ナタリー PowerPush - ももいろクローバーZ
進化の先にある“5次元”の世界
メンバーの成長と変化:有安杏果
──有安さんは今年の初めから声を出すことができず、このツアーからようやく歌にも参加することになりました。
声を出して話す、そしてステージで歌って踊るということがどれだけありがたいかということが本当にわかったと思います。だからリハーサルのときだったかな、復帰して最初に歌って踊ったときは本当に素晴らしかったですね。杏果はもう皆さん認めてくださってる通り、踊りは踊れるんです。でもたまに雑なところがある。ヒジが曲がってるとか、手が上がってないとか、それができたらあの人は無敵なんです。
──歌えない時期も踊りだけはがんばってましたよね。
うん。あの時期は踊りだけに集中してるからうまくなるのかなと思ったけど、踊りもあまりよくなかった。歌ってないときは「歌いたい」っていう気持ちが体に出ちゃうから違うんですよね。歌ってるほうが踊りもよくなるんです。そういう雑なところが出てきちゃってたんだけど、声が出て最初にやったリハはね、すごくしっかりできてたんですよ。
メンバーの成長と変化:佐々木彩夏
──次にあーりんはどうですか?
あーりんは物事を俯瞰で見られる人ですね。全体を見てる感じ。自分がどうステージに立つのかを考えるよりも、お客さんから見たらどうなのかとか、そういうところまで一緒に話し合えちゃう。だから実行も早いし、見せ方も知ってるから、やらせたいと思うことができる。できるとまたやらせたいことができてくる。どんどんどんどんできることが増えていくっていう。でもあの人は、いつ何をやってもちゃんと“あーりん”だから面白い。
──ちゃんと“あーりん”(笑)。そういう気質は天性のものなんですか? それともどこかのタイミングで変わってきた?
変わりましたね。初めはやっぱり自分を見せることで精一杯で。でも去年のツアーあたりから変わってきたかな。ツアーって本当に成長するんですよ。1回きりじゃなく同じステージを踏んでいくっていうのが、すごく成長につながってるんだと思います。
メンバーの成長と変化:百田夏菜子
──では最後に、リーダー百田さん。
百田さんは……(と言ったところで取材部屋に偶然百田夏菜子が登場)あ、百田! 来た来た。さすがですね。百田さんって言ったら……。
百田 いや、違うんですよ。世界のゆみ先生がちょっと取材受けてるっていうんで。
──今ちょうど百田さんの成長したところを聞こうと。
百田 そう。だからヤバいと思って。絶対タイミング悪いよね、私。
いや、絶対わかって来たね。今ね。
百田 ちょっと待って。いや、ちょっと……(笑)。やだ、もう……。
さすがだね(と話していると玉井詩織も登場)。
玉井 チーズケーキがあるんだって!
百田 え! ヤバい!
玉井 こっち!(と百田を連れて退室)
──行ってしまいましたね……(笑)。では改めて。百田さんです。
百田さんは本当に不思議な人で、目に見える成長とかじゃなくて、あの人が笑うだけで周りがまとまってくるんですよ。周りがね、元気になるんです。だからね、リーダーには本当にこのまんまずっと笑っててほしい。踊りうんぬん、歌うんぬんじゃないのかな。あの人はキャハキャハ言ってますけど、人前で涙も流さないし、練習してますアピールもしないし。だけど自分ではもっとできると思ってるんだと思う。だから与えられた課題を貪欲にこなしてる。リーダーが元気だとメンバーも元気だし、スタッフも元気だし、お客さんも元気だし。連鎖してるんですよ。だからあの人が中心。ここ何カ月かでそれをすごく感じましたね。なんかあったのかな。自分の中で覚悟みたいなものが。
──それは私たちが取材の中で話していてもすごく感じます。
ね。ありますよね。決めたんじゃないですか、やっぱり。でも言わないでしょ? 外に出さない人だから。
──言葉にせずとも伝わるものがあるというか。
そうなんですよ。不思議ですよね。そこがいいところ。
ようやく本当のスタート
──ももクロの空気感もいい感じで変わっている気がするんですけど、それは先生から見るとどうですか?
みんなで盛り上がってる感じです。「テンションを上げる」と言いますけど、テンションというのは人に上げてもらうものじゃなくて、自分から上げていくものなんですよね。あの子たちはみんなで自然とテンションを上げていて、なんでもポジティブに捉えてる。いつも笑ってるし、いつも元気だし、それを見てる人も元気になる。いい連鎖を作り上げていますね。
──今回は「5TH DIMENSION」の世界観を打ち出す本編ではMCを一切入れず、曲とパフォーマンスだけで見せなきゃいけない。ある意味ごまかしがきかない世界だと思うんですけど、ももクロがそういうライブをできるほどに成長したということなのかなと思ったんです。
そうですね。できるんですよ。やらなかっただけで。
──やらなかったのはなぜですか?
そこがももクロのいいところじゃないですか。普通のライブをやらないのがいいところ。バラエティに富んでいて、すごくグダってるところもやっぱりかわいいし、面白いし。でも、ちゃんとアーティストとして、パフォーマンスでお客さんに納得してもらえるものも提供できるんです。それでもまだまだだと思いますよ。これでようやく本当のスタートなんだなって。ももクロはアイドルとかアーティストとか関係なく、オールジャンルなんでも挑戦する集団だと思うんですけど、そんな集団がなんとなくいろんなノウハウを蓄えて「ここから勝負していけるんじゃない?」っていう感じが、今回のツアーでちょっとつかめたのかなって思います。
──先生にとって、このツアーはどんなツアーになりましたか?
最高ですよ。ライブという総合芸術。彼女たちにとって最高の形ですね。私はその一部になれていることがうれしすぎて。すごく幸せでしたもん。これで終わりだと思うともったいない。本当にもったいないけど、やっぱりライブは儚いもので、その儚さがいいなって思うんです。
- ニューアルバム「5TH DIMENSION」 / 2013年4月10日発売 / スターチャイルド
- 初回限定盤A [CD2枚組] / 3500円 / KICS-91899
- 初回限定盤B [CD+DVD] / 3500円 / KICS-91900
- 通常盤 [CD] / 2800円 / KICS-1899
CD収録曲(全仕様共通)
- Neo STARGATE
- 仮想ディストピア
- 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
- 5 The POWER
- 労働讃歌
- ゲッダーン!
- Z女戦争
- 月と銀紙飛行船
- BIRTH O BIRTH
- 上球物語 -Carpe diem-
- 宙飛ぶ!お座敷列車
- サラバ、愛しき悲しみたちよ
- 灰とダイヤモンド
初回限定盤A DISC 2(CD)収録内容
2012年11月17日(土)東京・Zepp Tokyo「ももいろ夜ばなし第一夜『白秋』」第1部ライブ音源
初回限定盤B DVD収録内容
- Neo STARGATE(MUSIC VIDEO)
- BIRTH O BIRTH (MUSIC VIDEO)
※「BIRTH O BIRTH」の「O」は/付きが正式表記になります。
ももいろクローバーZ(ももいろくろーばーぜっと)
百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「ももいろクローバー」として結成。「週末ヒロイン」「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもと全国津々浦々でライブ活動を行い、2009年7月には1stシングル「ももいろパンチ」をリリース。2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた中野サンプラザ公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後に「ももいろクローバーZ」へ改名し、5人編成での活動をスタートさせた。
2011年7月にはももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。同年7月に発売された1stアルバム「バトル アンド ロマンス」は、全日本CDショップ店員組合が選出する「第4回CDショップ大賞」で大賞を受賞した。2013年4月10日には2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリース。
2013年4月9日更新