音楽ナタリー Power Push - 宮野真守
多忙なマルチプレイヤーの飽くなき挑戦
「うた☆プリ」第4期を象徴する歌詞
──歌詞も上松さんと宮野さんの共作ですね。
はい。実は、アニメの展開に絡んでくる言葉を選んでいるので、アニメを全話観終わったときに改めて読むと「ああ、そういうことだったのか」と思ってもらえるような、4期を象徴する歌詞にしました。
──アニメの内容を示唆するアニメソングというのはさまざまありますけど、「うた☆プリ」の場合は音楽を制作する上松さん自身が……。
原作者ですからね(笑)。より深く作品とリンクしていると思います。
──先ほど「波乱の第4期」という言葉も出てきましたが、歌詞から類推するに、ドラマチックな展開が待ち構えているのだろうなと。
そうですね。アニメと一緒に楽しんでもらえるんじゃないかと思います。歌詞もメロディもアレンジもドラマ性の強い仕上がりになったので、もちろん「テンペスト」も1つの物語として楽しんでもらいたいですね。
自分でも驚きの雨量
──「テンペスト」のミュージックビデオはまさに、アニメとはまた別のドラマチックな世界が構築されています。再生してしばらく音楽が流れず「……これは映画が始まるのか?」と思いました。
ありがとうございます。映画のような世界観は意識しました。この切なくシリアスなメロディに、より感情が乗せられる映像にしたくて。そして、テンペスト=嵐なので……これは濡れるしかないだろうと(笑)。一択でした(笑)。
──ズブ濡れシチュエーション一択で。じゃあどう濡れるか?と。
序盤は楽曲同様に嵐の前の静けさを表現しているのですが、結果、タイトル通り雨量がハンパないことになりました(笑)。自分でも驚きの雨量で(笑)。でも、だからこそ表現できる激情がうまく映像化できたと思います。
宮野真守にしか歌えない“組曲”
──そして16thシングルの「The Birth」は、宮野さんが主人公の永井圭を演じる劇場版アニメ「亜人」シリーズ3部作の最終章を飾る主題歌です。こちらも宮野さんの楽曲ではおなじみのサウンドプロデューサー、Jin Nakamuraさんとのタッグですが、この曲はどのように制作を進めたんですか?
「亜人」シリーズの瀬下寛之総監督から「最終章の主題歌は宮野くんに歌ってほしい」というありがたい言葉をいただいたので、ぜひ引き受けたいと。そこから瀬下総監督としっかり打ち合わせをして、どういう世界観で作っていくのかを話し合うところから始めました。「HOW CLOSE YOU ARE」(テレビシリーズ「亜人」第1クールのエンディングテーマ。2016年1月に宮野の13thシングルとしてリリースされた)のようなバラードにするのか、劇場版「亜人」の今までの主題歌を継ぐような、ザラついたゾクッとするような世界観をロックテイストで表現するのか。
──「HOW CLOSE YOU ARE」もJinさんのサウンドプロデュースでしたね。今回はバラードではなく、ロックを選んだと。
はい。Jinさんは「亜人」のことを理解してくれているので、まずは僕がどのように「亜人」が持つ世界観を音楽で表現したいのか、イメージを具体的に伝えました。そしたらJinさんは「『亜人』を踏まえたうえで、宮野自身の世界観を表現しよう。役者としていろんな役を演じてきて、なおかつ音楽でもいろんな表現に挑戦してきた、そんな宮野真守にしか歌えない曲を作りたい」と言ってくれて。それを表現するのが組曲なんだと。どんどん展開していく曲の中で、宮野真守がどんな表現をしていくのか。しかもそれをロックサウンドで見せていくという。
──なるほど。作詞は宮野さんご自身ですけど、これはご自身から?
作詞を誰にするか決める前から、この曲は自分で歌詞を書きたいと思っていたんです。総監督との打ち合わせの段階から「歌詞はこういう方向ですかね」と、自然と自分から話をしていました。ただ……あまりにも思いが強すぎて、どう口火を切ったらいいのか、何から書いてどこに終着すべきなのか、いざ書き始めようとしたら悩んでしまったんです。表現したい思いはあふれているんだけど、歌詞という限られた枠の中でどう書いたらいいのか。そんなときにJinさんからデモが届いたんですけど、そのタイトルが「The Birth」だったんです。そのタイトルを目にして急に世界が開けたというか、「あ、ここに向かっていけばいいんだ」と。
──へえ。曲作りの過程がすでにドラマチックですね。
そこからは早かったです。ただただ思いのままに書きました。
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収録曲
- テンペスト
- Sugar, Sugar
収録曲
- The Birth
- Gravity
MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2016 ~MIXING!~
- 2016年10月29日(土)兵庫県 ワールド記念ホール
- 2016年10月30日(日)兵庫県 ワールド記念ホール
- 2016年11月12日(土)愛知県 愛知県体育館
- 2016年11月19日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2016年11月26日(土)福岡県 アルモニーサンク北九州ソレイユホール
- 2016年12月3日(土)富山県 高岡市民会館
- 2016年12月4日(日)長野県 ホクト文化ホール
- 2016年12月10日(土)香川県 サンポートホール高松
- 2016年12月17日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2016年12月18日(日)神奈川県 横浜アリーナ
宮野真守(ミヤノマモル)
1983年6月8日、埼玉県生まれの声優、俳優、歌手。7歳から劇団ひまわりに所属し、子役として活動を始める。声優としてのデビューは2001年放送のNHK海外ドラマ「私はケイトリン」グリフェン役。以降はアニメ、ゲーム、洋画吹替など幅広く活躍し、2003年にはミュージカル「『テニスの王子様』 Remarkable 1st Match 不動峰」でも高い評価を集めた。ミュージカルや出演アニメのキャラクターソングで歌手としての実力も発揮し、2008年にシングル「Discovery」でアーティストデビュー。2009年3月には1stアルバム「BREAK」を発表した。ライブ活動も積極的に行っており、2013年10月には初の日本武道館公演「MAMORU MIYANO SPECIAL LIVE 2013 ~TRAVELING!~」を大成功に収め、2015年2~3月に開催された全国ツアー「MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2015 ~AMAZING!~」では最終公演として日本武道館2DAYSを行った。2016年は「HOW CLOSE YOU ARE」「SHOUT!」「テンペスト」「The Birth」と計4枚のシングルをリリース。夏には東京・帝国劇場で上演されたミュージカル「王家の紋章」に出演し、新たな一面を見せた。