日本人たるスタイルは気持ち強めに持っておきたい
──MIYAVIは「ギターで世界を踊らせる」という目標を標榜しています。SKY-HIの現在の目標はどうですか?
SKY-HI 今はまだ日本も海外もどっちも捨てたくないなという思いが強いですね。例えば海外に出て活躍している日本のラッパーで言うと、音楽に敏感な日本の人たちはKOHHの話をしますよね。でもライブハウスとかPAの人たちにKOHHやSALUの話をしてもまったく通じないときもあって。諸々のルーツを1回置いといて、自分が全編英語詞でずっとトラップのノリの曲を作るというのはちょっと考え難い。かと言ってUSの音楽のマナーにまったく適応しないものを作るのももったいないと思う。何かを極端に突っぱねたくないという気持ちですね。
MIYAVI 俺の場合、答えは“カリフォルニアロール”でした。結果、世界中の人を寿司まで導いて日本食を広めるきっかけになった。寿司職人の方は認めないかもしれませんし、俺も本当の寿司かどうかはわからない。けれど、確実にあれこそが本当にグローバルな寿司だったと思う。野球なら野茂(英雄)さんやイチローさんがカリフォルニアロールを作った。音楽は俺たちの世代が作らなければいけない。メディアもリスナーも一緒になって変えていかないと何も変わらないと思います。
SKY-HI そうですよね。KOHHの「ナイキ」や「ワールドワイド」という発音をアメリカ人が聴いて爆笑するのとか、今では彼も意識的にそう発音しているのかもしれないけど、向こうでウケた最初の頃は絶対天然だったと思うんです。個人的には、世界でがんばろうと思えば思うほど、ジャパニーズバイブスと言うか、日本人たるスタイルは気持ち強めに持っておきたい。たぶんONE OK ROCKは思いきりUSマナーにのっとることを意識して活躍している例だと思うし、人によって導き出す答えも違うと思うんですけどね。
MIYAVI だからこそチャレンジし甲斐もあるし面白いんだよね。ぶっちゃけ、ラップならチャンス・ザ・ラッパーでもケンドリック・ラマーでも、すげえやつはもうゴロゴロいるわけだから、普通にUSマナーでやる必要なんてないし、むしろ太刀打ちできない。日本語ラップもそうかもしれないけど、言葉って歴史と生活で身に付くわけで、経験が欠けていたら土台無理だよね。だからこそ、そこをどう解釈して、自分なりに世界へのコミットの仕方をどう見出すかにかかってくる。英語の発音だって、それでちゃんと伝わるのならばアクセントがあって全然いいし、むしろそっちのほうがカッコいい。とにかく伝われば勝ちだと思います。
DJに近い感覚でギタリストをやっている
SKY-HI Red Bull TVで海外のフェスを観ていると、1つのチャンネルの中に3つくらい枝分かれしたチャンネルがあって、ステージ別に映したり、トーク番組みたいなのを映したりしているのが面白くて。
MIYAVI 今は「コーチェラ」(Coachella Valley Music and Arts Festival)も「ウルトラ」(Ultra Music Festival)も全部配信しているからね。音楽だけじゃなくて、体験するという価値も変わってきていると思います。
SKY-HI インターネットメディアのおかげで海外が身近に感じられるというのもありますね。海外のフェスを観るとセットリストの組み方とかは影響されます。あっちは1分半くらいでどんどん次の曲に行ったりするじゃないですか。
MIYAVI うん。
SKY-HI その分、かつての「We Are The World」(有名アーティストたちが集った“USA For Africa”が1985年にリリースしたチャリティソング)みたいな曲は生まれづらい時代になりましたよね。そう言えば今回のアルバムって、スラップ奏法で弾いているのは1曲だけですよね。スラップを減らした理由は何かあるんですか?
MIYAVI それこそケンドリック・ラマーとかトゥイスタみたいな“速弾きラッパー”でも、言葉の意味がきちんと飛び込んでくるでしょ? それをギターに置き換えてみてもいいんだけど、言葉が伴わないから、スラップがあまりに速いと、あまり頭に入ってこない。入ってきても、フレーズが残らない。特にアメリカ、西海岸のリスナーとかの反応を見ているとすごく興味深いです。例えるなら日本のポップスって比較的音数の多いおせち料理だけど、向こうはバンズにレタスとトマトを挟んであとはポテトを揚げたらもうおしまいだから(笑)。興味深いことに、同じ海外のお客さんでも、昔からYouTubeで俺のことをチェックしてくれていたようなファンと、出演したハリウッド映画から俺の存在を知って観に来てくれたお客さんとでは、明らかにスラップへの反応が違ったり。
SKY-HI あとこのアルバムって、いろんな人が参加しているにも関わらず、不思議とカラーがしっかりと統一されているあたりも面白いなあと思いました。
MIYAVI そこはレニーのおかげかな。あとはギターミュージックを根幹に据えたことで、金太郎飴じゃないけど、どこを切ってもMIYAVIサウンドに仕上げることができた。ある意味、DJに近い感覚でギタリストをやっていると言うか。
SKY-HI それ、すごくわかりやすいです。
──話はまだまだ尽きませんが時間となりました。いつか2人で一緒に「Gemstone」をプレイするステージの実現を楽しみにしています。
MIYAVI そうだよね。どこかでやろうよ!
