません、知りませんでした。でも曲がものすごくカッコよくって!
佐々木 英語版の歌詞もあるんだよね。レコーディングの前に「こういうイメージでお願いします」って英語版を聞かされて、カッコいいなあって。ももクロで英語といえば玉井さんですからぜひ、英語でも歌ってほしい。
玉井 うーん……まあ、いつかはね。せっかく英語版があるんだから、歌ってみたいとは思うけど、ここでいきなり英語詞の曲が出てきたら、アルバムの世界観が壊れるでしょ? なのでここは日本語の歌詞で楽しんでください。
会うたびに印象が変わる清竜人
──清竜人さんの参加も大きな注目を集めました。ももクロへの楽曲提供はこれが初めてで、3rdアルバムには「デモンストレーション」、4thアルバムには「イマジネーション」を提供してくれましたね。
百田 どっちもセリフから始まるから「不思議な曲、来た! 新しい感じの曲、来た!」って(笑)。でもメロがキャッチーで、歌詞がかわいいから、すごく入りやすかったんですよね。しかも歌詞の割り振りがすごく細かくて、ワンフレーズごとにどんどん変わっていく。実はこういうのをちょっとやってみたかったので「細かい割り振り、キターッ!」ってみんなで喜んでました。
有安 私は清竜人さんの「痛いよ」(2010年発表の3rdシングル)を知っていたんです。でもスタジオでお会いしたときに見た目があまりに違ったので、同一人物だと思わなかったんですよ。名前も同じだし「痛いよ」の人だよなあ、と思って調べてみたら、やっぱり同一人物で(笑)。2回目のレコーディングのときに、「全然イメージと違いました」って伝えたら「方向性を変えた」って言われました(笑)。
高城 へえ、そうだったんだ。
有安 触れていい部分なのか迷ったんですけど、「自分の意思で変えたんだ」って言われたんで、安心しました。
高城 お会いするたびに印象が変わっていて、清 竜人25のミュージックビデオを観たら「えっ、えっ、また雰囲気違うよ!」って。びっくりしすぎて、みんなに連絡しちゃったもんね。七変化ですよ!
百田 短期間で数回しかお会いしていないのに、毎回雰囲気が違ったから頭の中がこんがらがっちゃった。
玉井 けっこう淡々とした方だよね。
佐々木 うん。というか、感情が見えない。
玉井 レコーディングでディレクションをしていただいたときは「はい、OK、OK」って感じでどんどん進んでいって。「えっ、今ので本当にOKだったのかな?」って思うくらい(笑)。
佐々木 でも初めて曲を提供していただいた方とのレコーディングは新鮮だったし、清竜人さんに限らず、その作家さんの世界に連れていってもらった感じがして、今回のアルバムは貴重な体験の連続でした。ももクロの世界はもちろん大事にしていきたいけど、こうやって新しい世界を知ることも大切なんだなって思った。
有安 初めて曲を提供してくださった方はほかにもいて、C&KのCLIEVYさんも初めてでした。実は今回のアルバムが決まる前に、宮本(純乃介 / プロデューサー)さんから「これ、いいよ。1回聴いてみて」って、C&Kさんの曲を薦められていて。そのときに「実現するかどうかわからないけど、いつかももクロに曲を書いてもらおうって考えているんだよね」って言われていたから、あっ、本当に実現したんだって。
──宮本さんからそうやってアーティストを薦められることってけっこうあるんですか?
