ナタリー PowerPush - 雅-MIYAVI-
プロデューサー亀田誠治と手加減なしの“侍”対談
2011年10月より始動した雅-MIYAVI-がジャンルの異なるアーティストたちとセッションするプロジェクト「SAMURAI SESSIONS」。このたびKREVAと“対戦”したシングル「STRONG」を皮切りに始まった同企画の集大成とも言える作品「SAMURAI SESSIONS vol.1」がリリースされた。
ナタリーではリリースにあわせて、本作のプロデューサー亀田誠治を招き雅-MIYAVI-との対談を企画した。2人の“侍”は何を思いこのプロジェクトを立ち上げたのか。2人の言葉を通して「SAMURAI SESSIONS」に込められた願いを感じ取ってほしい。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 平沼久奈 ライブ撮影 / 福本和洋
「EMI ROCKS」が出会いのきっかけ
──雅-MIYAVI-さんと亀田さんが初めて会ったのはいつだったんですか?
雅-MIYAVI- 2011年に行われた「EMI ROCKS」で初めて声をかけられたんですよね。
亀田誠治 ライブがすっごい良かったんですよ。その前からYouTubeで映像は観てて、僕を含め周りが「雅-MIYAVI-がすごい」という感じになってて。「EMI ROCKS」で初めてライブを観れるっていうんで楽しみにしてたら、期待を裏切るどころか予想以上にすごかったんです。で、俺から声かけたんだよね?
雅-MIYAVI- すごい褒めてもらって。しかもめちゃめちゃフレンドリーだった(笑)。もう旧知の仲っていうか、何年も前から知ってる感じというか。
──いろんなアーティストに自分から積極的にアプローチしている雅-MIYAVI-さんでも驚くくらいだったと。
雅-MIYAVI- うん(笑)。でも実は昔俺、亀田さんにプロデュースをお願いしたことがあるんですけど……もう5、6年前かな。でもスケジュールが合わなかったり、いろいろ事情が重なってダメで。だからバックステージで声かけられたときはびっくりしましたね。
亀田 俺から食いついてったからね。
雅-MIYAVI- いやいや純粋にうれしかったです(笑)。
亀田 5年前はちょっと縁がなかったんだよね。でも「EMI ROCKS」の前くらいから、雅-MIYAVI-がギターでスラップ奏法を取り入れてて、ギターでベースのパートを弾いたり、とにかくギタリストとしてすごいことをしてる。それを知ってから、同じ時代の中で、同じ方向を向いている若者に出会ったみたいな感覚になったんですよね。
「やっと見つけた!」
──同じ方向っていうのは具体的にはどんなものなんですか?
亀田 それが今回の「SAMURAI SESSIONS」のコンセプトにもつながっていくんですけど、本能的に音楽を表現してるってことだね。だから雅-MIYAVI-が自分が持ってる熱を瞬間で爆発させていく姿をステージで観て、それがたまらなかったというか。「やっと見つけた!」みたいな感じでしたね。
雅-MIYAVI- 今回の「SAMURAI SESSIONS」は、普通にいろんなアーティストをフィーチャーするっていうんじゃなくて、対峙というか、音楽でガチでぶつかるっていうのをコンセプトにしていて、緊張感やスピード感を必要とする作品。だから根幹の部分を共有していないと無理だったろうし、能動的かつ本能的、そういう感性や熱量を亀田さんとは共有できたから今回の作品を作ることができたんだと思います。
亀田 とは言っても、あくまでメインは雅-MIYAVI-で、僕は相撲の行司みたいな役割なんだけどね。「VS」の間に入ってるみたいな。
雅-MIYAVI- 「VS」のところにちっちゃく「亀田誠治」って書いてください(笑)。
亀田 僕のことを行司みたいだっていうのは、雅-MIYAVI-が言ってくれたことで。自分でもそういう意識でやってたんだよね。例えば雅-MIYAVI-と対戦相手が土俵際までいって危ないとき……これ以上はミュージシャン同士のぶつかり合い、自己満足だけで終わっちゃうんじゃないかっていうときに「それは違う」っていう判断を下したりね。その一方で、わざとはみ出させて化学反応を起こさせたり。
雅-MIYAVI- 「SAMURAI SESSIONS」は俺の作品だし、俺じゃないとできない作品ではあるんだけど、俺だけでは作れない作品。これまでのキャリアの中でも自分でプロデュースしたりディレクションしたりしてきたけど、今回は亀田さんというプロデューサーがいたことによってプレイに集中できたし、アーティストになりきってワガママを言えた。いつもだいたいワガママを言うのも自分だし、それをコントロールするのも自分だからね。
亀田 雅-MIYAVI-は自分で全部できちゃうんですよ。
雅-MIYAVI- 今回はアーティストとして自分も爆発したかったので、亀田さんがいてくれたことによって純粋にアーティストでいられました。
亀田 ときには「危ない危ない!」って止めたりとか、まわしが外れそうになってるところを締め直したりとかね(笑)。
- ニューアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」 / 2012年11月14日発売 / EMI Music Japan
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3200円 / TOCT-29086
- 通常盤 [CD] / 1800円 / TOCT-29087
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収録曲
- MIYAVI vs HIFANA “GANRYU”
- MIYAVI vs KREVA “STRONG”
- MIYAVI vs YUKSEK “DAY 1”
- MIYAVI vs TAKESHI HOSOMI “SILENT ANGER”
- MIYAVI vs H ZETT M “PLEASURE!”
- MIYAVI vs HIROMITSU AGATSUMA vs JIN OKI “HA NA BI”
- MIYAVI vs SEIJI KAMEDA vs MIU SAKAMOTO “祈りを”
雅-MIYAVI-(みやゔぃ)
1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。エレクトリックギターをピックを使わずに全て指で弾くという、独自のスラップ奏法でギタリストとして世界中から注目を集めている。これまでに北米、南米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど約30カ国で200公演以上のライブを行い、3度のワールドツアーを成功させている。2010年10月リリースの最新アルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でロック、ファンク、ヒップホップ、ダンスなどジャンルを超越したオリジナルなサウンドを確立。さらに2011年10月からさまざまなジャンルの”サムライアーティスト”とのコラボレーション企画「SAMURAI SESSION WORLD SERIES」を始動。2012年11月にその集大成となるアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」をリリース。近年は他のアーティストやクリエイターからも高い評価を受けており、UNIQLO、東芝、日産自動車、ロッテ、大塚製薬のCMへの楽曲提供や、布袋寅泰、野宮真貴、GOOD CHARLOTTEらの作品への参加など、精力的な活動を続けている。
亀田誠治(かめだせいじ)
1964年アメリカ・ニューヨーク生まれ。1989年に音楽プロデューサーおよびベーシストとしての活動を始める。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、Do As Infinity、スガシカオ、アンジェラ・アキ、JUJU、秦基博、いきものがかり、チャットモンチー、エレファントカシマシ、WEAVER、植村花菜、ハナエ、MIYAVI VS KREVAなど数多くのアーティストのプロデュースやアレンジを手がける。また2004年夏に椎名林檎らと東京事変を結成し、数多くのヒット曲を発表。2012年閏日に惜しまれつつも解散する。2007年には「第49回日本レコード大賞」で編曲賞を受賞。2009年には自身初の主催イベント「亀の恩返し」を日本武道館にて開催した。