音楽ナタリー PowerPush - MISIA

雪から桜へ ドラマ彩る渾身のシングルに込めた思い

生活全部が歌になる

──「白い季節」は雪、「桜ひとひら」は桜がモチーフになっていて、季節の移り変わりが感じられるシングルになりましたね。

MISIA

日本って四季があって、空がいろんな景色を見せてくれる場所だなって思うんですね。夏の雨や入道雲、秋の紅葉が舞い散る風景、今度は雪が舞い落ちてきて、そして桜が舞うわけじゃないですか。そういう中で、季節に合う冬から春への歌が歌えたっていうのはうれしいですし、今の時期にしか出せないものかなと思います。

──そういう特定の季節やシチュエーションに向けた曲を歌うのってお好きなほうですか? 桜ソングやクリスマスソングって今も昔もたくさんありますが。

うーん……基本的に歌えればなんでも好きだったりするので、これだけ好きかと聞かれると……。ああ、ただ、すべてのシチュエーションを歌ってみたいっていう気持ちはありますね。私から見ると季節に限らずシチュエーションっていうのは歌になる1つの物語なので。だから生活のすべての場面を歌ってみたいです。インタビューの歌も作れるんだったら作ってみたいですよね(笑)。

──それは聴いてみたいですね(笑)。

そういうふうに見ちゃいますね、「今を音楽にしたらどうなるのかな」と。まあミュージカルが存在してるってことはやっぱり生活全部が歌になるってことですよね。生きてるってこと自体すべてが。

タイアップ曲の鉄則

──今回の両A面タイトルにはどちらもドラマのタイアップが付いていますが、過去に「やまとなでしこ」と「Everything」、「JIN -仁-」と「逢いたくていま」など、ドラマとMISIAさんの楽曲が結び付いてヒットが生まれたことは幾度となくありました。一方を思い出せばもう一方も思い出せるような名タッグだと思います。

ありがとうございます。

──例えば「セカンド・ラブ」のような恋愛ドラマに曲を書くときと、「永遠の0」のようなメッセージドラマに曲を書くときって、何か違いはあるんですか?

違いはなくて、どちらも必ず心がけているのは物語の中心を歌にするっていうことなんですよね。

──物語の中心、ですか。

その物語が一番伝えたいであろうメッセージを自分なりに一生懸命読み解いて、それを形にする。“外側”を書くと物語の本編に影響してしまうので、そうではなくて。私はすべてのドラマも映画も、いわゆる作品っていうものは必ず伝えたいメッセージがあると思って取り組んでるんです。で、そのメッセージを曲で歌っていれば、物語がブレずに進行していけるんじゃないかと思うので。だから監督さんとか脚本家の方が最終的に「(伝えたいメッセージは)そうなんです」って言ってくださるとよかったなって思いますね。

──でも「MISIAさんらしい感じでお願いします」みたいな“お任せ”の場合もありませんか?

あるにはありますが、私、音楽制作って1人ではできないと思っているんです。音楽自体、1人のものではなく、誰かと歌い合ったりしてみんなで共有してきたものじゃないですか。だから、タイアップのお話をいただいて「こういう世界を描いてください」って言われることが嫌じゃないんですか?と人に聞かれるんですけど、全然嫌じゃないです。

──制約だとは思わないと。

むしろディスカッションして、今みんなが何を考えているのか、自分と(チームの)人は何を共感しているのかっていうのを確認して、そこから歌を作るのはすごく好きなんです。それが“音楽”だとも思っているので。世界も広がりますよね。たまに「難しいな」って思うときもありますけど、そういう作業は好きですね。

