アルバムを聴いて恐ろしくなった
──Emiさんは「ユラレル」を聴いて、どう思われましたか?
Nakamura 私の中で「この人は歌う環境にいさせてあげなきゃダメだ」と思うアーティストが何人かいて、その1人がみゆなちゃんなんです。今回のアルバムを聴いたときに恐ろしくなったんですよ。
──恐ろしい?
Nakamura 16、17歳が考えた歌詞なら、もうちょっと背伸びしている感じや地に足が付いてない感じがあってもしょうがないと思うんです。だけど、それがまったくないから怖いと思って。なんで、こんなに歌詞が頭に入ってくるのかがわからなかったです。これだけいいクセのある歌い方、素晴らしい声があったらそれだけで十分なんですよ。例えば、ライブで歌詞が聞こえなかったとしても入り込んでいくだけの歌声を持っているんですけど、それだけじゃない。イヤフォン越しじゃなくても、どんどん言葉が入ってくるというのは、言葉にちゃんと重みがあるからなわけで。この大人ばかりいる環境にいきなり加わって、ここまで自分のやりたいことをやって等身大とズレがないのは恐ろしいです。だからこそ、この人を発見したスタッフさんたちもすごいと思うし、この人が音楽を続けられる環境にするにはどうしたらいいんだろうと考えちゃうくらい。あと、単純にすごくクールで、ヘビーで、超カッコいいアルバムだなって。
みゆな ああ……こうして憧れの方とすごく早い段階で対バンをさせていただいて、今回は対談にも応えてくださって。私が今、Emiさんとしゃべっていることだけでなく、こうして褒めてくださったという事実が一生世に残るというのが本当に光栄です。だって憧れの人とこんなにすぐ会えるなんて不思議なことだと思うし、こんな大好きな人から自分の曲を褒めていただけるなんて想像できなかった。なんか……今日は夢が叶いました。「進め」の「今も輝いている君に『凄いね』って 言われるために」という歌詞って、憧れのアーティストさんのことを思って書いたんですよ。この当時は、ONE OK ROCKさんしか知らなかったので「ONE OK ROCKにすごいと言われたい」と思って書いたけれども、こうやって音楽を始めてから2年の間でたくさんの音楽に出会って。その中でもEmiさんは本当にすごいなと思った方でした。私、こんなに聴き続けたいと思った女性アーティストさんが今までにいないですし、すごくカッコいい女性だと思ってます。
カッコいいって何回言いました?
──みゆなさんがこれからどんな作品を作るのかも楽しみになりますね。
Nakamura はい。純粋にこれから先が楽しみだなって思いました。17歳になったみゆなちゃんのアルバムを聴けるのはありがたいし、これを聴いた10代の子は「私もやってやろう」と奮起するだろうなって。だって彼女の倍も生きている30代の私が「よし、がんばろう」とか「ああ、やんなきゃ」と感じさせられるということは、同年代の子は悔しくてしょうがないんじゃないかなと思うんですよ。
──そうですね。
Nakamura さっき、みゆなちゃんは「自ら思っていることを言うのは無理だから、誰か主人公を立てて、そこに思いを乗せている」と話していましたけど、私は自分のことを書いて、自分の言葉で、自分に対して歌っています。聴いているお客様には申し訳ないけど、曲の中にリスナーさんがいなくて。
──なるほど。
Nakamura 自分のことを歌っているから、その中で何か皆さんに響くことがあったらうれしいし、歌詞に汚い言葉が入っていても「自分に対しての言葉だから、それは皆さんへ向けたものじゃないんです」という思いがあったんです。だけど歌詞を作り続けていく中で、自分だけの思いだけでは書けないときもある。みゆなちゃんの話を聞きながら、“誰かを作って、その人と共に自分の思いを乗せる”のは試したことがなかったので、そういう枠を今日はもらいましたね。だから、違う目線で自分の曲を書いてみようかなと思いました。
みゆな 逆に、私はよろしくない言葉を書いたとしても「他人だから」と思える。だから私は自分に甘いんですよ(笑)。「別の人に例えて歌っているし」みたいな。この音楽業界へ足を踏み入れるのがとにかく不安だった時期に、Emiさんの「YAMABIKO」と「メジャーデビュー」に出会えて自分に忠告をされているような気がしました。「Don't」もすごくカッコよくて大好きですし、とにかく歌詞が大好きなんです。ああやって、すべての思いを乗せることって私にはできない。「なんでこんなにリアルなんだ」と考えたら、誰のことも気にしてないからなんですよね。私だったら「これを言って事務所の人は大丈夫かな」と思っちゃうことも、Emiさんは構わずに書けちゃうのがカッコよくて、そこに憧れるんです。自分が言えないことを、そのまま代弁してくれているからカッコいいなって。私は誰かに例えないと歌えない人だから、すごくカッコいいです。えっと……私、今日「カッコいい」って何回言いましたかね(笑)。
Nakamura あはははは(笑)。
みゆな流の愛情表現が止まらない
──ひと言ひと言、言葉を真摯に選びながら「カッコいい」と言ってるから、すごく愛を感じます。
みゆな もう本当に……愛してます。Emiさんと年が近かったら、もっと仲良くできるのになって思います。仲良くしたい人でも年齢の壁を感じたり、17歳で申し訳ない気持ちになったりするんですよね。だから早く生まれていたらと思うんですけど、こうやって対談の企画を設けてくださって、本当に心優しい方だなと思います。
──みゆなさんは同性や異性に関わらず、愛してる人に「愛してます」って言える人ですか?
