音楽ナタリー Power Push - MIYAVI

変化を恐れない男の15年間とこれから

木村拓哉があらゆるものと闘っている姿から
インスパイアされた

──では今回のベストアルバムについてお伺いします。初回限定盤は2枚組です。まずDISC 1の"-DAY 1-"は、ソロアーティストとしてデビューして以降、オルタナティブな音楽性へと移行した時期から直近までのナンバーから19曲が選ばれています。しかもうち5曲は新録ですね。

普通、ベスト盤って予算をかけずに在りものをまとめて作るものだろうから、まあレーベルに無理を通して作ったことが感じてもらえるのではないかなと(笑)。

──まあそうですね(笑)。この5曲はどういう基準で選んだのですか?

最近のライブのセットリストから選んだ5曲です。俺の最新のモードを感じてもらえるんじゃないかと思って。本音を言うと俺的にはすべて新録にしたかったんだけど、そんな時間も予算もさすがになかった(笑)。それにもう裏では新しい曲がバシバシできあがっている最中なので。

──この新録では「Fire Bird」で全開させていた“自己解放”モードが踏襲されていますね。

そうですね。つまりレニー・スコルニック(※「Fire Bird」の共同プロデューサー)の存在がすごくデカかったということです。BOBOが演奏面で俺を解放させてくれた重要人物だとすれば、レニーは創作面で解放させてくれた重要人物ですね。

──そして"-DAY 1-"には新曲「Live to Die Another Day -存在証明-」も収録されています。これは映画「無限の住人」の主題歌のために書き下ろした曲ですが。

主題歌のオファーをいただいてラッシュの状態の本編を観たら、木村拓哉があらゆるものと“闘っている”映画だと感じたので、そこからのインスパイアをもとに書き下ろしました。

──SMAPは昨年惜しくも解散してしまいました。彼らに楽曲提供をしていたMIYAVIが、SMAPや現在の木村さんに思うことは?

まずSMAPについて言うと、俺はロスで暮らしているから事情にも人一倍疎かったんだけど、解散は残念だったし、応援してきたファンの人たちの気持ちの大きさは揺るぎのないものだと思う。でもこの先5年後でも10年後でも、もしまた「一緒にやろうよ」というときがきたら、一体どんなSMAPが観られるのか?と想像すると、わくわくしてくるじゃないですか。だから今となってはそういう気持ちに切り替えて応援していくのが健全じゃないかと思います。だからこそ、そういう期待も込みで、1人になった木村拓哉の活動も揺らいじゃいけない。プレッシャーかもしれないけど、必ず次につながっていく活動じゃなければならないなと。

──なるほど。

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俺も演技の経験があるので、いろんな日本の俳優を勉強した時期があるんです。その過程でも感じたんだけど、三船敏郎や勝新太郎や高倉健や菅原文太や松田優作らが名を刻んできた日本の偉大な映画スターの系譜に、俺は木村拓哉が名を連ねるべきだと思っていて。ジャニーズもグループも関係ない状態で、これからの彼がどう勝負していくのか、俺はすごく楽しみにしています。本人が望まざるとも、そういう宿命を背負っているクラスのスターだと思うしね。でも絶対にそうなると思う。彼の声にはそのためのフリーケンシー(周波数)があると俺は感じているので。

──フリーケンシー?

声質であり声の響き方かな。さっき名前を挙げた大物俳優はみんな持っているんだよ。木村拓哉も持っている。よくスターのオーラとか言うでしょ? それも間違いなくそうした声質に関係しているの。

──鳥肌が立つ話ですね。

ぜひ注意深く聞いてみて下さい。骨格なのか姿勢なのか何が作用しているのかはよくわからないんだけど、彼らの声質には確かに人を魅了する黄金比があるんですよ。

人間ってすごい、変わるべきときは変わる

──一方DISC 2の"-DAY 0-"は、ソロデビューして以降、ヴィジュアル系というカテゴリーの中で方向性を模索していた時期の楽曲で構成されています。

これはファンサービスの部分が大きいですね。これはねえ、聴けないよ、もう今の自分は(笑)。

──そういうものですか?

無理(笑)。でも、これも確かに俺の歴史の一部なんだよ。この時期があったから今の俺があるし、この時期に支えてくれて人たちがいたから今の俺がいる。もっと言えば"-DAY 0-"から"-DAY 1-"までの振り幅こそが俺なんだよね(笑)。「DAY 2」というタイトルを付けた理由はそこにあって、ここから「DAY 3」、「DAY 4」と続くかもしれないし、もしかしたらまったく違う地点に向かうかもしれない。それも含めて自分のアートだと感じてもらえたらと今は思っています。

──"-DAY 0-"収録の「Girls,be ambitions.」はインディーズ時代の音源を収録しています。これも言わばファンサービス的な理由からですか?

