miwaがキャリア初のベストアルバム「miwa THE BEST」を7月11日にリリースした。
2枚組となる本作には、デビュー曲「don't cry anymore」から最新楽曲「アップデート」まで、これまでリリースされてきた全28曲のシングル表題曲を時系列順で収録。それに加え、ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」挿入歌として書き下ろされた「Unchained Love」と、先日1周目が完結したアコギ1本で巡る47都道府県ツアー「acoguissimo」のテーマソング「アコースティックストーリー」という新曲2編、さらにmiwaにとっての原点でもありファンからも愛され続けている初期ナンバー「めぐろ川」がオリジナルバージョンで収められている。
音楽ナタリーではデビューから8年分の軌跡を網羅する初のベスト盤のリリースを記念し、miwa本人にインタビューを実施。作品にまつわるエピソードから、これまでの活動の中で培ってきたシンガーソングライターとしての揺るぎない矜持を紐解いていく。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / moco.(kilioffice)
アコギ1本で47都道府県制覇
──アコギ1本で47都道府県を巡るツアーシリーズ「acoguissimo」の1周目が、6月10日の神奈川・横浜アリーナ公演で完結となりました(参照:miwaがギター1本持ち47都道府県巡る「acoguissimo」地元神奈川で完結 )。まずはその感想から伺えればと。
約8年かけて全都道府県で弾き語りライブができたことは純粋にすごくうれしいですよね。初めて行く土地であっても、そこには自分の音楽を聴いて待ってくれている人がいるわけで。それってすごいことだよなって改めて感じられました。これでもう、日本にはライブをしたことのない土地がないというのもすごいことだなと思います。
──1人でステージに立つことで、アーティストとして鍛えられる部分もあったでしょうね。
そうですね。「acoguissimo」ツアーをするたびに、自分のギター演奏の成長を感じられる部分はありました。
──歌に関しても成長を実感するのでは?
歌もそうかもしれないですね。でも、歌よりはやっぱりギターのほうがより強く実感できるんですよ。昔はストロークや細かいピッキングで苦労していたけど、今はそれが自分のものとしてちゃんと定着している実感があって。さらに新しい技を身に付けようともしている。そういう成長はもちろんバンドの中での演奏やレコーディングなんかで手にしたものでもあるんですけど、それが弾き語りになると一気に浮き彫りになると言うか。自分の技量の確認ができる場でもあったなと思うんですよね。
──通常のライブとは違った緊張もあったりします?
デビュー前は1人でアコギ1本でライブすることが当たり前だったので、最初はその延長みたいな感覚でそれほど緊張はしなかったんですけど、今回はホールツアーでしたし、最終公演は横浜アリーナでしたからね。けっこうドキドキしました(笑)。会場が広くなる分、どの席にいるお客さんにもしっかり届くように演奏しようっていうのはいつも以上に意識していたかもしれないです。
──「acoguissimo」をライフワークにしていきたい気持ちもあるんじゃないですか?
そうですね。これで弾き語りライブを終わりにするわけではもちろんないし、47都道府県ツアーの2周目にも挑戦してみたい気持ちもありますから。これからも続けていきたいなって思っています。弾き語りは私にとっての原点でもあるので。
作った当時の熱もパッケージしたベスト盤
──さて、そんなmiwaさんがキャリア初のベストアルバム「miwa THE BEST」をリリースされました。2枚組の大ボリューム作ですね。
はい。デビューからの時間の中、いろんな出会いがあり、いろんな曲を書いてきたんだなと改めて思いました。曲調も歌詞のテーマも本当にさまざまなので、「miwaってこういうアーティストだよね」ってひと言では言い表せない感じもありますよね。それくらい濃厚な8年間を過ごしてこれたんだと思います。
──デビュ―当初から、1つのアーティストカラーに縛られない活動をしようと思っていました?
いや、最初はそうは思ってなかったと思います。ただ、時代の変化や私自身の変化などによって、作る曲の色もそのときどきで変わっていくので。自然とそういう流れになったのかなと思いますね。
──各楽曲、作った当時のことって鮮明に覚えていたりします?
うん、どの曲に対しても作ったときのことは鮮明に覚えてます。鮮明すぎるから懐かしさみたいなものもまったくないんですよね。それは自分でもちょっと不思議なんですけど。しかも今回のベストに入っているのはシングル曲ばかりなので、ライブでも歌う機会が多いじゃないですか。そういうこともあって自分の中ではどの曲もまったく色褪せてないと言うか。
──ご自身でそう思えるのは素晴らしいことですよね。
そうですね。それはきっと、関わってくださるミュージシャンやエンジニア、プロデューサーの方々も含めて、そのときのベストを尽くしているからだとも思います。自分自身も納得して作っているし、客観的に聴いても気に入っている作品ばかりなので。その分、毎回過去を超えていくのが大変だなとも思うんですけど(笑)、でもいい形で曲を出し続けてこられているのは自分としてもうれしいです。
──色褪せない曲たちがベスト盤として改めてまとめられることで、これまでのファンはもちろん、新たなリスナーにも響くと最高ですよね。
そう思います。過去の曲はひさしぶりにCDとしてパッケージされるわけですけど、今回改めてリマスターもされているので、作ったときの熱みたいなものが聴く人たちにまた新鮮に届いてくれたらいいなって思いますね。
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自分の声が好きじゃなかった