音楽ナタリー Power Push - MISIA
多彩な“愛”詰め込んだアルバム「LOVE BEBOP」
歌でビートを作る
──数々のタイアップがついたシングル曲に加え、本作には4つの新曲も収録されています。それぞれ思い切り楽しんで、好きなことをやったんだろうなと感じられる仕上がりですよね。
はい! ほんとに好きに作って、好きに歌った曲たちなので(笑)。楽しかったです。私は作詞・作曲と同じくらいアレンジも楽曲にとっての大きな柱だと思っているのですが、どれも素晴らしいサウンドに仕上がっています。ぜひ大きい音で聴いてほしいですね。お家では大きな音が出せないという人は、車の中とかでぜひ! ライブでも早く歌いたいです。
──1曲目「あなたにスマイル:)」で柔らかく始まったかと思ったら、続く「Butterfly Butterfly」「LOVE BEBOP」で容赦なくテンションを上げてくる流れが最高でした。
がっつりですよね(笑)。この2曲は先ほどお話した通り、SAKOSHINさんのトラックをもとに詞から書き始めて。そのあとで彼が大事にしているビート感を確認しながらメロディを付けていきました。メロディを歌っていると同時にコーラスワークも浮かんでくるので、そこもこだわって作っていきましたね。その作業が楽しすぎて、「Butterfly Butterfly」ではコーラスを入れると全部で165トラック以上になってしまって(笑)。
──ともにハネたビートの上で、本当に気持ちよさそうに歌声を弾ませていますよね。
ありがとうございます。歌でもビートを作っていく感覚で歌いました。リズムが持っているビートをしっかり聴きながら、どこにアクセントを付ければよりビートが強調されるかを考えて気持ちいいノリを作っていきましたね。
歌に現れた恐竜
──「Oh Lovely Day」という曲は、進行表を見ると完成までに1年近くかかってますよね。
時間がかかってしまった理由は歌詞なんですよ。4回くらい書き直しました。最初は子供に対してのメッセージを歌えたらいいねっていうところからスタートしたんですけど、途中で上がってきた松井寛さんのアレンジがそういった枠を壊して、いろんな人に届くキャッチーなサウンドになっていて。なので、聴き手を限定しない歌詞にしようと思ったんです。
──“恐竜”が出てくるくだりが印象的でした。
あははは(笑)。そこのくだりは最初から一貫して詞に入れてました。あまりにも唐突すぎるかなと思って迷ってたんですけど、「面白いから入れたほうがいいよ」ってプロデューサーにも言ってもらえたので。
──運命的な出会いを果たした瞬間に、思考がとんでもないところまでぶっ飛ぶような感覚でしょうか?
そうそう。あの恐竜があの恐竜と出会ってくれたから私たちも出会えたんだね、みたいな(笑)。誰かを好きになると世界中のすべてのことが好きになりますよね。そう考えるとやっぱり愛ってすごいなって思います。
この1年を“LOVE BEBOP”してください
──続く「FREEDOM」は2015年の2月に完成したというEDMナンバーです。
音自体は2014年にはあったんですけど、2015年に入ってからリリックを仕上げて歌入れしました。作曲は「Always」や「逢いたくていま」の佐々木淳さん。それをニューヨークの(KAZUHISA)GOMIさんにアレンジしてもらったら、すごく今なサウンドになって返ってきました。
──アルバムの中には例えば「花」のようにシンプルな楽曲がある一方で、こういったデジタルサウンドを用いた派手なナンバーがあったりもする。その振れ幅を多彩なボーカルで軽々と行き来できてしまうのがMISIAさんの大きな魅力だなと改めて感じました。
ベーシックにはソウルがありつつも、ヒップホップやハウスなどいろんな音楽のカラーがありますからね。だから「MISIAのアルバムはデパートみたいだね」ってよく言われるんですけど(笑)。
──まさに本作もそういった趣ですよね。で、そのいろんなスタイルを楽しみ尽くしている感覚が歌声ににじみ出ているから、聴き手も自然と笑顔になってしまうという。
はい、楽しんで歌ってます(笑)。今回のアルバムはすごくいいビートを持った曲が多いので、この作品をきっかけに素敵な1年をスタートさせてもらえたらいいですね。この1年を“LOVE BEBOP”しながら過ごしてほしいなって。今の世の中にはいろんな問題がありますけど、そのすべてを愛で打ち破ってほしい!
──そのフレーズをアルバムタイトルにしたことにはそういった意味があるんですね。
はい。タイトル候補はいろいろあったんですけど、このフレーズが生まれたらもうこれしかないなって。私も2016年は仕事もプライベートも“LOVE BEBOP”します!(笑) ツアーもまたやりたいなと思っているので、このアルバムを楽しんでいただきつつ、そういった情報にもアンテナを立てていただけるとうれしいですね。
- ニューアルバム「LOVE BEBOP」 / 2016年1月6日発売 / アリオラジャパン
- 「LOVE BEBOP」
- 初回限定盤 [CD] 3564円 / BVCL-963
- 通常盤 [CD] 3240円 / BVCL-964
収録曲
- あなたにスマイル:)
- Butterfly Butterfly
- LOVE BEBOP
- オルフェンズの涙(Long Ver.)
- 真夜中のHIDE-AND-SEEK
- 白い季節
- 花
- 明日はもっと好きになる
- Oh Lovely Day
- FREEDOM
- 桜ひとひら
- Candle Of Life
- 流れ星
- LOVE BEBOP (Love Is All Remix)(※初回限定盤ボーナストラック)
MISIA(ミーシャ)
長崎県生まれの女性シンガー。1998年2月にシングル「つつみ込むように…」でデビュー。同年6月に発表した1stアルバム「Mother Father Brother Sister」は200万枚以上を売り上げ、R&Bブームの火付け役となる。2000年に発表したシングル「Everything」はドラマ主題歌に採用され、200万枚を超えるセールスを達成した。2013年2月にはデビュー15周年記念ベストアルバム「MISIA SUPER BEST RECORDS -15th Celebration-」を発表。2015年4~10月に全国ツアー「MISIA 星空のライヴⅧ MOON JPURNEY」を実施し、2016年1月には12枚目となるアルバム「LOVE BEBOP」をリリースする。