ナタリー PowerPush - 坂本美雨
“いいことしか起こらない”音楽の魔法
「私には歌があるじゃないか」
──例えば前作「I'm yours!」(参照:坂本美雨「I’m yours!」インタビュー)の「あなたが好きです」というテーマは、素直で無邪気な感情だったと思うんです。「好き」って伝えるだけなら、それはある意味簡単なことで。でも今回はそれを超えて「あなたは大丈夫」と言い切っている。そこには覚悟を決めて現実に向き合う力強さがあると思うんですよね。
うん、それはそうかも。
──その変化はどうして起きたんでしょう? 何かきっかけが?
そうですね……。出会いがあって、一緒に家庭を持とうっていう人ができたのが大きいと思う。実は今度結婚するんです。
──えっ! おめでとうございます。
ありがとうございます(笑)。3月1日に入籍するんです(参照:坂本美雨が結婚報告「入籍なう!」※このインタビューは2月に実施)。だから「大丈夫」って伝える対象には自然とその人も入ってると思う。肝が据わったというか。もちろんそれだけじゃないですけどね。やっぱり恋愛のことだけじゃないし。
──大事な人ができたことで、より強いメッセージを歌えるようになったのかもしれませんね。
でもそうやって大事な人ができたらできただけ、やっぱり怖い気持ちも膨らむんですよ。でも「絶対に大丈夫」って誰かに言う方法として「私には歌があるじゃないか」って、そう思わせてくれたのはその人です。私にとっての歌は大事な人を守るための傘なんです。サバ美も好きな人も、いろいろ守る力をくれる。
──結婚については公表するんですか?
うん、一応Twitterとかではサラッとご報告しておこうかなって思ってます。
──でも入籍って普通にスポーツ新聞とかに載るような話ですよね。
ほんとに? どうなんだろう?(笑)
スタッフ こちらからは特にメディアに連絡したりはしないです。ただ入籍のツイートをどこかが拾って伝えちゃうんだったら、ナタリーさんにちゃんと説明したほうがいいですね。
──というか、普通はこのタイミングだったら入籍の話題をアルバムのプロモーションに使ったりするものなんじゃないですか?
スタッフ いや、そういうエグいことはちょっと……。
あはは(笑)。私たちそういうところは不器用なので(笑)。
自分だけでは作れない魔法
──このアルバムは参加アーティストも豪華です。厳しい現実の世界でサバイブしていくためには仲間が必要で、だからこそこういうバンド編成での制作スタイルを選んだところもあるのかと感じたんですが。
ああ、なるほど。そうかもしれない。蓮沼執太くんに蓮沼執太フィルっていう仲間がいるのがうらやましかったしね(笑)。自分だけでは作れない魔法だったと思う。
──今回サウンド面では蓮沼さんが素晴らしい仕事をしていますね。
そうなんです。本当に蓮沼くんと演奏者の皆さんが素晴らしいので、だからジャケットにもみんな出てもらいたいなって。これが全員じゃないですけど。
──美雨さんが旗を振って先導していくイメージで。
音楽隊と旗というキーワードは私が出したんです。この旗は私たちの村がここにありますよっていう印ですよね。
──それがちょっと意外だったんです。今までの美雨さんは旗振り役として誰かを先導していく、みたいなことをするタイプじゃなかったから。
そう(笑)。やっぱりみんながいるから、音楽で旗を振るっていう覚悟ができたんだと思う。
- 坂本美雨 ニューアルバム「Waving Flags」 / 2014年3月5日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
- 「Waving Flags」ジャケット
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3150円 / YCCW-10214/B
- 通常盤 [CD] / 2730円 / YCCW-10215
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CD収録曲
- ドア
(作詞:坂本美雨 / 作曲:蓮沼執太) - Q & A?
(作詞:坂本美雨 / 作曲:蓮沼執太) - ピエロ
(作詞・作曲:成山剛[sleepy.ab]) - HIRUNO HOSHI
(作詞・作曲:illion [illionカバー曲]) - welcome to the village!
(作曲:蓮沼執太) - VOICE
(作詞:山田亮太 / 作曲:蓮沼執太) - =(イコール)
(作詞:坂本美雨 / 作曲:蓮沼執太) - your name is magic word
(作詞:坂本美雨 / 作曲:蓮沼執太) - おとぎ話
(作詞・作曲:三浦康嗣 [□□□カバー曲]) - Waving Flags
(作詞:坂本美雨 / 作曲:蓮沼執太) - やくそく
(作詞:坂本美雨 / 作曲:蓮沼執太)
初回限定盤 DVD収録内容
- Waving Flags(Music Video Short Version)
- The Making of "Waving Flags"
- ドア
坂本美雨(さかもとみう)
1980年生まれの女性シンガー。1997年1月に「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M」名義でデビューし、1998年から本名での音楽活動を開始する。透明感あふれる歌声が高い支持を集め、1999年発表のシングル「鉄道員」は映画「鉄道員(ぽっぽや)」の主題歌に起用された。2010年からはエレクトロポップ路線のサウンドを追求し、同年5月にアルバム「PHANTOM girl」、2011年5月に「HATSUKOI」を発表。2012年8月のアルバム「I'm yours!」ではKREVAとのコラボレーションでも話題を集めた。2013年6月に15年間のキャリアをたどる初のベストアルバム「miusic ~The best of 1997-2012~」をリリース。現在はおおはた雄一とのユニット「おお雨」としても活動中。父は坂本龍一、母は矢野顕子。