そうそう。本当はもっとそういう音源を入れたかったんだけど、レーベル側が嫌がるだろうからね(笑)。本当は入らない予定だったの。メジャーで一度録り直しているから、スタッフからはそれにしようと言われたんだけど、それだったら入れなくていいなと思って。こういうのを入れないんだったらオールタイムベストの意味がないなあと思って。

MIYAVI

──ちょうど昨晩、取材の予習も兼ねてこの曲の当時のMVを観ていましたが、ルックスもバリバリのヴィジュアル系だし、今とはキャラも別人と言うか。

まあね(笑)。あの当時、銀髪にしていたんで、ひさしぶりにやってみようかなと思い立って。だから今回のアーティスト写真も銀髪のヘアスタイルなんですよ。

──そういうことだったんだ?

昔のコスプレをするつもりはないから、今風にアレンジしてね。気付く人は気付いてくれるかなって(笑)。昔と同じスタイルにしても今は違うんだぜ?というのも感じてもらえたらと。

──ちょっとしたセルフオマージュでありユーモアですね。

そう。人間ってすごいよね、変わるべきときは変わるんだもん。ピカソもバスキアもそうだけど、死んで初めて成立するというか。ゴッホもフランスのアルル地方で描き始めてからタッチがどんどん変わっていった。人の一生にはそういうことも起こるんだってことを、俺の変化を通して感じてもらえたらいいですね。

ベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」 / 2017年4月5日発売 / Virgin Music
初回限定盤 [CD2枚組+DVD] 8424円 / TYCT-69114
通常盤 [CD] 2700円 / TYCT-60097
iTunes Storeはこちらから
DISC 1 -DAY 1-
  1. What's My Name? -Day2 mix(新録)
  2. Universe -Day2 mix (新録)
  3. Ahead Of The Light -Day2 mix(新録)
  4. 素晴らしきかな、この世界 -What A Wonderful World -Day2 mix(新録)
  5. Guard You -Day2 mix(新録)
  6. Live to Die Another Day -存在証明-
  7. What's My Name?
  8. Survive
  9. Torture
  10. Strong
  11. Day 1
  12. Ahead Of The Light
  13. Horizon
  14. Secret
  15. Real?
  16. Let Go
  17. The Others
  18. Afraid To Be Cool
  19. Fire Bird
  20. Long Nights
DISC 2 -DAY 0-(初回限定盤のみ)
  1. ロックの逆襲 -スーパースターの条件-
  2. Freedom Fighters -アイスクリーム持った裸足の女神と、機関銃持った裸の王様-
  3. 結婚式の唄-with BAND ver.-
  4. セニョール セニョーラ セニョリータ
  5. 愛しい人(ベタですまん。)-2006 ver.-
  6. Dear my friend -手紙を書くよ-
  7. 君に願いを
  8. Selfish love -愛してくれ、愛してるから-
  9. 咲き誇る華の様に -Neo Visualizm-
  10. 素晴らしきかな、この世界 -What A Wonderful World-
  11. 陽の光さえ届かないこの場所で feat. SUGIZO
  12. Girls, be ambitious.(インディーズ盤音源)
DVD(初回限定盤のみ)
  • MIYAVI Japan Tour 2016“NEW BEAT, NEW FUTURE”Tour Final 幕張メッセLIVE映像(約87分予定)

NTT Docomo presents MIYAVI 15th Anniversary Live "NEO TOKYO 15"

2017年5月21日(日)東京都 赤坂BLITZ
<出演者> MIYAVI / THE ORAL CIGARETTES
2017年5月25日(木)東京都 UNIT
<出演者> MIYAVI / GLIM SPANKY
2017年5月26日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
<出演者> MIYAVI / ゆるめるモ!
2017年5月28日(日)東京都 下北沢GARDEN
<出演者> MIYAVI / LOCAL CONNECT
2017年6月6日(火)東京都 赤坂BLITZ
<出演者> MIYAVI / 金子ノブアキ
2017年6月10日(土)東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
<出演者> MIYAVI / coldrain
2017年6月11日(日)東京都 LIQUIDROOM
<出演者> MIYAVI / 04 Limited Sazabys / 魔法少女になり隊
2017年6月12日(月)東京都 LIQUIDROOM
<出演者> MIYAVI / SiM
2017年6月15日(木)東京都 TSUTAYA O-EAST
<出演者> MIYAVI / Crossfaith
2017年6月21日(水)東京都 clubasia
<出演者> MIYAVI / Crystal Lake
2017年6月22日(木)東京都 TSUTAYA O-WEST
<出演者> MIYAVI / OKAMOTO'S
2017年6月24日(土)東京都 WWW
<出演者> MIYAVI / Charisma.com
2017年6月25日(日)東京都 WWW X
<出演者> MIYAVI / ちゃんみな
2017年6月27日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
<出演者> MIYAVI / ACIDMAN
2017年6月29日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
<出演者> MIYAVI / 三浦大知
MIYAVI(ミヤヴィ)
MIYAVI

1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。2002年10月にアルバム「雅楽 -gagaku」を発表し、ソロ活動を開始する。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表し話題を呼んだ。ほかにも布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。さらに2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集めた。また同年の12月には俳優として出演したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2016年8月にはニューアルバム「Fire Bird」を発表。2017年4月にデビュー15周年を飾るベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」をリリースし、5月からは東京都内で15公演にわたる対バンライブ「NTT Docomo presents MIYAVI 15th Anniversary Live "NEO TOKYO 15"」を行う。


2017年3月31日更新