みゆな 異性には言えないですけど、憧れている人には素直に言えちゃいます。私、初めて対バンしたときに言いましたもんね? 初対面なのに「オムツ替えさせてください」って。
Nakamura 言ってた!(笑) 「おばあちゃんになったら、私がオムツを替えますから安心してください!」って。
みゆな ヤバくないですか!? 初めての会話がそれですよ! そのあと長文のメッセージを送ったときにも「私がオムツを替えますから」って書きました。
Nakamura これで老後は安心ですよ(笑)。
みゆな オムツもお風呂もベッドもやりますから!
──Emiさんを相手に「オムツ替える」と言える感性が素敵ですよね。
Nakamura ね! うれしいです(笑)。
みゆな 初めてお会いしたとき、老後の話になったんですよね。それで私が「孤独死なんかさせませんよ!」と言ったんですけど、よく考えたら超失礼ですよね。
Nakamura そういう感覚で自分のことを考えてくれるって……滅多にないことじゃないですか。
──はははは(笑)。まあそうですよね。
みゆな 私みたいなのがいたら気持ち悪いですよね!?
Nakamura そんなことないよ。みゆなちゃんからは、受けたことのない愛情をもらってる感じ。
みゆな そうですか! じゃあ、私は大人になっても「オムツ替えるのまだですか!?」って言い続けますね。
──夏目漱石で言うところの「月が綺麗ですね」みたいな比喩表現ですかね。
みゆな 待ってください、それは美しすぎる例えです! 月とオムツはまったく関係ないけど……でも確かにプロポーズだ!
Nakamura (笑)。
みゆな ……そうか、変えればいいんだ! これから「アイラブユー」を訳すときは「月が綺麗ですね」じゃなくて「オムツ替えさせてください」に。うん、そうしよう!
Nakamura オムツの話はもういいから(笑)。
みゆな うふふ!(笑) すみません!
ライブ情報
- みゆな「ユラレル」リリースイベント
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- 2019年9月19日(木)東京都 代官山 蔦屋書店
- 2019年9月22日(日)大阪府 HMVグランフロント大阪
- 2019年9月28日(土)福岡県 タワーレコード福岡パルコ店
- 2019年10月6日(日)東京都 タワーレコード渋谷店 5Fイベントスペース
- 2019年10月13日(日)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
- 2019年10月22日(火・祝)北海道 HMV札幌ステラプレイス
- みゆな TOUR 2019 -ユラレル-
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- 2019年11月8日(金)大阪府 Shangri-La
- 2019年11月10日(日)福岡県 ROOMS
- 2019年11月16日(土)東京都 下北沢GARDEN
- 2019年11月22日(金)愛知県 BLcafe
- 2019年11月24日(日)宮崎県 SR BOX
- QUATTRO MIRAGE presents「TOUR MIRAGE 2019」
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<出演者> 安藤裕子 / NakamuraEmi / みゆな(東京公演オープニングアクト)
- 2019年10月2日(水)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2019年10月3日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2019年10月7日(月)東京都 渋谷CLUB QUATTRO