音楽ナタリー Power Push - デストロイはるきち(ミソッカス)×ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)対談
インディーズ時代からの盟友と本音で放談
俺の中でGLAY、ラルクは神様ですから
──ミソッカスのルーツは、やはり90年代の日本の音楽なんですか?
はるきち そうですね。そこはセイヤも一緒だと思いますけど。
ヤマサキ 何を聴いて育った?
はるきち KinKi Kidsとか。あとはミスチル、GLAY、ラルク。
ヤマサキ 俺は大学時代にArctic Monkeysを聴いたのが大きかったんだよな。
はるきち 俺も聴いてたけど、それよりもハードロックに行ったんだよね。Mr.Big、Bon Jovi、Aerosmithとか。
ヤマサキ ハードロックは日本の女子に絶対ウケないけどな。
はるきち そうそう(笑)。ムキムキで長髪だから。
──ミソッカスの曲にはメタル、ハードロックのテイストもさりげなく入ってますよね。でも、ラルクっぽさはないような気が……。
はるきち いや、ありますよ!
ヤマサキ あるんですよ、それが。イントロのフレーズとか。
はるきち 俺の中でGLAY、ラルクは神様ですから。ちょうどオリコンチャートを追いかけ始めた頃がラルクがシングル3枚同時リリースしたり、盛り上がっていた時期だったんですよ。でも、八十八ヶ所巡礼には「はるきち、歌い方がヴィジュアル系みたい。ブサイクなのに気持ち悪い」って言われて。
ヤマサキ それ、間違ってないで。
はるきち ハハハハハ!(笑)
ヤマサキ それで売っていくんやろ? だって「i wanna be a ハンサム」ってそういう歌でしょ。
──「見た目なんてさ 気にもならねえ そんなスゲえ奴になれば いいってんだろ?」と歌ってますね。
はるきち そうですね。でも、整形するパターンもあるかも。
ヤマサキ 迷走の中の迷走やん(笑)。
はるきち (笑)。「ここから面白いことになりそう」という期待はあるけどね。27歳から33歳くらいのバンドマンって関係者にはすごい好かれるんだよ。たぶんメロディがいい意味で古いからだと思うんだけど。
ヤマサキ ウケる層がわかってるんだったら、そこを狙ったらええんちゃうの?
はるきち うん。ただ、どうやって狙っていいのかがわからない。
ヤマサキ それは俺も知らん(笑)。
「人生はまだまだ続く」=いつこの業界からいなくなるかわからない
はるきち 「人生はまだまだ続く」というタイトルは、バンドのことを長い目で見てるってこと?
ヤマサキ いや、常に消えることを意識してるってことかな。「いつこの業界からいなくなるかわからない」っていうのを前に出してる感じというか。
はるきち そうか。もっと幅広い層というか、お茶の間を意識してるのかと勝手に思ってたけど。
──確かにキュウソの歌詞の内容は広がってますよね。「泣くな親父」なんて、思春期の娘に相手にされない親父の歌だし。
ヤマサキ 娘とお父さんの関係を歌ってるロックバンドはいないから、そこをやってやろうと。恋のこととか男と女のイザコザを歌っても「キュウソも終わった」って言われるだけやし、歌詞だけでもほかのバンドと違うことをやらないと。実際「『泣くな親父』を聴いてたら、隣でお父さんがすごい顔してた」みたいな声も聞いたし。
はるきち いいねえ、それ。俺が一番響いたのはボーナストラックだけどね。キュウソはブルースバンドなんだなって思った。
ヤマサキ そうそう。“エモブルース・パンク”というか。嘆きが多いからな。
はるきち 噛み付くというより嘆いてるよね。それはシフトしてるってこと?
ヤマサキ いや、シフトしてるわけでないけど。「MEGA SHAKE IT !」でもタモさんに噛み付いてるし。
──「どっかの司会者が言っていた 歌詞に意味なんか要らない」っていう。
ヤマサキ それをMステで歌うことに意味があると思って。タモさんが、この曲に反応してくれたんですよ。書いてよかったなって思いましたね。だから、“噛み付く”っていうのも姿勢としては残していて。
はるきち なるほど。そういえば最近、噛み付くような歌詞のバンドが増えた気がする。キュウソの影響かもね。
ヤマサキ それは怖いで。似たようなバンドに自分らのポジションを奪われるのが一番怖い。
はるきち 大丈夫でしょ。直接的な歌詞ってだいたいダサくなるけど、キュウソの歌詞は絶妙なラインを突いてるし。それはセイヤの言葉のチョイスのセンスだよね。
ヤマサキ 俺は逆に(はるきちの歌詞が)すごいと思うけどね。「不思議な小屋」の歌詞とか、内容がないやん。山小屋に入ったらミラーボールが回ってるとか、この発想力は俺にはないから。
はるきち そういう歌詞が好きなんだよ。山小屋の中でミラーボールが回ってるということにロマンを感じるというか。
ヤマサキ ああー。
はるきち あ、全然わかってないだろ!(笑)
ヤマサキ (笑)。俺は現実主義だから。
はるきち 確かにセイヤはリアリストだよな。
「反逆の♭m7」=噛み付いていこう!
──ミソッカスの「反逆の♭m7」というタイトルの由来は?
