音楽ナタリー Power Push - MIYAVI

変化を恐れない男の15年間とこれから

出会いで自分が
どんどん変わっていく

──拠点をロスに移して3年が経ちました。アルバム「MIYAVI」と「Fire Bird」のときのインタビューでは「世界を踊らせたい。でも世界は広い」「やっぱりアメリカはデカい」と話していましたが、そうした距離感に変化は生じていますか?

世界は確実に小さくなった気がする。もちろん自分の知名度はまだまだだし、物理的には世界にせよアメリカにせよ今でもデカいよ? 音楽の土壌とか市場とか、キャパシティやダイバーシティといった視点で言ってもすごくデカい。でも自分の行動範囲が広がったという意味ではロスと日本の距離感も縮んだし、どこへでもすぐに飛べるし、何だってすぐにやれる。“使命”が増えたと言うとちょっと大げさかもしれないけど、世界を見渡してみたら、やるべきことが腐るほどあったという感じかな。だからいつもとにかく時間が足らない(笑)。

──当面は20周年という新たなディケイドに向けてまたここから前進していきます。今後の活動についてのイメージは?

まあどう足掻いても年は取るから、いずれは誰かをプロデュースしてみたいとか、そのぐらいぼんやりしたイメージはあるけど。さっき話した教育の話題に戻っちゃうんだけど、何を残すかという意識が、これまでは音楽であり作品だったんだけど、今はそれに“人”が追加されたというか。それはミュージシャンかもしれないし、そうじゃない人材かもしれないし。音楽だってバリバリ作るけど、農業やリサイクルについてもこれからもっと学んでいきたいし。出会いで自分がどんどん変わっていく。俺、(この取材日の)昨日タイから戻ったんだけど、今回は向こうでタンボウ(ヴァンジラメンディ)と呼ばれるお坊さんとの出会いがすごく大きかったんです。

MIYAVI

──どういう人物ですか?

タイやライス、ミャンマーで、農業も教育も全部つなげて啓蒙する活動を行っている人。人ってつまりは“what you eat makes yourself.”(食べ物が自分を作る)でしょ? 俺はここ数年、教育と食について何かしたいとずっとスタッフに話してきたんだけど、それぞれ別々に考えていた。でも彼はそれをつなげて一気にやっていたんです。彼のところでは国王がリサイクルに従事して、軍事政権のトップがペンキを塗って、プリンセスが田植えをしているんですよ。

人は絶対に太陽と風を浴びないとダメ

──ギターを手にして、デビュー15周年。本当にいろいろな眺めを見てきましたね。

これからどうなるかは分からないし、何かを表現するといううえで、究極的にはギターを置く日だってくるかもしれないし。

──それはないと思うと言いたいけれど、ここまでの話を聞いているとあながちまったくないとも言い切れない気がしてきます。

まあさすがにギターは好きだしずっと弾いていると思うけど、あくまで世界を変える手段が変わったら、そのときは手段を選ばないという喩え話ですね。ともかく胸を張ってカッコつけていきたい。だって日本の子どもたちや難民キャンプの子たちに「ロックスターになりたい」って思ってもらいたいじゃないですか。だから俺にとっては難民キャンプの子供たちの前でギターを弾くのもアリーナクラスの会場でギターを弾くのも感覚は同じなんだよ。違うのはギャラだけね。難民キャンプは自腹だから(笑)。

──(笑)。

それは政治に特化して音楽をやるっていうことじゃなくて、ただ最低限のチャリティやボランティアをカッコよくやりたいというだけです。まさか自分が水色の帽子(=UNHCRのキャップ)を被る日が来るなんて想像もしなかったけど(笑)、それをクールにできたら、世界が少し変わるかもしれない。ゴミを分別するほうがクールだとか、いじめないことがクールだとみんなが思えば、それは何かのきっかけになるかもしれない。アンジーもそういう視点でこうした活動に携わっているんだよね。子供が6人いて「世界中をロックさせるわよ!」と言っている姿なんて、理屈抜きでカッコいいじゃないですか?

──そうですね。

  • MIYAVI
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だから俺ももっとロックしていきたい。あと言いたいのは、さっきも別の取材で青山の街を歩いてきたんですが、東京はいい街だけど、都会にずっといたら空は狭いし、陽射しも風も入ってこない。これじゃ心が滅入ってくる。特にアジアをツアーで周ったからすごく感じるんだけど、人は絶対に太陽と風を浴びないとダメ。みんなもっと浴びよう!