SKY-HI やりましょう、ぜひ!!
- MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2」
- 2017年11月8日発売 / Virgin Music
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初回限定盤 [CD+DVD]
5400円 / TYCT-69120
- CD収録曲
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- Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知
- Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI
- Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI
- Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL(m-flo、PKCZ)
- Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato(coldrain)
- No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな
- Flashback / MIYAVI vs KenKen(LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash)
- All My Life / MIYAVI vs HYDE
- Forget You / MIYAVI vs シェネル
- Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「Dancing With My Fingers」MIYAVI vs 三浦大知 Music Video
- 「MIYAVI 15th Anniversary Live"NEO TOKYO 15"」ライブ映像5曲
- 「MIYAVI 15th Anniversary Live"NEO TOKYO 15"」ドキュメント映像
- SAMURAI SESSIONS vol.2 発売記念ツアー"Day 2 Begins"
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- 2017年11月30日(木)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年12月2日(土)大阪府 なんばHatch
- 2017年12月7日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- MIYAVI(ミヤヴィ)
- 1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。2002年10月にアルバム「雅楽 -gagaku」を発表し、ソロ活動を開始する。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表し話題を呼んだ。ほかにも布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。さらに2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集めた。また同年の12月には俳優として出演したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2016年8月にはニューアルバム「Fire Bird」を発表。2017年4月にデビュー15周年を飾るベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」をリリースし、収録曲「Live to Die Another Day -存在証明-」を木村拓哉主演、三池崇史監督の映画「無限の住人」主題歌として提供した。11月にはニューアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.2」を発表し、東名阪ツアーを開催する。
- SKY-HI(スカイハイ)
- ラッパー、ソングライター、歌手など幅広く活動を行うアーティスト。2005年にAAAのメンバーとしてデビューし、同時期からSKY-HIとして都内クラブで活動をスタートさせる。さまざまなラッパーとのコラボレーション企画「FLOATIN' LAB」を2011年に始動し、翌2012年に同企画のコンピレーションアルバム「SKY-HI presents FLOATIN' LAB」を発売。2014年3月には1stアルバム「TRICKSTER」をリリースした。2016年に初のホールツアー「SKY-HI HALL TOUR 2016 ~Ms. Libertyを探せ~」を行い成功に収める。2017年1月に3rdアルバム「OLIVE」をリリースし、5月には東京・日本武道館で単独公演を開催した。10月に最新シングル「Marble」を配信限定で発表。現在は海外7公演を含むツアー「SKY-HI Round A Ground 2017」を開催している。
- SKY-HI
- SKY-HI(AAA日高光啓)(@SkyHidaka) | Twitter
- SKY-HI(日高光啓)オフィシャルブログ「SKY'sTHE LIMIT」Powered by Ameba
- SKY-HIの記事まとめ
- SKY-HI Round A Ground 2017
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- 2017年10月11日(水)北海道 帯広MEGA STONE
- 2017年10月12日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2017年10月20日(金)台湾
- 2017年10月22日(日)香港
- 2017年10月25日(水)千葉県 KASHIWA PALOOZA
- 2017年10月27日(金)神奈川県 Yokohama Bay Hall
- 2017年10月28日(土)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2017年11月1日(水)山口県 周南RISING HALL
- 2017年11月7日(火)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2017年11月8日(水)埼玉県 西川口Hearts
- 2017年11月12日(日)アメリカ ロサンゼルス
- 2017年11月15日(水)アメリカ ニューヨーク
- 2017年11月18日(土)フランス パリ
- 2017年11月19日(日)イギリス ロンドン
- 2017年11月22日(水)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2017年11月24日(金)富山県 MAIRO
- 2017年11月25日(土)福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
- 2017年11月27日(月)香川県 高松festhalle
- 2017年11月29日(水)長崎県 DRUM Be-7
- 2017年11月30日(木)大分県 DRUM Be-0
- 2017年12月2日(土)山形県 山形ミュージック昭和Session
- 2017年12月9日(土)岐阜県 岐阜club-G
- 2017年12月11日(月)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
- 2017年12月12日(火)東京都 チームスマイル・豊洲PIT