音楽ナタリー PowerPush - ももいろクローバーZ

Revo、小坂明子、三石琴乃ら「セーラームーンCrystal」の面々が祝福コメント

ももいろクローバーZがニューシングル「MOON PRIDE」を7月30日にリリースした。表題曲はニコニコ動画にて全世界配信されているアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」のオープニングテーマ。カップリングとしてエンディングテーマ「月虹」と、セーラームーン盤にはオリジナルアニメーションPV、ももクロ盤には「セーラームーン」の人気曲「Moon Revenge」のカバーがそれぞれ収められている。

このリリースを祝しナタリーでは特集記事を展開。アニメ「セーラームーン」のオープニング曲の歴史をたどりつつ、「MOON PRIDE」を紐解いていく。また「MOON PRIDE」を手がけたRevo(Sound Horizon / Linked Horizon)、エンディングテーマ「月虹」を作曲した小坂明子、「美少女戦士セーラームーンCrystal」キャストからのお祝いコメントも到着した。

文 / 岸野恵加 企画 / 富樫奈緒子

“新しい伝説”が始まる

全世界で絶大な人気を誇る「美少女戦士セーラームーン」の新作アニメ製作、その主題歌をももいろクローバーZが務めることが発表されたのは2012年7月。それからちょうど2年、満を持してリリースされる「MOON PRIDE」は、新生「セーラームーン」を象徴する新たなテーマソングである。

アニメ「セーラームーン」のオープニングといえば、誰もが思い浮かべるのが「ムーンライト伝説」。この曲は1992年の無印シリーズから1996年放送の「SuperS」まで4年連続で使用され、1990年代を代表するアニメソングとして、アニメを観たことがない層にまで広く認知されている。改めて歌詞を読み込んでいくと、綴られているのは運命的な恋。「だって純情 どうしよう ハートは 万華鏡」「現在・過去・未来も あなたに首ったけ」と、実はセーラームーンのセの字も直接的には織り込まれていない、等身大の女の子の心情を詰め込んだラブソングだった。

「美少女戦士セーラームーンCrystal」より。

続く最終シリーズ「セーラースターズ」の主題歌は、原作者の武内直子が作詞を手がけた「セーラースターソング」。こちらはロマンチックなワードが随所に散りばめられながらも、サビで「まけない!あしたへ セーラーエール」と歌われるように、まさしく戦闘ヒロインアニメの主題歌らしい力強い1曲である。

それでは時を経ること約20年、ももクロが放つ新たな「セーラームーン」のテーマとはどのような曲だろうか。その前に新シリーズ「美少女戦士セーラームーンCrystal」について少し説明しておきたい。「Crystal」がこれまでのシリーズと大きく違うのは、原作マンガに準拠したストーリー展開となっている点だ。従来のアニメシリーズではコメディ描写も多く、強大な敵を倒すという本筋以外のエピソードもしばしば挟み込まれていた。「Crystal」ではキャラクターデザインもより大人っぽく生まれ変わり、原作の持つシリアスで華麗な世界観を忠実に表現しようという気概が表れている。

「美少女戦士セーラームーンCrystal」より。

「MOON PRIDE」の作詞・作曲・編曲を手がけたのは、昨年放送されたアニメ「進撃の巨人」のテーマソング「紅蓮の弓矢」でその名を轟かせたRevo(Sound Horizon / Linked Horizon)。「ただ護られるだけの か弱い存在じゃないわ」と歌われる詞からは、「戦う」という強い意志がはっきりと感じられる。「ムーンライト伝説」に描かれていた恋する少女は、「セーラースターソング」を経て「MOON PRIDE」に至るまでの間に、敵との戦いの中でたくましく成長した。この3曲の変遷からは、そんな姿が浮かび上がってくる。ももクロの楽曲には「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」以来の参加となるマーティ・フリードマンによるヘビーなギタープレイも戦闘モードに拍車をかけ、ももクロ史上最も複雑といっても過言ではない、重層的なボーカルのハーモニーが「MOON PRIDE」の迫力を後押ししている。