百田 全然ない。ていうか、基本的に音楽の話をしない(笑)。
高城 そうだね。くだらない話しかしない。
佐々木 あーっ、よかった。私だけ宮本さんと音楽の話をしていないのかと思って、心配しちゃった。さすが歌の上手な有安だわ。
玉井 純乃介も人をよく見ているんだよ(笑)。
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- ももいろクローバーZ「AMARANTHUS」「白金の夜明け」
- 第1弾 メンバーインタビュー
- 第2弾 作家陣座談会
- 3rdアルバム「AMARANTHUS」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93308
- 通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3308
- 4thアルバム「白金の夜明け」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93309
- 通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3309
「AMARANTHUS」CD収録曲
- embryo -prologue-[作曲・編曲:tatsuo]
- WE ARE BORN[作詞:藤林聖子 / 作・編曲:tatsuo]
- モノクロデッサン[作詞・作曲:CLIEVY(C&K)/ 編曲:小松一也]
- ゴリラパンチ[作詞:ANCHANG(SEX MACHINEGUNS)/ 作・編曲:AKIRASTAR]
- 武陵桃源なかよし物語[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:橋本由香利]
- 勝手に君に[作詞:ももいろクローバーZ、NAGAE / 作・編曲:大隅知宇]
- 青春賦[作詞:桑原永江 / 作曲:しほり / 編曲:冨田恵一]
- サボテンとリボン[作詞:只野菜摘 / 作詞・編曲:神前暁]
- デモンストレーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
- 仏桑花[作詞・作曲:さだまさし / 編曲:近藤研二]
- 泣いてもいいんだよ[作詞・作曲:中島みゆき / 編曲:瀬尾一三]
- Guns N' Diamond[作詞・作曲・編曲:zopp・小林史知・岡村夏彦]
- バイバイでさようなら[作詞:只野菜摘 / 作・編曲:エンドウ.(GEEKS)]
- HAPPY Re:BIRTHDAY[作詞・作曲:ティカ・α / 編曲:やくしまるえつこ、山口元輝]
「AMARANTHUS」初回限定盤Blu-ray収録内容
- 「WE ARE BORN」Music Video
- 「モノクロデッサン」Documentary Music Video
- Documentary of "AMARANTHUS"
「白金の夜明け」CD収録曲
- 個のA、始まりのZ -prologue-[作曲・編曲:NARASAKI]
- 桃源郷[作詞:森由里子 / 作・編曲:NARASAKI]
- 白金の夜明け[作詞:前田たかひろ / 作・編曲:横山克]
- マホロバケーション[作詞:六ツ見純代 / 作・編曲:invisible manners]
- 夢の浮世に咲いてみな[作詞:岩里祐穂、ポール・スタンレー(Kiss)/ 作曲:ポール・スタンレー、グレッグ・コリンズ / 編曲:Kiss、グレッグ・コリンズ]
- ROCK THE BOAT[作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:グレッグ・カースティン、ニコール・モリエ]
- 希望の向こうへ[作詞:桑原永江 / 作・編曲:佐藤晃]
- カントリーローズ -時の旅人-[作詞・作曲・編曲:NAOTO(ORANGE RANGE)]
- イマジネーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
- MOON PRIDE[作詞・作曲・編曲:Revo]
- 「Z」の誓い[作詞:森雪之丞 作曲:NARASAKI 編曲:NARASAKI、ゆよゆっぺ]
- 愛を継ぐもの[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:Tom-H@ck]
- もっ黒ニナル果て[作詞:MURO、BOO / 作・編曲:MURO、SUI]
- 桃色空[作詞・作曲:堂本剛(KinKi Kids) / 編曲:堂本剛、十川ともじ]
「白金の夜明け」初回限定盤Blu-ray収録内容
- 「マホロバケーション」Music Video
- 「白金の夜明け」Documentary Music Video
- Documentary of “白金の夜明け”
ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)
百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「週末ヒロイン」「今会えるアイドル」というキャッチフレーズを掲げ、ももいろクローバーとして結成。2009年7月に1stシングル「ももいろパンチ」をリリースし、2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた東京・中野サンプラザホール公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後、ももいろクローバーZへと改名し、5人編成での活動をスタートさせた。2011年7月にももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。2012年にはグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2013年4月に2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリースし、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2015年1月、「ももいろクローバーZ vs KISS」名義でKissとのコラボシングル「夢の浮世に咲いてみな」を発表。また女優としての活動も行い、青春群像小説「幕が上がる」の映画版および舞台版では主演を務めた。同年夏に静岡・エコパスタジアムでワンマンライブ「ももいろクローバーZ 桃神祭2015 エコパスタジアム大会 ~遠州大騒儀~」を開催。12月には群馬・軽井沢スノーパークでクリスマスライブ「ももいろクリスマス2015 ~Beautiful Survivors~」を実施し、12月31日から2016年1月1日にかけては東京・豊洲PITで初の年越しライブ「第一回ゆく桃くる桃『笑顔ある未来』」を行った。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリース。同月より新作を携えたドームツアーを開催する。
2016年2月19日更新