三浦大知はすごい努力家
──ではここからは収録曲について、駆け足で聞いていきます。まずは「Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知」から。 この曲は、映画「無限の住人」で仕事を共にした三池崇史監督がミュージックビデオを手がけていますね。
この撮影はロスから帰国した足でそのままスタジオに入ったのに、大知くんのダンスに煽られて本気でステップ踏んだからさすがに疲れました(笑)。
──ダンスはもちろんのこと、今さらながらですが、三浦さんって歌もうまいですよね。
うん。しかもダンスしながらだからね。すごい努力家だと思う。だから今回はぜひ、と思ってお願いしました。もともと彼とは亀田誠治さんつながりで出会ったので、この曲のトラックではシークレットゲストじゃないけど、亀田さんにベースを弾いてもらいました。
──2曲目は「Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI」。SKY-HIさんとはラジオ番組で出会ったということですが。
はい。出会ってから随分と経って、彼も今、ソロでラッパーとしてもとてもがんばっていて、その姿から今の若い子たち、特に夢も未来も漠然としている子たちに対して「それでいいんだよ」と言えるような曲を作れたらと思いました。この曲は舞台版の「TOKYO TRIBE」の音楽に使われましたが、燃えたぎるようなエナジーと、ある種の焦燥感、ストリート感も意識して盛り込みました。
──3曲目は「Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI」です。SHOKICHIさんとの接点は?
「BPM~BEST PEOPLE's MUSIC」というAbemaTVの番組に呼ばれたとき、一緒に彼の曲をパフォーマンスしたのがきっかけですね。すげえピュアで熱い男です。EXILEって、何か漠然と“男の美学”みたいなイメージがあって。だから映画「ファイト・クラブ」の感じというか、女人禁制のイメージというか、リングの上で戦っている感じにしようと。実は仕上がりの2倍ものリリックを書いてくれて、結果的に間引いたんだけど、すごい熱量で臨んでくれましたね。
──4曲目は「Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL (m-flo / PKCZ®)」。これ、MIYAVIとしてはひさびさの享楽的なナンバーですね。
しかもカラオケとかコンパで歌えるという、俺1人の引き出しからは絶対に生まれない曲(笑)。トラックはVERBALチームのルーク(・ヴァレンタイン)が組んだものに、俺がギターを弾き倒して作りました。VERBALさんは本当にグローバルな感性の持ち主で、ドメスティック含め、何がイケてて何がイケてないかをよくわかっている人。彼だからこそ“バンザイ”や“カンパイ”をアートで表現できる。海外に対しての嗅覚と国内におけるプレゼンスのバランスという意味において、尊敬しています。個人的に、次世代のタモリさんだと思ってます(笑)。
日本のヒップホップのアイデンティティはどう確立されるのか
──5曲目は「Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato(coldrain)」です。
ベースのRxYxOってヤツが、すっげえ熱苦しいヤツなんですけど(笑)、バンドもいい意味ですげえ熱くって。もともと「東京ヴァンパイアホテル」(Amazonプライムビデオのオリジナルドラマ)の主題歌として作ったんですけど、この曲が持つ、ちょっと毒々しくて退廃的な部分がMasatoの声やイメージと合うんじゃないかと思ってオファーしました。早くライブでプレイしたいですね。
──6曲目は「No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな」。女性ラッパーのちゃんみなさんは現在18歳の注目株です。曲もさることながら、彼女についてのWikipediaを見ると「愛称は『練馬のビヨンセ』」と書かれているのが面白いなと。
どちらかと言えばニッキー・ミナージュだと思うんだけど(笑)、彼女自身は、まあ本当に生意気でふてぶてしい(笑)。でも、中身は本当はとてもかわいらしい女の子なの。今回「NEO TOKYO15」で対バンもしましたが、フレッシュだし、素晴らしい存在ですね。勝手ながらすごく期待しています。
──SKY-HIさんであり、ちゃんみなさんであり、MIYAVIは現在の日本のヒップホップについてはどんな印象を抱いていますか?
いろいろと変わってきているんだとは思います。あとは言葉に対しての確固たるアイデンティティでありオリジナリティを、どう昇華していくかなんじゃないかなと。アメリカではケンドリック・ラマーとかA$APファミリーとか、新しいヒップホップ全体が盛り上がっていて。この前もBeatsとBalmainのパーティで、Migosがプレイしていて、チャンス・ザ・ラッパーが来ていた。俺もジー・イージーが好きだからちょっと挨拶させてもらいました。日本人がヒップホップをやるアイデンティティをどう確立していくのかは、俺自身、興味深いですね。その戦いは自分の戦いとも共通するところがありますからね。
──7曲目は「Flashback / MIYAVI vs KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)」。Kenkenとのコラボレーションです。
実はこの曲に関しては、まだ歌詞もない状態で一緒にスタジオに入って、いろいろと試行錯誤しながらやってくれたものを、最後にこっちで料理したという感じ。だから純粋なジャムと違うので、ちょっとKenKenには悪いことをしたと言うか、仕上がりを聴いて「こうなったんだ!?」と思っているかもしれない(笑)。でも、プレイの質感がお互い似ているし、いいテイクをたくさん残してくれたので、アレンジするうえですぐイメージが湧きました。ただ、先にアニメの主題歌の話があって、その世界観にインスパイアされて作ったので、この曲と「All My Life / MIYAVI vs HYDE」は完成までかなり時間がかかった2曲でした。
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HYDEとのコラボ曲は「キャンプファイアーで歌えるように」
- MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2」
- 2017年11月8日発売 / Virgin Music
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初回限定盤 [CD+DVD]
5400円 / TYCT-69120
- CD収録曲
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- Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知
- Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI
- Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI
- Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL(m-flo、PKCZ)
- Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato(coldrain)
- No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな
- Flashback / MIYAVI vs KenKen(LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash)
- All My Life / MIYAVI vs HYDE
- Forget You / MIYAVI vs シェネル
- Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「Dancing With My Fingers」MIYAVI vs 三浦大知 Music Video
- 「MIYAVI 15th Anniversary Live"NEO TOKYO 15"」ライブ映像5曲
- 「MIYAVI 15th Anniversary Live"NEO TOKYO 15"」ドキュメント映像
- SAMURAI SESSIONS vol.2 発売記念ツアー"Day 2 Begins"
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- 2017年11月30日(木)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年12月2日(土)大阪府 なんばHatch
- 2017年12月7日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- MIYAVI(ミヤヴィ)
- 1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。2002年10月にアルバム「雅楽 -gagaku」を発表し、ソロ活動を開始する。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表し話題を呼んだ。ほかにも布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。さらに2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集めた。また同年の12月には俳優として出演したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2016年8月にはニューアルバム「Fire Bird」を発表。2017年4月にデビュー15周年を飾るベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」をリリースし、収録曲「Live to Die Another Day -存在証明-」を木村拓哉主演、三池崇史監督の映画「無限の住人」主題歌として提供した。11月にはニューアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.2」を発表し、東名阪ツアーを開催する。
2017年11月16日更新