ビデオクリップは東映アニメーションがこのために制作した新作アニメ映像で構成。1番ではうさぎの前世の姿であるプリンセス・セレニティが、シルバー・ミレニアムの滅び行く様に涙を流し、四守護神たちも絶望の表情を見せる。セレニティはついに愛する人と離れ離れになってしまうが、2番に入ると凛々しく顔を上げ、ほかの戦士たちも必殺技を華麗に繰り出していく。「女の子には無敵の武器がある」と宣言し敵に果敢に立ち向かっていく姿は、多くの“女の子”たちに勇気を与えてくれそうだ。このPVはYouTubeにて公開されるとわずか1日で100万回再生を軽々と突破し、コメント欄では感想がさまざまな言語で飛び交った。

ちなみにアニメのオープニングバージョンのタイトルバックが出る直前、月の下にたたずむ5戦士にズームインしていくカメラワーク、そして5戦士がポーズを決めるラストカットは、いずれも「セーラースターズ」のオープニング映像にどこか似ている。前シリーズからのファンならば思わず二ヤリとしてしまうポイントだろう。

「美少女戦士セーラームーンCrystal」オープニングより。

エンディング曲「月虹」は、「タキシード・ミラージュ」やミュージカルのグランドテーマ「La Soldier」など、「セーラームーン」を語る上で欠かせない楽曲を残した小坂明子作曲によるバラード。オープニングとは対照的に、サビのユニゾンが心地よいロマンチックなナンバーに仕上がっている。さらにももクロ盤には、カップリングとして劇場版「セーラームーンR」のラストシーンで使用された名曲「Moon Revenge」のカバーを収録。原曲のイメージを覆すような、四つ打ちのアレンジはインパクトが大きい。愛憎入り乱れる歌詞をももクロがどう表現したのかにも注目したいところだ。

ももクロとアニメは切り離しては語れない関係にある。「ムーンライト伝説」に掛けたかのような、「新しい伝説が 今ここから始まる」というセンテンスで締められる「MOON PRIDE」。この曲は今までの「セーラームーン」シリーズへの敬意を最大限に払いつつ、新たなセーラームーン像を提示していく決意に満ちている。「セーラームーンCrystal」、そしてももクロがこれから見せてくれる伝説を、期待して見守りたい。

「MOON PRIDE」PVより。

MOON PRIDE/ももいろクローバーZ (MOON PRIDE/MOMOIRO CLOVER Z "PRETTY GUARDIAN SAILORMOON Crystal OP theme")

ニューシングル「MOON PRIDE」 / 2014年7月30日発売 / EVIL LINE RECORDS
セーラームーン盤 [CD+Blu-ray] / 1851円 / KIZM-295~6
ももクロ盤 [CD] / 1234円 / KICM-1533

iTunes Storeにて配信中!

セーラームーン盤 CD収録曲
  1. MOON PRIDE(アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」オープニングテーマ)
    [作詞・作曲・編曲:Revo(SOUND HORIZON)]
  2. 月虹(アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」エンディングテーマ)
    [作詞:白薔薇 sumire / 作・編曲:小坂明子]
  3. MOON PRIDE(off vocal ver.)
  4. 月虹(off vocal ver.)
セーラームーン盤 Blu-ray収録内容
  • 東映アニメーション制作「美少女戦士セーラームーン Crystal」オリジナルアニメーション Music Video
ももクロ盤 収録曲
  1. MOON PRIDE
  2. 月虹
  3. Moon Revenge
    [作詞:冬杜花代子 / 作曲:小坂明子 / 編曲:橋本由香利]
  4. MOON PRIDE(off vocal ver.)
  5. 月虹(off vocal ver.)
  6. Moon Revenge(off vocal ver.)
ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)

百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「ももいろクローバー」として結成。「週末ヒロイン」「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもと全国津々浦々でライブ活動を行い、2009年7月には1stシングル「ももいろパンチ」をリリース。2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた中野サンプラザ公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後に「ももいろクローバーZ」へ改名し、5人編成での活動をスタートさせた。

2011年7月にはももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。同年7月に発売された1stアルバム「バトル アンド ロマンス」は、全日本CDショップ店員組合が選出する「第4回CDショップ大賞」で大賞を受賞し、2012年にはグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2013年4月には2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリース。2014年3月に女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。​2014年5月8日には中島みゆき作詞作曲による11thシングル「泣いてもいいんだよ」をリリースし、オリコン週間ランキングで初登場1位を獲得。2014年7月には自身最大規模となる、日産スタジアム2DAYSの単独ライブを成功させた。

(C)武内直子・PNP・講談社・東映アニメーション