はるきち 「噛み付いていこう!」ということですね。ライブもバンバンやっていくし、ここからが大事だと思ってるので。
ヤマサキ 1回1回のライブが大事やで、マジで。お互いライブのニュアンスが違うからアドバイスは言えないけど、俺がいつも思ってるのは「誰が観てるかわからないから、毎ライブ全力でやろう」ということで。全力でやるのはもちろんやし、やれることを全部やって、思いついたことも全部ぶつけようっていう。それはほかのメンバーも一緒で、ふざけてるように見えて、めっちゃ会議とかしてるから。(対バン)相手に勝つことしか考えてないバンドだからね、キュウソは。
──キュウソは10月26日から対バンツアーがスタートしますね。対バン相手はミソッカスのほか、グッドモーニングアメリカ、水曜日のカンパネラ、夜の本気ダンスなどが発表されてます(参照:キュウソツアーに忘れらんねえよ、ミソッカス、モーモー、サンボ、SHISHAMO)。
ヤマサキ めっちゃ強いというか、今輝いているバンドばかりだから、負けそうですけどね……。今一番イヤなのは、忘れらんねえよなんですよ。忘れは俺らを意識しているところもあるから、めちゃくちゃやりづらい(笑)。そうだ、ミソッカスも忘れらんねえよと対バンしてコテンパンにされてみたら?
はるきち 12月11日に浜松で対バンやるんだよ。やべえな。11月にはキュウソとも対バンがあるし、俺らも対キュウソモードにシフトしようかな。
ヤマサキ 俺らもミソッカスを潰しにいくよ(笑)。
- ミソッカス 1stミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」 / 2015年10月21日発売 / avex trax
- 初回限定盤 [CD+DVD] 2592円 / AVCD-93062/B
- 通常盤 [CD] 1944円 / AVCD-93063
CD収録曲
- i wanna be a ハンサム
- BTスナイパー
- ライジングレインボウ
- 真夏の果実にぶら下がって
- T.M.ハイテンション
- サンタなんていない
- 闇夜のキャラバン
- 不思議な小屋
初回限定盤DVD収録内容
- 「ミソフェス2015」ライブ映像
- キュウソネコカミ ニューアルバム「人生はまだまだ続く」 / 2015年10月21日発売 / Getting Better
- 「人生はまだまだ続く」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3672円 / VIZL-894
- 通常盤 [CD] 2916円 / VICL-64437
CD収録曲
- 泣くな親父
- MEGA SHAKE IT !
- イマジネンス
- ビーフ or チキン
- NEKOSAMA
- フラッシュバック
- 春になっても
- 記憶にございません
- ハッピーポンコツ
- ヤブ医者
- 適度に武士道、サムライBOYS。
初回限定盤DVD収録内容
- OTODAMA'15~音泉魂~ × キュウソネコカミ
- ウィーワーインディーズバンド!!
- DQNなりたい、40代で死にたい
- MEGA SHAKE IT !
- ファントムヴァイブレーション
- GALAXY
<MC>
- ハッピーポンコツ
- お願いシェンロン
- ブルース
- ビビった
- ありがとうオトダマ(アンコール)
- DOCUMENTARY MOVIE
ミソッカス
デストロイはるきち(Vo, G)、ノブリル(G, Cho)、ブルマン藤井(B, Cho)、マイケルTHEドリーム(Key)、ジャンボリー加藤(Dr, Cho)からなる5人組。デストロイはるきちの生み出すキャッチーなメロディと古今東西問わず幅広い音楽ジャンルを融合させた多彩な楽曲展開を持ち味とするロックバンド。2006年12月に「みそっかす」名義で結成され、メンバーチェンジやパートチェンジを経て現在の編成になる。地元愛知や、大阪で開催した自主企画でソールドアウトが続出するなど、精力的なライブ活動で着実に知名度を上げていく。2013年にはオーディションイベント「出れんの!? サマソニ!?」で勝ち残り、「SUMMER SONIC 2013」東京公演への出演を果たした。2014年1月1日にバンド名を「ミソッカス」に改名。2015年9月にシングル「ライジングレインボウ」でエイベックスからメジャーデビューし、10月にミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」をリリースする。
キュウソネコカミ
2009年末に大学内の“就活敗残者”を中心に兵庫県西宮で結成される。ヤマサキセイヤ(Vo, G)、オカザワカズマ(G)、カワクボタクロウ(B)、ヨコタシンノスケ(Key, Vo)、ソゴウタイスケ(Dr)による“5人組全方位対応型ネガティヴディスコパンクバンド”。2012年3月に1stフルアルバム「10代で出したかった」、12月に2ndフルアルバム「大事なお知らせ」、2013年10月に1stミニアルバム「ウィーアーインディーズバンド!!」を発表する。6月に2ndミニアルバム「チェンジ ザ ワールド」をビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterよりリリース。2014年に出演したフェスやイベントでは、入場規制がかかるなど注目度の高さを証明し、メジャーにフィールドを移したあとも、バンド名の通り“窮鼠猫噛み”のごとく強いものに噛み付きながら精力的に活動している。2015年10月にフルアルバム「人生はまだまだ続く」をリリースし、対バンツアー「試練のTAIMANツアー2015」をスタートさせる。2016年には史上最大キャパとなるワンマンツアー「DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016」を行うことが発表されている。