──逆に、カップリングの「真夜中のHIDE-AND-SEEK」のようにノンタイアップの場合は、お題とされるものがないですよね。

そうですね。これはもう好きなように(笑)、浮かぶままに作ったという感じで。

──ソウルの名手としての側面が出た曲だなと思いながら、楽しく聴かせていただきました。

前の2曲(「白い季節」「桜ひとひら」)もソウルを作ってきたプレイヤーが演奏してくれています。ギター、ベース、ドラムの方は去年スティーヴィー・ワンダーのバックバンドとして北米ツアーを行っていたので、ツアーの合間を狙って、アトランタでレコーディングしました。そして、この曲もまたバンドが素晴らしくて。鷺巣さんをはじめ「THE GLORY DAY」(1998年発表のミニアルバム「THE GLORY DAY」収録曲)とほぼ同じメンバーでロンドンでレコーディングしたんですよ。「ひさしぶりだね」なんて言いながら集まって、ほぼフルストリングスでレコーディングをしてすごく面白かったです。歴史があるアビーロードスタジオの音も体感できてよかったですし。バンドもエンジニアも海外で活躍している素晴らしい人たちばかりで、みんなでこだわり抜いて作ったので、ぜひ音楽マニアの方も聴いてみてほしいです。

──そういった音楽的な欲求も満たされた今、「さあ自由に作ってください」と丸投げのオーダーが来たとしたら、今のMISIAさんからはどんな詞曲が生まれてくるでしょうね?

今作ってるので、それは内緒です。ふふふ(笑)。

MISIA星空のライヴVIII
2015年4月11日(土)愛知県 愛知県芸術劇場大ホール
2015年4月12日(日)愛知県 愛知県芸術劇場大ホール
2015年4月17日(金)福岡県 福岡サンパレス
2015年4月18日(土)福岡県 福岡サンパレス
2015年4月24日(金)北海道 ニトリ文化ホール
2015年4月25日(土)北海道 ニトリ文化ホール
2015年5月5日(火・祝)東京都 東京国際フォーラムホールA
2015年5月6日(水・祝)東京都 東京国際フォーラムホールA
2015年5月8日(金)東京都 東京国際フォーラムホールA
2015年5月15日(金)岡山県 倉敷市民会館
2015年5月16日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
2015年5月20日(水)静岡県 アクトシティ浜松大ホール
2015年6月5日(金)宮崎県 宮崎市民文化ホール
2015年6月7日(日)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール・第一
2015年6月11日(木)宮城県 仙台サンプラザホール
2015年6月12日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
2015年6月17日(水)新潟県 長岡市立劇場
2015年6月18日(木)新潟県 新潟県民会館
2015年6月24日(水)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
2015年6月26日(金)鳥取県 米子コンベンションセンター
2015年6月30日(火)大阪府 大阪フェスティバルホール
2015年7月1日(水)大阪府 大阪フェスティバルホール
2015年7月7日(火)東京都 東京国際フォーラムホールA
2015年7月8日(水)東京都 東京国際フォーラムホールA
2015年7月11日(土)大阪府 大阪フェスティバルホール
2015年7月12日(日)大阪府 大阪フェスティバルホール
2015年7月17日(金)石川県 本多の森ホール
2015年7月18日(土)長野県 上田市交流芸術文化センター
2015年8月13日(木)福岡県 福岡サンパレス
2015年8月15日(土)大阪府 大阪フェスティバルホール
2015年8月16日(日)大阪府 大阪フェスティバルホール
2015年8月29日(土)沖縄県 沖縄コンベンションセンター劇場棟
2015年8月30日(日)沖縄県 沖縄コンベンションセンター劇場棟
MISIA(ミーシャ)

長崎県生まれの女性シンガー。1998年2月にシングル「つつみ込むように…」でデビュー。同年6月に発表した1stアルバム「Mother Father Brother Sister」は200万枚以上を売り上げ、R&Bブームの火付け役存在となる。2000年に発表したシングル「Everything」はドラマ主題歌に採用され、200万枚を超えるセールスを達成した。2013年2月にはデビュー15周年記念ベストアルバム「MISIA SUPER BEST RECORDS -15th Celebration-」を発表。その直後にスタートした全国ツアー「MISIA 星空のライヴVII -15th Celebration- Schedule」は2014年4月まで合計77公演におよんだ。2015年2月に最新シングル「白い季節 / 桜ひとひら」をリリース。