hide presents MIX LEMONeD JELLY 2017|hideと同世代の3人「MLJ」で邂逅

8月5日に東京・新木場STUDIO COASTで「hide presents MIX LEMONeD JELLY 2017」が開催される。「MIX LEMONeD JELLY」はhideが1997年にスタートさせ、長い年月を経て昨年復活したライブイベント。J、ZEPPET STOREといったhideと縁の深いアーティストからチームしゃちほこまで、多彩なラインナップがそろったこのイベントは、ジャンルの壁を超えた活動を繰り広げてきたhideのスタンスを体感できる内容になりそうだ。

今回音楽ナタリーでは、同イベントに出演する筋肉少女帯の大槻ケンヂ、MAGUMI AND THE BREATHLESSのMAGUMI、ニューロティカのアツシの鼎談を企画。hideと同世代の3人に、1980年代後半のロックシーン、hideとの思い出、イベントへの意気込みなどについて、生前のhideが通っていたロックバー・REDSHOESで語り合ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 西槇太一

1980年代に始まるそれぞれの出会い

MAGUMI(MAGUMI AND THE BREATHLESS) この中では俺が一番歳上だけど、最初に有名になったのは大槻くんだよね。

大槻ケンヂ(筋肉少女帯) あ、私ですか(笑)。でもデビューはLÄ-PPISCHのほうが早いでしょ?

MAGUMI そうなんだけど、筋肉少女帯はメジャーデビューする前から知られてたじゃん。インディーズのときから「宝島」なんかにバーッと出てて。

大槻 ナゴムレコード時代ね。ニューロティカもその頃から有名だったよね。「ぴあ」とか「シティロード」のライブ情報にもよく載ってたでしょ、我殺なんかと一緒に。

アツシ(ニューロティカ) そうですね(笑)。

大槻 筋少とLÄ-PPISCHもよくイベントで一緒になってたよね。

MAGUMI うん。筋少のメンバーと初めてゆっくり飲んだのは、確か倉敷じゃなかった?

大槻ケンヂ(筋肉少女帯)

大槻 そうだっけ? そう言えば、上田現ちゃん(ex. LÄ-PPISCH / 2008年没)に「大槻ケンヂを俺の弟子にしたい」って言われたことがあって。それがきっかけで「宝島」で対談したんだよね。

MAGUMI そうなんだ(笑)。彼は詩人だったから、筋肉少女帯にも興味があったんじゃないかな。

大槻 そうか。うれしいなあ。

アツシ そう言えばニューロティカとGARLICBOYSが大阪でライブをやったとき、現ちゃんが打ち上げに来てくれたことがあって。僕が「現さん」って呼んでたら「“現ちゃん”って呼べ」って言われたんですよね。それがすごくいいなと思って、僕も後輩に“あっちゃん”って呼んでもらうことにしたんです。

MAGUMI ニューロティカとも対バンしてたよね?

アツシ そうですね。

MAGUMI あっちゃんはずっと同じ活動を続けてるでしょ? 今も昔も常に同じような位置にいるイメージのバンドなんだよ、俺にとっては(笑)。「ピエロがボーカルのパンクバンドがいる」っていう話を聞いたのが最初なんだけど、今もスタイルが全然変わらないから。そう言えば、最初は“LUUFF”(ルーフ)っていう名前だったよね?

アツシ そうですね(笑)。後輩が「井上さんはいつも笑ってるから、“Laugh”っていう名前がいいですよ」って言われて。いいなと思ったんですけど、僕がスペルを間違えて“LUUFF”になっちゃたんです。

大槻 あれほどLaughin'Noseと対バンしてたのに(笑)。ニューロティカとは「ロックンロールオリンピック」(※仙台で過去に行われていた野外ロックイベント)でも一緒になったことあるよね。あのときLÄ-PPISCHも出てた?

MAGUMI いや、LÄ-PPISCHは一度も「ロックンロールオリンピック」に出たことないんだよ。

アツシ え、ホントですか?

大槻 意外だね。

アツシ ニューロティカは「ロックンロールオリンピック」の最多出演記録を持ってるんですけど、一度もライトを浴びたことはないんですよね。いつも明るい時間帯に出てたから(笑)。

“フェス”のない時代、ライブ中に砂嵐を起こしたX

大槻 懐かしいなあ、「ロックンロールオリンピック」。ロッジみたいなところで雑魚寝してたんじゃなかったっけ?

アツシ 最初は会場の側の施設に泊まってたんですけど、いろいろと事件が起きて(笑)。車で1時間くらいかかるロッジになったんですよね。企業の研修会をやるような場所だったんだけど、バンドごとにビール1ケースとお酒2本が支給されて。全部飲んじゃったから、隣の建物までお酒をもらいに行ったことがあったんですよ。Theピーズとニューエスト・モデルとメスカリン・ドライヴが泊まってたんだけど、行ったら誰もいなくて。でも台所みたいなところでシンイチロウ(佐藤シンイチロウ / Theピーズ、the pillows)が1人で飲んでいたのを覚えてます(笑)。

MAGUMI あいつ、その頃から変わってないんだ(笑)。

アツシ 僕らはその頃、ハイエース2台でツアーを回ってたんですよ。「ロックンロールオリンピック」のときに駐車場でキャッチボールしてたら、ドドドドドッってすごい音が聞こえてきて。「なんだろう?」と思ったら、それがX(現X JAPAN)のデカいトラックだったっていう。僕らのハイエースがすっかり見えなくなるくらいの大きさでしたね。確か1989年かな?