──15周年のベスト盤のインタビューの締めが「もっと太陽と風を浴びよう!」というのも“メニューのない寿司屋”ならではですね(笑)。

でしょ?(笑) これからもギターと歌で表現して、今この瞬間に感じることを、こういうルックスのままで語っていきたいと思います。

ベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」 / 2017年4月5日発売 / Virgin Music
初回限定盤 [CD2枚組+DVD] 8424円 / TYCT-69114
通常盤 [CD] 2700円 / TYCT-60097
iTunes Storeはこちらから
DISC 1 -DAY 1-
  1. What's My Name? -Day2 mix(新録)
  2. Universe -Day2 mix (新録)
  3. Ahead Of The Light -Day2 mix(新録)
  4. 素晴らしきかな、この世界 -What A Wonderful World -Day2 mix(新録)
  5. Guard You -Day2 mix(新録)
  6. Live to Die Another Day -存在証明-
  7. What's My Name?
  8. Survive
  9. Torture
  10. Strong
  11. Day 1
  12. Ahead Of The Light
  13. Horizon
  14. Secret
  15. Real?
  16. Let Go
  17. The Others
  18. Afraid To Be Cool
  19. Fire Bird
  20. Long Nights
DISC 2 -DAY 0-(初回限定盤のみ)
  1. ロックの逆襲 -スーパースターの条件-
  2. Freedom Fighters -アイスクリーム持った裸足の女神と、機関銃持った裸の王様-
  3. 結婚式の唄-with BAND ver.-
  4. セニョール セニョーラ セニョリータ
  5. 愛しい人(ベタですまん。)-2006 ver.-
  6. Dear my friend -手紙を書くよ-
  7. 君に願いを
  8. Selfish love -愛してくれ、愛してるから-
  9. 咲き誇る華の様に -Neo Visualizm-
  10. 素晴らしきかな、この世界 -What A Wonderful World-
  11. 陽の光さえ届かないこの場所で feat. SUGIZO
  12. Girls, be ambitious.(インディーズ盤音源)
DVD(初回限定盤のみ)
  • MIYAVI Japan Tour 2016“NEW BEAT, NEW FUTURE”Tour Final 幕張メッセLIVE映像(約87分予定)

NTT Docomo presents MIYAVI 15th Anniversary Live "NEO TOKYO 15"

2017年5月21日(日)東京都 赤坂BLITZ
<出演者> MIYAVI / THE ORAL CIGARETTES
2017年5月25日(木)東京都 UNIT
<出演者> MIYAVI / GLIM SPANKY
2017年5月26日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
<出演者> MIYAVI / ゆるめるモ!
2017年5月28日(日)東京都 下北沢GARDEN
<出演者> MIYAVI / LOCAL CONNECT
2017年6月6日(火)東京都 赤坂BLITZ
<出演者> MIYAVI / 金子ノブアキ
2017年6月10日(土)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
<出演者> MIYAVI / coldrain
2017年6月11日(日)東京都 LIQUIDROOM
<出演者> MIYAVI / 04 Limited Sazabys / 魔法少女になり隊
2017年6月12日(月)東京都 LIQUIDROOM
<出演者> MIYAVI / SiM
2017年6月15日(木)東京都 TSUTAYA O-EAST
<出演者> MIYAVI / Crossfaith
2017年6月21日(水)東京都 clubasia
<出演者> MIYAVI / Crystal Lake
2017年6月22日(木)東京都 TSUTAYA O-WEST
<出演者> MIYAVI / OKAMOTO'S
2017年6月24日(土)東京都 WWW
<出演者> MIYAVI / Charisma.com
2017年6月25日(日)東京都 WWW X
<出演者> MIYAVI / ちゃんみな
2017年6月27日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
<出演者> MIYAVI / ACIDMAN
2017年6月29日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
<出演者> MIYAVI / 三浦大知
MIYAVI(ミヤヴィ)
MIYAVI

1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。2002年10月にアルバム「雅楽 -gagaku」を発表し、ソロ活動を開始する。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表し話題を呼んだ。ほかにも布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。さらに2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集めた。また同年の12月には俳優として出演したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2016年8月にはニューアルバム「Fire Bird」を発表。2017年4月にデビュー15周年を飾るベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」をリリースし、5月からは東京都内で15公演にわたる対バンライブ「NTT Docomo presents MIYAVI 15th Anniversary Live "NEO TOKYO 15"」を行う。


2017年3月31日更新