大槻 その頃からスケールがデカかったんだね。LÄ-PPISCH、筋少、Xが出たイベント(「5時SAT ROCK WAVE」)もあったよね。

MAGUMI(MAGUMI AND THE BREATHLESS)

MAGUMI あったね! あのとき、LÄ-PPISCHがトリだったんだよ。

大槻 あ、そうだったんだ。あのときもXはものすごいことになってて、ライブが始まったはいいけどファンの圧がすごくて数曲で中止になっちゃったんだよね。当時Xのマネージャーの人が手で“×(バツ)”を作ってたんだけど、最初は「なんでマネ―ジャーがXジャンプのポーズをしてるんだろう?」って。

MAGUMI ははは(笑)。砂煙が起きてたよね、あのとき。

大槻 そうそう。「ハムナプトラ / 失われた砂漠の都」みたいになってた(笑)。

MAGUMI 「ROCK WAVE」はフリーコンサートだったんだよね。毎年開催されてたんだけど、フェスが定着する前の話だからすごいよね。

大槻 そうだね。フェスっていうものが始まったのは、筋少が1998年に活動休止して、特撮を始めた2000年あたりからだから。その前はぜんぶ“イベント”って言ってた。

MAGUMI 夏のイベントね(笑)。

大槻 バブルの時代にMZA有明という会場があって、そこでもXと一緒になったことあるよ。REACTION、GASTUNK、ZIGGYも出て。確かハードロック雑誌が企画したイベント(「ロッキンf」主催の「NEW AGE ATTACK 2 -STREET FIGHTING MEN」)だったと思うけど。

MAGUMI そこに呼ばれる筋少の立ち位置が面白いね。

アツシ 確かに(笑)。

hide presents MIX LEMONeD JELLY 2017

2017年8月5日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN / START 11:00

hide presents MIX LEMONeD JELLY 2017

出演者

RIGHT STAGE

defspiral / ニューロティカ / LM.C / J / 筋肉少女帯 / ZEPPET STORE

LEFT STAGE

SPEED OF LIGHTS / jealkb / Aldious / 大門弥生

BLUE SKY STAGE

カルメラ / チームしゃちほこ / exist†trace / KISS THE WoRLD / GREMLINS / MAGUMI AND THE BREATHLESS / heidi. / DaizyStripper / 山嵐

ISLAND STAGE

STARMARIE / 桃知みなみ / DJダイノジ / DJ HIROAKI ASAI / Kiyoshi / DJ INA / ゴウシ&CUTT / 桂りょうば

筋肉少女帯(キンニクショウジョタイ)
1982年に中学の同級生だった大槻ケンヂ(Vo)と内田雄一郎(B)によって結成。インディーズでの活動を経て、1988年にアルバム「仏陀L」にてメジャーデビューを果たす。1989年に橘高文彦(G)と本城聡章(G)が加入し、「日本印度化計画」「これでいいのだ」「踊るダメ人間」などの名曲を発表。特に「元祖高木ブー伝説」はチャートトップ10入りを記録し、大きな話題に。大槻による不条理&幻想的な詩世界とテクニカルなメタルサウンドが好評を博すものの、1998年7月のライブをもって活動を“凍結”。各メンバーのソロ活動を経て、2006年末に大槻・内田・橘高・本城の4人で活動再開を果たす。2007年9月には約10年ぶりのオリジナルアルバム「新人」をリリース。東京・日本武道館公演や「FUJI ROCK FESTIVAL」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」といった大型イベントへの出演など、精力的なライブ活動を展開する。2015年5月には人間椅子とコラボバンド「筋肉少女帯人間椅子」でシングル「地獄のアロハ」を発表。2016年10月にはベストアルバム「再結成10周年パーフェクトベスト+2」とシングル「人から箱男(筋少×カラオケDAMコラボ曲)」を同時リリースした。
MAGUMI AND THE BREATHLESS(マグミアンドザブレスレス)
MAGUMI(Vo, Tp)、永井秀樹(G, Cho)、袴塚徳勝(B, Cho)、カサマツマサヨシ(Dr)、島本亮(Key, Sax, Cho)からなる5人組バンド。LA-PPISCHのフロントマンとして知られるMAGUMIのソロアコースティックユニットにリズム隊を加えて2009年に結成された。2011年に2枚のシングルと1stアルバム「delight」をリリース。2014年5月には2ndアルバム「Demonstration」とシングル「Electric Discharge」を2タイトル同時リリースした。現在は全国各地でライブを中心に活動中。
ニューロティカ
1984年にATSUSHI(Vo)と修豚(G)によって結成されたパンクバンド。結成と同時に設立したネオファミリーレコードからオムニバス盤やシングルを発表し、1989年5月には初のフルアルバム「ハーレム野郎」をリリース。翌1990年6月に日本コロムビア TRAID レーベルより、シングル「ア・イ・キ・タ」でメジャーデビューを果たした。ピエロメイクと派手なコスチュームで誰もが口ずさみやすいパンクサウンドを提示し続け、特にライブを重視した活動により現在までの総ライブ回数は1600回を超える。また野村沙知代や小向美奈子との共演や奇抜なライブ企画などユニークな活動でたびたび話題となる。この姿勢をリスペクトし、これまでリリースされているトリビュート盤には氣志團、PUFFY、カジヒデキ、LUNKHEAD、MERRYなど多彩なアーティストが参加している。現在のメンバーはATSUSHI、KATARU(B)、NABO(Dr)、JAMES(G)で、2017年5月にこの体制で初のアルバム「良いか悪いかは別として(笑)」をリリースした。